七工匠からとんでもない高コスパレンズが俄かに登場した。実は今年のCP+に参考出典されていたのだが、ここに来て社内に突然 発売日が告知されたのだ。何を考えているんだ!?冒頭からボヤいてしまうことを許してほしい。しかし製品に罪はない。むしろこのAF 135mm F1.8 MAXには期待感すら抱いている。インフルエンサーの発売日プロモーションは間に合わない。そこで「代打オレ」である。
一体どうなっているのだ?
はじめに断りを入れておきたいのだが、私isofssの本体はカメラ用品を扱う企業で働く(いわゆる)中の人である。隠してはいないが 肩で風を切るような人間にはなりたくないので可能な限りサラリーマンとインフルエンサー人格は切り離している。安心して欲しい…この記事はブロガー活動として書いているので会社から給料は出ていないし、もうとっくに発売日当日の朝0:00を過ぎている。案件ですらなくただ一日 機材を借りただけだ。

そこまでして突貫で記事を書いている理由はシンプルで、1人のカメラユーザーの立場で本当にグッときたプロダクトに関しては自ら手を挙げて発信したい、ただその興味の一点突破である。今回の7Artisans AF 135mm F1.8 MAX で一番びっくりしたのは価格だ。円安とインフレが重なっていると言うのに135mm大口径AF単焦点レンズが税込12万円を切るとは一体どうなっているのだ? Nikon純正Plenaは34万円だぞ。

同じサードパーティ製のVILROX AF 135mm F1.8 LABも借りてきた。こちらは現時点での実売価格は168,300円。一体どうなっているのだ?百聞は一見にしかず。こう言うときは撮り比べてみるのが一番だ。レンズが借りられた期間は1日。休みの日に撮影してきた。では7Artisans と VILTROXの撮影比較と参ろう。

ブラインドでこれがどちらかお分かりになるだろうか?露出とホワイトバランスの設定は同じ条件で、この記事の写真は全てJPEG撮って出しだ。

同じ条件なのに明るさに差が出るのは興味深い。本当の口径比(T値)ではなくF値だからこうなるのだろうか。答えは(A)が7Artisans AF 135mm F1.8 (以下135mm MAX)で、(B)がVILTROX AF 135mm F1.8 (以下135mm LAB)だ。大きなモニターで鑑賞すると135mm LABの方がシャープだと感じる。

こちらは135mm MAXの作例だ。ピント面がキリキリしない少し柔らかい印象を受ける。135mm LABと比べて最短撮影距離が短く、重量も軽量化されていることが優位点だ。参考までにMAXは最短撮影距離68cm/重量1014g/12万円弱、LABは72cm/1265g/16万円強、Z純正Plenaは82cm/995g/34万円である。三者三様、コンセプトはまばらだ。
7Artisans 135mm F1.8 MAX の作例。
ではこの135mm MAXは安かろう悪かろうのジャンルなのか?正直に申し上げるとCP+の参考出典デモ機を触ったときはそう思った。立て付けも描写も…イマイチだと感じだ。しかし製品版を触って考えが変わった。ツッコミどころが解消されたと表現した方が近い感覚かもしれない。7Artisansの名誉のために詳細は省くが明らかにビルドクオリティが良くなった。描写も以下の通り悪くない。以下、135mm MAXの開放F1.8の写真をご覧頂きたい。

ホンダのカブを撮影した。強力なボケ効果で手前の金網が溶けてしまっている。障害物があってもAF駆動は特に悪い印象を受けなかった。レンズ鏡筒にはFnボダンが2個存在する。またコントロールリングは無段階ノンクリックで回転する仕様だ。135mm LABはクリックON/OFFが選べるため、このあたりに価格のヒエラルキーを感じる。

描写は全体的に少しフワッと柔らかい印象を受ける。個人的にはカリカリHi-Fiに飽きていたのでむしろ好感が持てる。今回の相方ボディはNikon ZRだ。本レンズはZマウントから発売が開始されるが、続いてEマウントとLマウントも準備されるそうだ。

