オールドレンズを出来るだけ綺麗に使いたい!その希望を叶えるため禁断のレンズ分解清掃に手を出してしまいました。…というか興味本位でちょっとバラしてみたら元に戻せなくなっただけなのですが…汗。しかし不幸中の幸い!シンプルな構造だったので組み直すことができました。ついでにレンズ清掃とグリスアップも実施。せっかくなのでレンズの分解清掃シリーズを記録しておきます。ご参考になれば幸いです。
分解清掃するのは先日買った引き伸ばし用レンズFUJINON EX 50mm F2.8です。もともと暗室専用のレンズなので汚れにくいはずですし、この個体も非常に綺麗な状態だったのですが…まぁアレです、自分でバラしてみたいという単純な動機でございます。なにせ3000円でしたから失敗しても勉強代ということで…(否、失敗したら絶対凹むけど)。皆様もオールドレンズをバラす時は自己責任で!
1.分解道具の準備。
いうて私も分解経験1本の初心者ですので玄人の方に怒られそうな必要最低限の分解道具で挑んでいます。なのでガチのカビ清掃とかレンズ研磨などは無理です。無理のない範囲で出来る限りレンズを綺麗にしたい一心でございます。道具リストはこちら↓↓↓
- ブロアー
- 精密ドライバー(100円均一で購入)
- HCLレンズクリーナー
- パーセマルテープ
- ピンセット(毛抜きで代用)
- HAKUBAのウエットシート
- レンズクリーニングペーパー
- 綿棒(人間用)
1000円くらいの安物ブロアーを使っているのですが吹くと微細な粉のようなものが飛び出てくる時があって実は困っています。レンズクリーナーは無水エタノールで代用可能です。人間用の綿棒はクリーニングペーパーの棒として使っています。そのまま使うと埃製造マシーンと化しますのでご注意を。吸盤オープナーはレンズを引き抜く際に必須です。日用品で代用できない道具なのでこれだけは渋々買った記憶があります。でも実践してみて道具をケチっちゃいけないなと反省しました。
2.前玉の分解。
おっとその前に超重要事項を1点。このFUJINON EX 50mm F2.8は前玉と後玉で交互に分解・清掃・組み直ししてください。そして分解中は鏡筒を縦位置で保持すること!具体例は後述しますが、分解中に鏡筒を傾けると外れる部品があります。
では、さっそく前玉からバラしていきます。レンズ前面のリングは手で外せます。硬い場合はゴムの吸盤オープナーを使っても○。
レンズ前群が露出しますので、吸盤オープナーを使って前群ごと回して取り出します。↓↓↓
↓↓↓このように鏡筒からレンズ前群を引き抜くことが出来ました。レンズは後程お掃除します。左側で今見えているCリングを(優しく)外すと絞り環の脱着が可能になります。
ここでも注意点が2つあります。下の写真左側に小さな白い玉が見えますが、これは絞りのクリック感を出しているボールです。簡単に落っこちますので無くさないようにしましょう。もう1つは右側の絞り機構です。鏡筒を傾けようものなら絞り羽が簡単に外れます!
