レンズ沼で浮いたり沈んだりしつつ早4年。今までで最も衝撃を受けたレンズは?と問われれば間髪入れずにNIKKOR Z 85mm f/1.8 Sと私は答える。今日はその魅力をひたすら綴りたいと思う。まさにBest of Best!King of King!Lens of Lensだった!もともと中望遠好きなので忖度モリモリではあるのだが、中望遠レンズを探している方には絶賛超絶オススメしたい1本なのは間違いない。一家に1本Nikonの85mm。ささ!作例をご覧になられよ。

NIKKOR Z 85mm f/1.8 S外観
欲しくなっても知らないぜっ!

1.発色とボケ味の良さ。

85mmで花束を撮る。
開放F1.8

絞り開放でこの立体感、いかがだろうか?ピント面は非常に薄いが、実にシャープだ。その後なだらかなボケが広がる。開放F1.8でも周辺減光は気にならない。「開けて使え」とNikonの声が聞こえてくる。

85mmでテーブルフォト。色のり良し。
F1.8

Nikonってこんなに食べ物が美味しそうに写るメーカーだっただろうか。良い光源とは言えない蛍光灯下の室内でもいちごの色が鮮やかに写ってくれる。目で見ている当たり前の色を当たり前に再現してくれる。かつて黄色被りと揶揄されていたNikonはもう存在しない。

NIKKOR Z 85mm f/1.8 Sの色の良さ!
F2.8

自然界の色をデジタルで再現することは非常に難しいはずだ。花弁のグラデーションの美しさはレンズの素性を表しているように感じる。NIKKKOR Z 85mm f/1.8 Sは兎にも角にも色を忠実にセンサーに届ける道具として秀逸だ。素が良いのでRAWデータをいじる時も扱いやすい。

ボケ量。

同じ位置で絞りを変えた時のボケ量を比べてみよう。(なぜか2段2/3という半端な比較で申し訳ない。)下の2枚を見る限り開放F 1.8は非常に被写界深度が狭い。背景が遠いともはや何が写っているか分からないくらいだ。開けるか絞るか?この選択肢をどのように写真に反映させるかは撮影者次第だ。

NIKKOR Z 85mm f/1.8 SのF4.5
F4.5
NIKKOR Z 85mm f/1.8 SのF1.8
F1.8

2.唯一の欠点は寄れないこと。

一般的に85mmの単焦点は寄れないものが多い。例に漏れずNIKKKOR Z 85mm f/1.8 Sも最短撮影距離が80cm、最大撮影倍率が0.12倍とお世辞にも寄れるとは言えない仕様だ。最初は不満だったが、慣れてくると80cmギリギリあたりで被写体を捉えようと意識していたから不思議だった。

蝶が水を飲んでいる。
F2.8

蝶が道路脇で水を飲んでいた。一生懸命生きてるんだな。

蝉の抜け殻を見つけた。
F2.8

寄れないが取り回しはしやすいほうだ。レンズ自重は470g。長玉に比べれば空気みたいなものだ。Zマウントは寸胴マグカップみたいなレンズばかりだが、これは収差を抑えるための結果らしい。Nikon公式のYouTubeチャンネルで言っていたので本当だろう。例えばこのZ85mmには(Z35mmやZ標準大三元と同じく)マルチフォーカス方式が導入されている。レンズ内にフォーカスユニットが2つあって同時に動いているという代物だ。その恩恵で描写力が上がり、逆に外観はぼってりしてしまった。とはいえ扱いにくい形状ではないので個人的には許容範囲だった。あっ!と思ったらすぐカメラを構えられること、これは大切。

3.物撮りやテーブルフォト。

ある程度の大きさの被写体であれば85mmでも物撮りやテーブルフォトだって出来る。メルカリの出品用写真をガチで撮る…なんて楽しみ方もある。たいていの場合はオフストロボライティングで撮っている。下の写真はテーブル面からソフトボックスの反射があるが、ゴーストやフレアの影響は皆無だ。

85mmで物撮りも出来る。
F5.6、ストロボ有

先ほど「寄れない」と言ったばかりだが、料理くらいの大きさであれば画角内に全体が収まる。ただしピント幅を確保するためにある程度絞ることにはなる。

コーンフレークを撮ってみた。
F4ではフレーク全体にピントは合わなかった。
85mmでパスタを撮ってみた。
F4、ストロボ有

そういえば緊急事態宣言が出た春は家に引きこもりっぱなしだった。室内で85mmを使うのは結構大変だったが…いい修行になった(たぶん)。↓下の写真はスーパーにトイレットペーパーとティッシュが戻り始めた頃に撮った歓喜の1枚。