135mm単焦点レンズはほとんどの人にとっておそらく飛び道具だろう。135mmを常用レンズとして振り回しているエンジョイ勢を私は見たことがない。ドーパミンに気圧されながら購入という清水の舞台から飛び降りたとしても、結果たまにしか使わない高級文鎮になってしまっては元も子もない。まして純正34万円コースなら尚更だ。

えいやぁトゥ!!で純正への信仰を表明しつつ財布を爆散させるのも粋だとは思うが、初めての135mmを(相対的に)気軽に始められる12万円弱の135mm MAXという世界線もかなり強いと思う。ステップアップのための7Artisansというわけだ。浮いた差額は20万円以上である。…これは馬鹿にできない。

気持ちがいいくらい真っ直ぐのものが真っ直ぐに写る。繰り返しになるが当記事の写真は全てJPEG撮って出しだ。あと体感でLABに比べてMAXは軽い。135mm単焦点レンズを買うような猛者であれば数時間のスナップなど造作もないだろう。

欠点はレンズフードにある。ここだけは明らかに安っぽかった。借りた個体はバヨネットが弱く、カチッという感触が得られなかった。きっとフード警察に連行されるだろう。
VILTROX AF 135mm F1.8 LABの作例。
一方でVILTROXの135mm LABは1枚目から圧倒的なシャープ感・抜けの良さ・空気の透明感を感じる写真がJPEG撮って出しで量産できる。老婆の落ち葉拾いもすかさず捉えることができた。

前も後ろもボケがうるさくはない。VILTROXには、CHIP→AIR→PRO→LABという松竹梅が存在するが、描写力はAIRから手を抜いていないし、CHIPは他の追随を許さない価格の破壊力がある、LABは最上位クラスとなり、技術者がやりたいことを全部突っ込んだような化け物プロダクトとなっている。

135mm LABの弱点はあまり寄れないことと、電源が入っていない時にボイスコイルモーターが鏡筒内でコトコト動くことである。特に後者は神経質な私は気になって仕方がない。ロックできないものだろうか。

しかしそのストレスすら小言に聞こえるLABの描写力は特筆すべきものである。純正Plenaの6割程度の価格でこれを実現するのだから脅威だと思う。我々日本人から見ればVILTROXも7Artisansも海外サードパーティメーカーだが、中国国内からすると”国産”の拍もつく。現地で飛ぶように売れるのも納得がいく。

近頃、中国本土で開催されたP&E(中国国際写真映像機器・技術博覧会)に取材に行ってきたのだが、人口の多い中国市場は趣味カメラマンの伸び代も日本よりはるかに伸び代が大きいのだろうと肌で感じた。どうりで新製品発表が(日本の感覚で)突拍子もないタイミングで飛んでくるのだろう。カメラ市場がみるみる縮小する日本市場が後回しにされるのは残念でならないが、ビジネスだからこれは仕方がない。

VILTROXは後ろの資本がとても大きいという話を聞いたことがある。LABだけではない。新製品も10本近く控えているらしい。訴訟なんのその、ブレーキのない重戦車のように突き進む勇ましさがある。何の話だこれは?
まとめ。
7ArtisansとVILTROXの135mm単焦点レンズを撮り比べてみた。シャープな描写ではVILTROXに軍配が上がったが、寄れることと軽量化の恩恵は7Artisansの方が優っていた。圧倒的なコスパも素晴らしい。強い純正信仰があれば別だが、まずは135mmの画角を経験する足掛かりの選択肢としてオススメできるプロダクトだと思う。

先般の中国出張で7Artisansの代表を含め現地のスタッフの方々と会食をする機会を頂けた。とても気さくで明るい印象を受けた。もちろん言語の壁は越えられなかったのだが…。ただ「他メーカーと差別化できるものづくりをしたい」と仰ってたことは記憶に残った。
7Atrisansはいわゆる中華レンズメーカーの始祖のような存在らしい。ここから(さまざまな大人の事情があって)枝分かれしたと聞いている。7Artisansにはぜひ今後も中華レンズの矜持を見せてほしい。AF 135mm F1.8 MAXがその狼煙の1本となることを願っている。期待値MAXだ!
ブログ管理人:isofss(イソフス)


