待ちに待っていたViltroxのパンケーキレンズのNikon Zマウント版がついに登場しました。Viltrox AF 28mm F4.5 Chipです。早速購入して毎日使ってきましたので気持ちの熱いうちにファーストインプレッションを綴っておきます!
Z50IIで換算42mm
最初から目的は決まっていました。小型軽量なAPS-C機に装着して一日一撮史上・最軽量装備を作りたかったのです。Nikon Z50IIと組み合わせた時の総重量はなんと約630g、めちゃくちゃ軽く感じますね!

普段のスナップ撮影は気楽にこなしたい!当記事の写真は全てJPEG撮って出し・ノートリミングでお届けします。まずはピクチャーコントロール・スタンダードから始めます。

撮って出しの印象は、特筆すべきほど賞賛するまでもなく・眉間に皺が寄るような悪さもない、至って普通なレンズ…という感じでした。自腹レビューですから忖度はありません。価格を考えるとお買い得感は間違いなく得られます。

絞りがF4.5固定という物理制約をデメリットと捉えるか?個性と捉えるか?ここは使い手次第といったところでしょう。暗い時にISO感度を上げることに抵抗感が少なくなりました。

APS-C機で使うので被写界深度は換算F6.3あたりでしょうか。ボケを楽しむようなレンズではありませんね。しかしこのViltrox AF 28mm F4.5 Chipにはトレードオフとして手に入れた卓越した機動力があります。Z50IIとの相性は抜群でした。軽いは正義です。

これはZ50IIや新型Z5IIの特徴でもあるのですが、軍艦部の人差し指付近にピクチャーコントロールの物理ボタンが新設されたことによって色味を気分に合わせてコロコロ変更できる恩恵が非常に効きました。このレンズはそういう遊び方が似合っていると思います。

ということで早速↑ポートレートに変えてみましょう。余談ですが、この記事を書いている本日、高騰が止まらない米を買いました。背に腹は変えられませんからね。しかし冷静に考えると昨今のカメラ機材の値上がりもエグいものがあり、それに比べると米価の4〜5000円はまだ許せる範囲です。

今度はモノクロームを使います。Z50IIには複数の白黒プリセットが標準搭載されていますが、私はデフォルトのモノクロームが好きです。一番使いやすいもん。

レンズの話に戻りましょう。Viltrox AF 28mm F4.5 Chipにはレンズ前面に内蔵キャップが付いているので使わない時の前玉保護は万全です。開閉時にはパチっという小気味のいい音が鳴り、これがやる気スイッチになるのです!

老夫婦が手を繋いで歩いておりました。こういう瞬間に巡り会えた時の脳内ドーパミンをご想像頂けるでしょうか?しかし欲を掻いてピクチャーコントロールを変更しているその一瞬で繋いでいた手が隠れてしまいました。ぬぅぅ…
イメージングレシピで遊ぶ。
一通りデフォルトのピクチャーコントロールを試した後は、最新Nikon機の宝刀 Nikon Imaging Cloudを使ったイメージングレシピで撮り歩いていきましょう!まずは公式から配布されているDG Film Lookを使います。

全体的にグリーンを品よく被せている色味。どこか懐かしいフィルムっぽさを感じつつ……なんてことを言ったらフィルム本気勢からお叱りを頂きそうですが、日常をエモいっぽく・シネマチックに盛る風潮も(例えそれが虚構だとしても)自分の中で楽しむ範囲であれば問題ないと思っています。

デジタル画像の改変はどこまで許されるのか?AIが画像生成だけでなく映像にも使われるようになった昨今、このテーマを言語化したくて何度か原稿を書いているのですが…日の目を見ずにボツになっています。

写真を楽しむには写真以外の知見が必要だと聞いたことがあります。きっとそれは真実なのでしょう。…おっと、機材レビューから逸脱してしまいました。話を戻しましょう。

次にフォトグラファーのクロカワリュートさんが配布されていたNeighborhood (ネイバーフッド)の色味を楽しんでいます。このフレキシブルカラー、使いやすいんですよね。ピクコン選択肢の中で一番写真の枚数が多かったのがこの色味でした。

