カメラは文鎮じゃない。せっかく買ったのだから使い倒したい。でもそれで終わりだろうか?カメラは機械だからいつかは壊れる。だから大切なのは所有じゃないと思う。ふと思い立ち、今まで撮ってきたスナップ写真を動画にしてアウトプットすることにしたのだが、思いの外気付かされることが多かったので熱が冷めないうちに綴っておこうと思う。最近カメラが埃かぶってしまっている方に是非ともお伝えしたく、駄文にお付き合い頂ければ誠にありがたや。

1.セレクトで気付くこと。

言うて私も趣味カメラマンなので、写真を撮らなくてもぶっちゃけ生きていける。ただその環境なのでどうしても薄れてしまう意識がある。なぜ・なんのために撮っていたのか。その時その場所で確かに「いい!」と心躍ったからシャッターを切っていたのだ。改めて写真を並べ、どの写真を他人に見てもらうかセレクトすることになってようやく「なぜ」の部分を思い出した。

その写真には自分が写っている。

自撮りの話ではない。その写真には撮り手の「いいね!」が写っていると思うのだ。もちろんいいねボタンはシャッターである。撮り手がいて被写体がいて見る人がいる。結局のところ写真という撮り手の言語が見る人にどう伝わるか?が大事ではないだろうか。そのための言葉選びが写真セレクトだと言うのであれば、やはり写真は外側にアウトプットしてなんぼということであろう。しゃべらない人間なんていないのと同じだ。

2.下手さを思い知る。

趣味カメラマンあるあるに「機材マウント」なるものがある。やれ高い機材、プロと同じ機材を使っているオレ格好いい病のことだが、写真をアウトプットしていないと簡単にこの病に犯されてしまう。ところが、今や大SNS時代の恩恵も相まって誰しも(写真を含む)自作コンテンツを全世界に向けて発信できるようになった。これはいいことだと思う。世界には自分より腕の立つクリエイターが海の砂ほどいる。ネットの海にコンテンツを出港させたのであれば、言い訳不要で彼らと闘うことになる。勝敗はいいねの数ではない。むしろ「伝える力」の競い合いだ。

逃げない・逃げられない。

過去に友人から「私そんなにこだわりないんで。」と言われたことがある。(友人には申し訳ないが)それは詭弁だと思う。こだわらないという人のほぼ100%がスマホで写真や動画を撮るし、ほぼ確実に加工処理もするだろう。写真だけに限らず日常生活でさえ、男は格好つける生き物だし、女子は必ずお化粧する。子供は「人を見た目で判断してはいけない」と教えられる。そう、結局人間は見た目なのだ。

(話を元に戻すと)見ることに深く関わる写真に携わることが出来たことはとても幸せなことだと思う。人は人を見たい。そうであるならば!撮り手の「伝える力」は根本的に必要不可欠な能力だ。棚ぼたでは手に入らない。ロッキングチェアで揺れている場合ではない。筋トレと同じで、より猛者と比較され揉まれ鍛えられて初めて身につくスキルだ。もしかすると非常に長い間泥水をすするかもしれないが、大丈夫だ!この大海原の闘いで死ぬことはないのだから。失敗や挫折を繰り返して上手くなっていこうじゃないか。

3.機材は選択肢だってこと。

前述の手のひら返しか?否。機材でマウントを取るのは愚行だが「その機材でしか撮れない瞬間」や「この機材では撮れない限界」という理は確かに存在する。そして性能は概ね値段と比例する。そんなこと当たり前なのだが、いざアウトプット用に写真を並べてみて思い知った。ページ冒頭のYouTube動画内で使っている主だった撮影機材は下記の通り。(価格は購入当時のもの)

  • 冒頭カメラ:Nikon D610、フルサイズ一眼レフ、15万円
  • 冒頭レンズ:AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR、23万円
  • 中頃カメラ:SONY a6400、APS-Cミラーレス、10万円
  • 中頃レンズ:SEL70200G、15万円
  • 後半カメラ:Nikon Z6、フルサイズミラーレス、25万円
  • 後半レンズ:NIKKOR Z 85mm f/1.8 S、10万円
  • 後半レンズ:NIKKOR Z 24-70mm f2.8 S、27万円

明らかに後半にかけて湯水のように散財しているのだが、でも同じくらいあからさまに写真の写り方は良くなっていた。(※個人の感想です。) 構図どうこうではなく記録した明るさ彩度コントラストの素性は高い機材であるほどに現実に近い描写になっていた。ただそれだけだが、それを知れたことは大きかった。清水の舞台から飛び降りて買った機材群だ、使わない言い訳にサヨナラする理由くらいにはなってもらおう。

スナップこそズームレンズだ!

本当は単焦点レンズが大好きなのだが…。ただ、2年間同じ場所でスナップ撮影をし続けて分かったことは同じ場所撮るならズームレンズの方が画角の選択肢が豊富だ!というごくごく当たり前の事実だった。もちろん初心者のうちに単焦点レンズ縛りで画角感を身につけることは大切だ。しかし誤解を恐れずに言うとむしろスナップ撮影にズームレンズを使う方が難易度は高いかもしれない。標準ズームであればその場で少なくとも24mm・35mm・50mm・70mmの中から最適解を出さなければならない。歩きながら常に4つ画角でものを見なければならないのだから!これは後付けだが、写真をアウトプットすることになって初めてズームレンズで撮っておいて良かったと実感したのだった。

↑実は今ちょっと気になっているレンズはこれだ。NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VRである。すでに持っている24-70mmと焦点距離が被っているのだが、正直なところ昼間の撮影にF2.8はいらないし、F値と引き換えに200mmまで焦点距離を手に入れられるのであれば補って余りある性能だ。うーん、これは実に悩ましい。

結論:だって上手くなりたいから。

上手くなりたい理由は?→上手くなりたいからです、キリッ!

バレー漫画「ハイキュー」10巻のエピソードを思い出す。そこそこ才能あるのに本気にならない1年生月島に強豪校のキャプテン木兎はこう問いかけた「月島くんさ、バレーボール楽しい?」「いや…特には」と返す月島に木兎は「それはさ、へたくそだからじゃない?」と言い放つ。

“その瞬間”が有るか、無いかだ。

将来がどうだとか、次の試合で勝てるかどうかとか、ひとまずどうでもいい。目の前の敵ブッ潰すことと、自分の力が120%発揮された時の快感が全て。…もしも、その瞬間が来たら、それがお前がバレーにハマる瞬間だ。

ハイキュー 89話

言い得て妙な金言であろう。こと写真においても然り。カメラが存在して、しかも一般人が購入できる時代に生きている確率なんて人類史の中でも0.1%未満の確率ではなかろうか?さらにスマホの普及で写真の寿命がタイムライン上でほぼ1秒になってしまった昨今、いかに上達してやれるか、そのスタートはカメラマンの気持ち次第でどうにでも変わるように思う。いつか“その瞬間”にたどり着くために上手くなりたい、ただそれだけ。だから飽きもせず今日もカメラを持って出かけよう。四の五の考えるのはその後だ。

追伸:博多在住の筆者による博多うろうろスナップ記事は当サイトの博多スナップタグからご覧いただけます。ご贔屓によろしくどうぞ。

では諸君、良き写真LIFEを!かしこ。

ブログ管理人:isofss(イソフス)