もとよりレンズ前群で絞り機構を押さえつけている構造らしく、レンズを引き抜いた今、絞り羽は重力で支えてれているだけの状態です。絞り羽を押さえているプラスチックのリング(上の写真右側・絞り羽の直上にある輪っか)がネジ1本で止まっており↓↓↓このネジは絞りを絞り環に伝える役目も担っています。左右の動きで絞り羽を開け閉めしています。
絞り羽が外れたら…。
いやホントめちゃくちゃ焦りました。実際に外れた様子がこんな感じ↓↓↓。斜めに45度くらい倒すとこうなりました。
こうなったら輪っかを止めているネジ(写真※1を参照)をマイナスドライバーで外して輪っかを抜きます。そしてピンセットで絞りバネを所定の位置に(各羽のピンが刺さるはずの穴に)セットしましょう。絞り羽には表裏があります。最後の羽は最初にセットした羽をくぐらせてセットすることになります。(文字で説明するのが困難)↓↓↓この状態です。そして輪っかをそーっと載せ、ネジをそーっと組み直します。
↑↑↑これが完成形です。こんなことにならないのが1番ですが、実は次に続く作業も絞り機構界隈なので…避けて通れない可能性が大です。
採光窓をつぶす。
このレンズには外光を使って絞り値を照らす機構が備わっています。もともと暗室用ですからこういった機構は便利だったのでしょう。通常レンズとして使う場合はこの採光窓をつぶしておかないと画質が崩壊します。こレンズ側の採光窓は絞り値を示す輪の裏にあります。…ということで先ほど四苦八苦した絞り羽機構の外側に付いている絞り環(絞り値側)を外さなければなりません。ネジ3本です。上の写真※1まで戻ってネジの場所をご確認ください。外すと↓↓↓このように採光窓が見えます。アルミの反射板をパーセマルテープで塞ぎました。用事はここだけなので終わったら輪を組み直しましょう。
組み上げる際には、絞り機構のネジを絞り環側の溝に収まる位置に合わせます。この時、クリック感を出すための白い玉を赤矢印の場所にセットして下さい。グリスアップするなら反対側の玉と接するリング部分(写真左側)です。グリス塗り過ぎ注意です。(私は自己判断で粘度の高いバイク用チェーンルブをうっすーーーーく塗りました。)
前群レンズ清掃。
FUJINON EX 50mm F2.8のレンズ構成は4群6枚とのこと。おそらくこの前群レンズもさらに分解できるものと思われます。よく見るとカニ爪を挟み込むスリットが見えますね。しかし怖すぎて分解してません!今見えている前面と後ろ側をクリーニング液とシートを使って拭き拭きしました。(やり過ぎ注意)
後ろ側にもカニ爪で開けてくだいと言わんばかりの穴が2つ。いやはや初心者にはハードルが高過ぎ!別にカビ玉ではないので届く範囲を綺麗にして終了です。まぁいつかは本格的にバラしてみたいものですね。でも本命レンズじゃなくてジャンク玉で練習しないといけません。それにしても専用道具ってコスパ悪いっすよね。↓こやつはドイツ製らしいです。そりゃまぁ高くなりますわな。
レンズ清掃が終わったら分解と逆手順で組み上げていきます。レンズ前群の取付が緩いと描写に影響が出るはずですのでグッと締めておきました。精密機器は本当は分解しないのが1番ですね。
3.後ろ玉の分解。
さて、後ろ玉に参ります。赤矢印の部分が後ろ側の採光窓です。↓この写真はすでにパーセマルテープで塞いだ状態です。後ろ玉の分解は今見えているネジ3本を外します。
恐らくアルミ製?のCリング、その下に透明プラスチックリングがあります。この透明部分をパーセマルテープで塞ぎます。
その直下のリングは引き抜くだけで取れます。絞り機構を回転させるためのリングのようです。
本来は採光窓から通ってきた光が上側に空いている穴を通って絞り値を照らしているのでしょうね。さて、絞り機構側に小さな玉が3つセットされています。このボールもすぐに落下しがちですので無くさないように注意しましょう。
この状態でレンズ後群を手でねじるとレンズ群を取り出せます。硬い時は吸盤オープナーでもOK。絞り機構側に薄いスペーサーが2枚入っていました。
後ろ玉も(カニ爪スリットがあるので本当はさらに分解可能なはずですが)見えている範囲だけクリーニングしました。終わったら逆手順で組み直して完了です。
4.終了。
自己満足の域を出ませんが出来る限りのことをやった感は十分ありました。目視する限りレンズ内は非常にクリアであります。絞り周りもスムーズに動きます。採光窓もつぶしました。よし、あとはマウントアダプターを繋いでミラーレスカメラで運用だ!それまでは付属のケースに鎮座させておこうと思います。
最後までお読み頂きありがとうございました。このレンズは比較的最近まで製造されていたようなので状態の良い玉が中古市場で転がっているかもしれません。ジャンク品だと1500円くらいでメルカれそうですし、シンプルな作りなので私のような初心者でも分解できました。初めての分解チャレンジにも向いている…かも!?
さて、ミラーレスカメラ(Nikon Z6)に接続するためのアダプター関連を注文しましたので届きましたらまた記事にしようと思います。肝心の写りが気になるぜ!いやはやオールドレンズ沼って広くて浅いから恐ろしい限りですね笑。
では諸君、よき分解LIFEを!かしこ。
ブログ管理人:isofss(イソフス)