全国のペンタキシアンの皆さん、よろしくお願いしまーす!再びPENTAX沼に戻って参りました。世界一遅いPENTAX Q10実使用レビューを綴らせて頂きたく存じます。こちらのカメラは9年前に新品購入し(3年ほど登山カメラとして使った後)友人に譲り渡した代物なのですが、その後、別の友人宅で埃を被っていたのを発見したので日本酒1本と物々交換で引き取ってきました。6年振りの再会に嗚咽を禁じ得ません。

実はこのPENTAX Q10と、過去記事で書いたフィルムカメラ・KONICA C35 FDとのスナップ撮り比べ撮影を済ませた所ですが、ヨドバシカメラのDPEが外注に変わっておりフィルム現像まで1週間がかかるとのこと…ショック。指を咥えて待つのも味気ないので約10年前のデジタルカメラが吐き出す写真を先に愛でようじゃないか!という企画を急遽立ち上げた次第であります( ´∀`)ニヤニヤ。写真24枚ございます。後半にQ10を使った雑感を綴ります。お楽しみ頂ければ幸いです!※動画版もございます↓こっちはJPEGとRAW比較やってます。

撮影条件。

結論から申し上げますとRAW現像した写真の色がけっこう好みでした。アスペクト比は本来4:3ですが(私の好みで)3:2で書き出している点はご容赦下さい。使っているレンズはSMC PENTAX 1:1.9 8.5mm AL[IF]、35mm換算で約47mmの標準画角単焦点レンズです。フィルムカメラC35との比較都合で常に開放F1.9で撮影しております。では始めましょう!

Q10で朝スナップ。

ファーストカットです。まず最初に気づいたのは歪曲収差でした。↓ご覧いただけるでしょうか?遠景でもなんとなく歪んでいる具合。PENTAX Q10のRAWデータはDNGです。それを一旦PCに移し、ドロップボックス経由でiPadに移し、Photomator(過去記事で紹介)でRAW現像しております。レンズプリセットがない状態だと歪曲収差がそのまま出るのですね。単焦点レンズなのに!?ww

PENTAX Q10のファーストカット。周辺の画質は正直厳しい。

↓意地悪な逆光テスト。PENTAX Q10のセンサーは1:2.3型ということで現行スマホと同じくらいの性能だと思われます。光源が強いとすぐ白飛びします。ハイライト全然粘りません。許す!

逆光耐性はない!ゴーストも出るんだ。

没カットにこそ撮影者の実力が表れてしまうものと存じます!惜しみげもなく箸にも棒にもかからないカットも投稿するスタイルでやっていきましょう。フィルムカメラとの撮り比べも兼ねているのでシャッターチャンスは24回しかないのに、今となってはなんでこんな選択をしたのか皆目見当もつきません。

箸にも棒にもかからない写真も投稿していきます。

4枚目はいつも撮っている交差点。はっきり言ってPENTAX Q10では解像感は出ないと思いましたハイ。そもそも1240万画素しかありませんし、当時ボディとキットレンズ2本で50000円を切っていた価格を考慮するならレンズ性能に過度な期待など縁なきこと。ならば色で遊ぼう!…ってことで個人的に好きなブルー側に寄せております。

いつも撮っている博多駅前の交差点。Q10の解像力をチェック。

近くで真っ直ぐなものを撮ると歪みが強調されますね。JPEG写真だと白飛びしていた部分がRAW現像で少し戻りました。それにしてもよく曲がるレンズです。

レンズプロファイルがないと歪曲収差が出るPENTAX Q10。

解像しない・逆光にも弱い・水平取れていなかった、そういう弱点や失敗も後から逆手にとれるRAW現像はやっぱり面白いなと思うのです。家に帰ってiPadを抱えてニヤニヤできる時間がまた楽しい。同時に、この写真の一発撮りフィルム版がどうなっているかも楽しみです。

逆光耐性の低さを逆手に取った写真も写真も楽しみたい。

↓こんな写真撮っていたら通行人にジロジロ睨まれます。スナップはメンタル命ですね。ここは地下街なのですが、PENTAX Q10のコントラストAFは壊滅的に迷ってました。

PENTAX Q10はコントラストAFだ。暗いところでは非常に動作が遅くなる。

いやぁ、標準画角って使いやすいですね。個人的には中望遠が1番好きな画角ではあるのですが、潰しが効く50mmは使い勝手No1だと再確認。人生でレンズ1本だけ選べと言われれば50mmにしようかな。

SMC PENTAX F1.9 8.5mmの作例。換算47mmは非常に使い易い。

壁を見て興奮してしまうのは持病です。こういう人工物・直線の繰り返しを見ると確実に撮ってしまうのです。スナップあるある…ですよね?

