私はチルト液晶が大好きだ。特に写真撮影はチルトに限る。だがチルト液晶は動画には不向きだ。自撮りできないカメラなんて今時 時代遅れとも言えよう。チルト機を使いながらバリアングル的な液晶の使い方ができれば世界から争いなどなくなるというのに……え?あるの??

ワイヤレストランスミッター

思い出してほしい。カメラの液晶情報をキャプチャーカードを使ってiPadに転送する方法を試したのが1つ前の記事だ。あれが終着駅のはずだった。ところがTwitter経由で気掛かりな情報を手に入れた。iPhoneでも似たようなことができる…だと?しかもWi-Fiで??

勿体ぶらずに結論からお伝えしよう。これはDJIから発売されているRONIN RAVENEYEというイメージトランスミッションシステムだ。Wi-Fiを使ってスマホのアプリ画面に液晶情報を表示することができる。特筆すべきは電送機材界隈では破格の1万円台というバーゲンプライスだ。全くけしからん(褒)。

RONIN REVENEYEをカメラに装着した状態。チルト液晶搭載一眼カメラをバリアングル化することに成功。

この神々しいバリアングルもどき!素晴らしいではないか…。↑ここではカメラから伸ばしたアームにスマホを取り付けているが、Wi-Fi電送システムなのでスマホの置き場所は自由である。取扱説明書には有効射程は書いていなかったが、部屋でスマホを持ってウロウロする分には全く問題はなかった。

RONIN REVENEYEはホットシューに装着している。付属のHDMIケーブルがジャストサイズ。

仕組みとしては、カメラからHDMIを使ってトランスミッター本体に情報を送る→それをWi-Fi経由でスマホに送る→スマホ側のDJI専用アプリ(DJI Ronin)で映像を表示する、という流れだ。アプリは無料。つまるところ自分のスマホをフリーダムバリアングル液晶として前戦投入する胸熱展開である!背面液晶の情報がスマホに転送される。さらにNikon機の場合、HDMI出力とデフォルト背面液晶の同時表示が可能だ。

もとよりこの製品はDJIのジンバルのオプション品である。対象ジンバルに接続している場合はスマホ画面から一定のジンバル操作が可能となるが、今回のように単独行動している場合はスマホ画面は見る専となることをご留意頂きたい。

RONIN REVENEYEを組み付けるためにL字プレートにMagSafeを取り付けた状態。

撮影のアガリには全く関係のないところでこのシステムを組むための自作工程がとにかく楽しい。見てくれ、ガンダムみたいじゃないか!RAVENEYE本体をホットシューに装着・L字プレートの横からマジックアーム経由でMagSafeホルダーを展開し、ここにiPhoneを貼り付ける。これで自撮り動画の撮影効率が爆上がりなのだ。

固定液晶の一眼レフが…

ことのつまりHDMI搭載機であればどんなカメラであっても液晶情報をスマホに転送することが可能になる。それが一眼レフであってもだ。そして転送できる画面は動画モードだけでなく写真のライブビューモードにも対応している。もちろんメニュー画面画像再生画面も転送できる。その転送画面をスマホ上でスクリーンショット録画もできる。(1)ただし音声は転送されない。これは最大の欠点と言えよう。スマホで映像のバックアップを取るような用途には向かない。

せっかくなので軽微な欠点も論えておこう。(2)動作中は熱くなりがち。卵を落とせばスクランブルエッグくらいは出来るだろう。(3)ホットシューにロック機構がない。クリアランスはタイトに設計されているので勝手に落ちることはないと思うが、一応頭の片隅にこの情報は入れておいてほしい。

あと(4)初期設定がよく分からなかった。DJI Roninアプリをダウンロードしたものの(こちとらジンバル未所有のため)、いきなりオプション品のWi-Fi設定を手探りで行う羽目になった。同梱の説明書にはなにも記載はない。本体に貼ってあるQRコードを読み取る(っぽい)初期設定はうまくいかなかった。コネコネ触り続けていると不意にWi-Fi設定画面になり、SSIDに紐づくパスワードを自分で作るよう指示された。スマホを替えた時などに必要になるかもしれないのでメモを取った。初期設定が終われば2度目以降の機動はスムーズだ。

もう1つ、(5)このシステムを起動している最中はBluetoothをオフにして欲しいとスマホ側から警告ポップアップが出てきた。現状私は困らないので指示通りオフにしたが、これを無視した場合にどんな弊害があるのかは皆目見当もつかない。例えば動画の音声をBluetooth経由のワイヤレスマイクで収録した時に干渉するデメリットがあるかもしれない。

蛇足情報。このトランスミッションシステムを使って複数のスマホ端末に画面共有できるか試してみたのだが、対応していなかった。Wi-Fi自体は複数端末でつかめるがアプリ上で共有画面に進めるのは1台だけだった。

固定液晶の一眼レフD4sにRONIN REVENEYEを装着した。当然だが画面情報はスマホに飛ばすことが可能。時代を超越してしまった。

不安が募るスタートとなったが、固定液晶の一眼レフをフリーダムバリアングル化できるのだから水に流そう。私はたまにD4sで自撮り動画を撮るので助かっている。この便利な機能をケーブル1本・本体1個で実現しているDJIには頭が下がる。本体は126gと超軽量。USB-Cで充電。約3.5時間駆動する。繰り返すがこのトランスミッターが1万円台で買えるのだ。どうかしてる。

なんと2007年製のD3にもHDMIがあったので装着してみた。再生画面が横方向に縮んでいるが表示はできている。

古の化石D3でも試してみた。2007年製のくせに一丁前にHDMIを積んでいるとは…(一体この時代にどんな用途で使っていたのだろう)。ライブビューを機動するとスマホに状況が転送された。ただ流石にカメラの背面液晶とHDMIの同時出力は無理だった(この点はNikon公式HPにも記載がある)。またHDMIの出力を1080iに設定していてもスマホ側のキャプチャー録画は60fps/720pになっていた。この辺りの具合は謎だ。とはいえだ…動画機能が搭載されていないD3で擬似的な動画撮影が可能になるとは…こいつ、できる!

もちろん画像再生メニュー画面は表示できた。画像再生のアスペクト比が横方向に圧縮されている謎のバグ?らしき症状を確認。まぁ怒るほどでもないが。

チルト勢への福音。

本来はジンバルに横付けして映像制作の効率を上げる用途で使うのが筋だろう。まさかスチル機のバリアングル化に一役買おうなど開発陣にとっては想定外だったかもしれないが、我々Nikonユーザーのような自撮り動画不遇勢にはRAVENEYEは一縷の光であり、また今度のジンバル購入世界線でDJI Roninシリーズ縛りの呪い(祝福)で縛られる選択でもあった。なによりガンダムみたいでかっこいい。好き。

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DJIの良心を感じた部分も綴っておこう。このパッケージには各種HDMIケーブルが最初から同梱されている。入力側はCなのだが、出力側はタイプA/C/Dの3種類が完備されている。またホットシューを1/4インチネジに変換するアタッチメントも付属しているのでリグ用途にも配慮されている。これらを含めて1万円台なのだ。これを超えるイノベーションがあるとすればカメラ本体へのバリチルト液晶の搭載だろう。SonyやPanasonicが羨ましい限りだ。

チルト機所有が故に自撮り動画難民になっているそこの貴方!お小遣いが許すのであればお買い求めなさい。小型軽量なバリアングル変身アイテムで自撮り環境を劇的ビフォーアフターしようじゃないのよ!

ブログ管理人:isofss(イソフス)

動画版もあるよ。