撮影をじっくり・ゆっくり・体験として楽しみたいんだ…。こういう衝動が定期的にやってくる私にとってSG-image 35mm F1.2はストライクゾーンでした。(1)描写には個性があり、(2)造形で手を抜いておらず、(3)コスパも良い。これは使っていて楽しいレンズです!
※この記事は2ndfocusの提供でお送りします。
ほぼ100点な造形。
SG-image 35mm F1.2 は電子接点のないMFレンズです。新品で買えるオールドレンズと言って差し支えないでしょう。価格もお財布に優しいです。しかしこの類のレンズは一般的に造形がチープな印象を私は持っていました。フォーカスリングから擦過音が鳴ったり、名盤がプリントだったり…と。

ところが今回のSG-image 35mm F1.2はそういうネガティブなイメージを払拭してくれるレンズでした。手抜きを感じないのです。まずフォーカスリングが適度な重さを備えています(どちらかというと重めです)。距離指標でいうところの3m〜無限遠までの回転角が短いのですが、フォーカスリングが重いことで細やかな調整が出来ました。ヌルッとピントを追い込めます。

次に気づいたのが距離指標の墨入れです!レーザー加工で実際に文字を削って墨入れ処理されています。この点は2ndfocusさん経由でメーカーに確認をとって頂いたので正確な情報です。触ると凹凸を確認できます。SG-imageのものつくりの姿勢にいたく感銘を受けました。

特徴的な前玉を眺めてうっとり。開放値はF1.2。↑外観写真ではフルサイズ機に装着していますがAPS-C専用レンズです。被写界深度は35mm換算でF1.8相当となります。ピントはかなり薄いです。正確なフォーカシングのためにファインダー性能の高いZfに取り付けてDXクロップで運用しようと思います。

レンズ構成は高屈折レンズ3枚を含む5群6枚。各社6マウント展開。一番重いZマウントでも重量206g。そして新品価格が2万円を切っています。あとは写りが好みであれば…ですよねッ!?以下に作例が続きます。
開放F1.2が癖強で楽しい!
この紫陽花の写真は開封初日に撮影したものですが、周辺の暴れ具合には衝撃を受けました。まさに収差の宝石箱です。古いオールドNIKKORを連想させます。しかしあまりに滲むのでZfのファインダーをもってしてもピントの山を掴むのは優しくありませんでした。

クロップ後の画角は換算52.5mm付近。スナップ撮影における王道画角です。非常に使いやすいです。F4あたりで描写は落ち着くような印象でした。絞り環は適度に重くクリック感もあります。スチル撮影に配慮した造形は嬉しいですね。

早々に気がつきました。このレンズ、開放時のボワボワな描写が一番の個性だと思います。シャープでHi-Fiな描写が欲しければ純正レンズを使えばいいのです。写らないことを楽しむレンズ…ましてMFですから撮影体験自体もスローです。そこがいいのです。

本来モノクロで撮るときは形を意識した被写体の探し方をしますが、開放だとどのみちぼんやりした描写になるんですよね。ピントはEVFを拡大して追い込んだはずなのですが、どうも全体的にシャッキっとしません!でもどこか懐かしい感じもします。おおらかな気持ちになれるレンズです。

1点注意喚起なのですが、開放F1.2のままカメラを日の当たる場所などに放置するとセンサーが焼ける可能性があるので、使わない時はレンズキャップを必ずしましょう!付属の金属キャップは質感が高いのでヘビーユースしています。
新しいフレキシブルカラーを作りたい。
当初はNikon機に搭載されているフレキシブルカラーを使ったJPEG撮って出しで撮影を開始したのですが、素の描写が捻れるこのレンズにフレキシブルカラーを重ねると捻れon捻れのひどい転け方になりまして…。この癖強レンズに合うプリセットを作るべく久々にRAW現像することにしました。

ゆくゆくは開放F1.2専用フレキシブルカラーを作ってZfやZ50IIにセットしたいです。今月の一日一撮はこれで行きましょう。1ショットを大切にし→セレクトして→RAW現像。一撮入魂!

若干の樽型収差はあるようです。電子接点のないレンズですからどうせ電子的な補正は効きません。出るものとして受け入れたいと思います。

フォーカスの回転がNikonとは逆なので、急いでいる時に方向を間違う事故は多発します。開放F1.2をMFで運用すると被写界深度の狭さを痛感します。しかし上手く撮れた時の喜びはひとしおです。シャッター回数を落として・ゆっくり・じっくり撮影に向き合う1ヶ月にしたいと思います。

何度見ても前玉の美しさが際立ちますね。このレンズに電子接点があってExifデータが自動で書き込めたら一生モノのレンズになる自信があります!(そんなことをしたら価格が倍になるかもしれませんが…ww)
中華レンズの進歩は目を見張るものがあります。このままものつくりの快進撃が続けばフォクトレンダーのようなブランドイメージも確立できることでしょう。MF好きな者としては大歓迎です。一日一撮が終わったら長期レビュー後編を作ります。ご期待下さい。では皆さん、また次の沼でお会いしましょう。
ブログ管理人:isofss(イソフス)