かっこいい壁を見かけるとどうしても撮影してしまう。

お背中拝借。相手に圧や不快感を与えないという意味では、やっぱりこのボディの小ささは正義ですね。持ち運びも楽です。この潮流がGRに受け継がれているのかしら。

博多駅前でスナップ。2022年1月。

タイトル「フォトヨドバシに憧れて」。いつも撮影するお気に入りスポットでの一枚です。歪み+周辺減光の組み合わせも悪くないですね。

PENTAX Q10のRAW現像作例。博多駅前の出勤する人々。

PENTAX Q10はミラーレスカメラですが、今と違って露出のライブビュー反映は出来ません!撮影しないと結果が分からないという点ではミラーレスなのに一眼レフみたい。操作性が良いカメラではないので、撮って出しを追い込むよりも後からRAWデータをいじった方が好みの仕上がりへの最短距離になると感じました。

スナップの休憩はマックで決まりだ。コスパが良い。

24枚しか撮れない企画なのに、また壁を撮ってしまった…。

かっこいい壁がまた現れた。デジタルカメラだから残数を気にしなくて良い。

JPEG撮って出しの露出補正の場合どうしても全体の上げ下げになってしまいますが、RAW現像だとシャドウ・中間・ハイライト各々を調整できるので便利ですね。明暗差のきついトンネルのような場所では特に恩恵を感じます。

明暗差が激しいトンネルのような写真はRAW現像が効果的だ。

どうしてもブルーに寄せてしまうのです。エモくしたい時はグリーンも加えます。SONYユーザー時代の名残です。ソニーブルーが好きなのです。

PENTAX Q10のRAW現像作例。色をブルーに寄せている。

レンズテストではほぼ毎回撮っている博多駅構内のお気に入りスポットがこちら。この照明の近くに同じ形状の椅子が並んでまして、座っている人たちが今にも宇宙に吸い上げられそうな雰囲気の場所があるんです。拉致寸前の人間様を作例にする訳にはいかず照明で我慢しています。

PENTAX Q10のハイライトの階調表現を見てみよう。かっこいい照明を撮ってみた。

小さいセンサーではF1.9でもパンフォーカス。スナップだと色々写り込みますね。これ以上広角側だと画角も画質もスマホカメラと見分けがつきません。だったらスマホでいいじゃん!となりそうなのでQ10の広角は捨てることにします。(スタンダードズームは持ってるんですが。)

お気づきかも知れないが、PENTAX Q10で撮った写真のプロファイルがない状態は歪曲がひどい。

また壁です。いつも歪曲収差テストでお世話になっている壁であります。言わずもがなの結果でした。

SMC PENTAX F1.9 8.5mmの歪曲収差、補正なしの写真をご覧ください。

雨の日のQ10。

PENTAX Q10は防塵防滴ボディではないですが、今まで登山を含めガンガン屋外で使ってきました。幸いにもトラブルの経験はないです。蛇足ですが、純正レンズだとレンズシャッター駆動(最高速1/2000秒)で、オールドレンズなどをアダプターでつけた場合は電子シャッターになるそう。社外品レンズは焦点距離を入力すればボディ内手ぶれ補正を使えるとのこと。これはGOODです!

雨の日にPENTAX Q10を使う。もちろん防塵防滴ではない。

↓PENTAX Q10には水平取りの電子水準器はありません。私はどうしても右に1度くらい傾く癖があります。シャッターを押し込む時に傾いているんでしょうね。

PENTAX Q10には電子水準器は搭載されていない。どうしてもシャッター時に右に傾く。

↓やっぱり解像感は無い。JPEG撮って出しだと明白です。特に周辺はデジタル補正で引き伸ばしているので酷いことになっています。中心部は良いと思うのですが。しかしそのトレードオフでコンパクトなレンズ交換式カメラを成立させている訳ですから文句は言えません。Q10、あんたは偉い。

1240万画素のPENTAX Q10に解像感を求めるのは酷な話。

↓中央が最短撮影距離です。ボケ感を見てます。フルサイズと比較してはいけないと分かってはいますが…なんとも厳しい結果に。もっと望遠側だとボケ倒せるのでしょうか?換算200mmのレンズ持っているので再検証する予定です。