特にフレキシブルカラー選択時に感じたのですが、ホワイトバランスをAutoではなく太陽光や曇りといったデフォルトのプリセットを使うことでエモさが増した印象があります。不思議です。

物理的なフィルム撮影だとホワイトバランスはフィルムに依存する、つまり固定される訳ですから、色味をいじってフィルムライクに出力したいデジタル写真でもホワイトバランスを固定させたのは あながち間違っていないのかもしれません。

続いてNostalgia(ノスタルジア)です。↑絞りが固定されているレンズの個性が出ていますね。点光源は高い確率で光芒発生の要因となります。これは防ぎようがありません。好きな人にとってはメリットですね。

それにしても換算42mmの使いやすさよ。私は広角が苦手なので元の28mmではなくクロップされた42mmの方が相性の良さを感じました。レンズ中央の美味しいところを使っているメリットもありますし。

スナップの王道は換算35mm?いやいや結局人は標準50mmに回帰する?など諸説ありますが、42mmもいいですね。普段見ている景色と相違が少ない感覚でした。

使いやすい画角と使いやすい重量。こんなにストレスフリーなスナップ機材はこれまで経験したことがありませんでした。さらにフレキシブルカラーをボタン1つで呼び出せる付加価値もあります。家に帰ればImaging Cloudに勝手にデータ転送が始まりますし、撮影体験も撮影後のワークフローもここ最近でまるっきり変わってしまいました。

Z50IIとViltrox AF 28mm F4.5 Chip の組み合わせだから実現できた諸々のメリットが私のニーズに見事にマッチしただけの話ではありますが、一日一撮企画を始めて3年でほぼ100点の機材にたどり着けたことには満足感を覚えます。

ほぼ100点の残りの不足分を強いて挙げるとすれば、やはり絞りが変えられないことによる不都合でしょうか。暗い場合は感度を上げたりストロボを焚いたりすればどうにかなりますが、F4.5だと明るすぎて困る特定の条件もありまして…

それが何なのかはとある講演の中でお話ししておりますので、YouTubeでアーカイブ配信されましたらご確認下さいませ。しかしながらかなりニッチな話ですので、ちょっとでもこのレンズ欲しいなと思ったら先に買ってしまって問題ないと思います!実際、私はこのレンズを使い始めて撮影枚数が増えました。
↑せっかくなので開封時の動画も載せておきましょうか。※これは「とある講演」ではありません。
広角28mmから逃げるな!
なんて耳の痛い話でしょう…。ソーシャルディスタンスが長い私としては、スナップ写真といえど街中で人様にカメラを向けることには今でも勇気が求められます。28mmってめちゃくちゃ広いですから寄らないと話が始まらないじゃないですか。

しかしZfにくっつけてもかっこいいですね。レンズ自体はプラスチック鏡筒なのですが、それでもヘリテージデザインを邪魔してないところが素晴らしいですね。なおマウントは金属製です。

ストレートに28mmで使うとなるとやはり被写体に近づかなければなりません。一日一撮企画の名目は修行ですから苦手から逃げてはいけないのです。そして闇雲にうろうろするのではなく、撮りたいイメージを描きながら街の中でそのシーンを探す努力も必要です。自分で始めた物語とはいえ…なかなかハードですね。

レンズ全体を使うので周辺減光が少し気になるところ。しかし6群6枚でよくここまで描写しますね。中華レンズの進化が止まらない…。

最後にスペック的なお話を1つ。このレンズはAF駆動にボイスコイルモーターを採用しているようです。AFの挙動は全く問題なかったです。内蔵キャップを全開にしないと駆動しませんのでそこだけご注意ください。
高級感と引き換えに重くなりがちなZfの弱点をレンズ側でカバーするこの組み合わせ。あとはきちんと広角28mmに向き合う勇気と持続力さえあれば。この修行はまだまだ続きそうです。一日一撮史上最も機動力が高いとサムネイルで謳ったくらいですから、もちろん続編記事も生まれることでしょう。修行はしばらく続きます。ところで、月の折り返し時点でこの記事を投稿しているということは…そう、この話には続きがあります。次号をお楽しみに。
ブログ管理人:isofss(イソフス)