85mmで室内でストロボ使って撮影。
F8、ストロボ有

4.玉ボケと逆光耐性。

レンズ構成は8群12枚で、そのうちEDレンズが2枚ある。非球面レンズは使われていない。玉ボケがうるさく感じることはなかった。ピントを最短撮影距離あたりに置くと背景の玉ボケは結構大きい。絞り羽は9枚でレモン型の口径食は出るようだ。

NIKKOR Z 85mm f/1.8 Sの玉ボケ。
F2

フリンジを出してやろうと悪巧みで天窓を撮ってみた。かなり抑えられているのではないだろうか。S-Lineレンズなのでナノクリスタルコートは標準装備だ。ゴーストやフレアはむしろ出す方が難しいかも。

かなり意地悪な逆光耐性テスト。
F2.8

5.Z85mmでスナップ撮影。

ストラップで持ち歩くと↓このようにレンズが腹から突き出てしまう。どこかにぶつけそうで怖い。私は持っていないのだがPeakdesignのcapture v3あたりでレンズ下向き運用にした方が良いと思った。

NIKKOR Z 85mm f/1.8 Sを持ち歩いている所
レンズフードなしの状態。

ただし写りはすごい。

ただ瓦を撮っただけなのに美しい。
ただの瓦を撮っただけなのに。
NIKKOR Z 85mm f/1.8 Sの逆光やいかに?

防塵防滴に配慮された設計になっているので雨スナップにも気兼ねなく使えた。レンズフードは丸型で深さもあるので、雨の日はつけて行ったほうが良いだろう。

NIKKOR Z 85mm f/1.8 Sは光るものに強い。

このレンズは暗所に強い。光が少なくても掬い上げてくれる。

85mmでスナップする。

光が潤沢にあればなお良い。まぁ当然か。

絞り込んでF8

↑この写真はF8だ。あくまで主観なのだが…このレンズは絞りを開けた時の方が好きだ。

とにかく暗所に強く、綺麗。

購入して1年ほどの間、スナップはほぼこれ1本で撮っていた。どこか似たような写真が増えてしまったが(それはそうだ)画角感を身につけるには良い修行だった。その後、Z標準大三元ズームを使った時に「70mmって広角?」と呟いてしまった。

猫と目があってしまった。

これ以上近づくと猫に逃げられてしまう。でもこれ以上の望遠レンズだと背景情報がグッと減る。85mmの不思議な画角感はハマったら抜け出せない魅力がある。

6.作品撮り。

今年、引きこもらざるを得なかった期間に生まれて初めて写真作品を撮ってみた。もちろん大真面目である!約80回水をぶち撒けたので部屋中水浸しになったのはいい思い出だ。この写真はプリントして額に入れて飾っている。

作品「お冷やのおかわりいかがですか」
題「お冷やのおかわり、いかがですか?」

とある写真家の真似事もやってみた。先人の偉業を実際に真似できるのはデジタル写真のメリットだ。…もちろんコピーを自分の作品と呼ぶわけにはいかないが、夢中になれるものがあったことは今思えばありがたいことだった。

雨の雫を撮ってみた。

総括。

ポートレート大本命の85mmなのに人物写真を全然出せなくて申し訳ない!撮ってはいたのだ。コロナ前には結婚式でも活躍してくれた。端的に言ってめちゃくちゃ良かった。この手のアップでご勘弁願いたい。

NIKKOR Z 85mm f/1.8 Sで結婚式を撮った。

私はスナップ畑がメインなので85mmで人物をガッツリ撮ることは少ない。そんな人間でもNIKKOR Z 85mm f/1.8 Sの写真にはメロメロのメロだった。好き好きの好き、萌え萌えの萌えだった。なのでポートレート畑の方は絶対このレンズ、使ったがよいと思う。改めてその良さを箇条書きにしてみる。

  • 沼史上最も色が良かった。
  • 沼史上最もボケ方が綺麗だった。
  • そんなに重くないよ。
  • そんなに高くないよ。(病気)
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個人的レンズ沼史上最も素晴らしいレンズだった!もしも天敵がいるとしたらCANONのRF85mm F2 MACRO IS STMだろう。あれは85mmのくせにマクロだからな、チート過ぎる。でも私は浮気しない!もしZマウントで85mmF1.2が出たら心が揺れると思うが。待ってるぞNikon!

追記:そのF1.2が出ちゃったあらまぁ…。ご査収ください。

では諸君、良き中望遠LIFEを!かしこ。

ブログ管理人:isofss(イソフス)