PENTAX Q10で最短撮影付近のボケ感を確認。1:2.3型センサーではボケ感は小さい。

(今回は使っていませんが)PENTAX Q10にはボケコントロールという擬似的に被写界深度を合成する機能があるんですよね。今のiPhoneで言うポートレートモードみたいなやつです。また人間用顔認識AFもあります。これを見るにつけ、今のスマホって10年前の技術を流用してるんじゃないかな?と邪推しております。

PENTAX Q10は現行のスマホカメラとだいたい同じくらいのセンサーサイズ。

早くフィルムを現像に出したくて木ばっかり撮影しておりました。ここでフィルムカメラC35の方がこと切れました。

PENTAX Q10とフィルムカメラの撮り比べ作例ラストカット。

Q10を使ってみた雑感。

ここからはいつもの雑談(というか10年越しの実使用レビュー)です。結論、現行カメラと比べるのは残酷でありつつも、しかし使って楽しいカメラなのは間違いありませんでした。特筆すべき7点を綴ります。

1.スーパーファミコンみたいな背面液晶。

46万ドットしかない背面液晶はまるでスーパーファミコンのようです。フォーカスの追込みでピント部分を拡大する機能もあるのですがモニター解像度が全く追いついていない印象。

2.電池とSDカードが別室。

両方サイドにそれぞれ独立しています。これは分かりやすく便利です。ボディサイズ的に1室にまとめる方が厳しかったのでしょう。

3.電池は弱い。でも新品買える。

ほぼ10年選手ですから手元の電池が消耗している説が濃厚です。しかし未だに純正電池D-LI68はAmazonで新品購入できるのです。凄い。互換品に至っては1000円切りますし。

4.電池を抜くと日付時間リセット。

電池を抜いて充電しようものなら日付時間がリセットされてしまう仕様。なんて面倒臭いんだ。打開策も一応ありまして、電池交換を素早くパッと変えるとリセット回避できます。予備電池を満タン充電しておく必要がありますが。

5.電源消し忘れる。

OFFボタン押したつもりが押せておらず、鞄の中で煌々とスタンバイしていたことが度々ありました。電源ボタンの押し込み感触が悪いのです。オートパワーオフ機能でそのうちOFFにはなりますが。

6.メニュー項目少ない。

これは良いことだと感じます。現行カメラのように「なんでも出来るけどメニュー階層が深過ぎて意味不明」という煩わしさはなく、かといってスマホのようにフルオート専用でもない設計。趣味がてら鞄に忍ばせて然るべき機能とサイズ感。外に持っていきたくなるカメラ。一重にバランスが素晴らしいのです。

7.バイクでいうならSUZUKI。

その他、弱点はまだまだ有りますよ。動画の記録形式がMPEG4しかないとか・グリップ感が皆無だとか・クリックダイヤルほぼカスタム出来ないとか、ライブビューに露出反映出来ないとか…痒いところに手が届かないダメポイントは枚挙にいとまがないのですがQ10だから許せます。なぜでしょうか?その科学的根拠が知りたいです。それはまるでスズキ乗りが愛車を愛でるのに似た世界観なのかと(褒)。

現行品でQシリーズ復活を望む!

これだけ尖ってたQシリーズが今復活したら絶対売れると思うんですけど!時代は10年進んでますので、以下の付加価値を載せたレンズ交換式コンパクト趣味カメラが欲しいのです。USB-C給電・Wi-Fiデータ転送・バリアングル液晶・内蔵ストロボはいらないからホットシューは残して・シンクロ同調1/200秒欲しい・SDカードはワンスロットOK・EVF無しOK・ボディ単体実売12万円代でいかがでしょう!?……そう、それはGRZ fcの長所を足して2で割ったようなカメラ。

今後やってみたいこと。

PENTAX Q10にCINE NIKKOR 19mm F1.9を繋げる。

今後やってみたいことですが、今やPENTAX Qシリーズにしか接続できないDマウントシネレンズを入手しましたので、社外品マウントアダプターを購入してオールドレンズ遊びをしようと画策中です!結果は追って投稿します。

好き勝手書かせて頂き大変スッキリしました。最後までお読み頂きありがとうございます。巡り巡って再び手にしたPENTAX Q10ですから後生大事に使い倒していこうと思います。売らないぜ!(笑)

さて冒頭でも述べました通り、今回の24枚と同画角・同露出のフィルム写真がそろそろアガッて参ります。無慈悲なフィルムvsデジタル写真対決と参りましょう。次回にご期待あれ。では諸君、良きペンタックスLIFEを!沼の先でまたお会いしましょう。かしこ。

ブログ管理人:isofss(イソフス)