Zマウント大三元レンズを普く広めたい目的で書き始めた当ブログであるが、少し冷静になって考えてみたら「別に小三元でもよかったじゃん」と思えてきた。そうだよな…別にF4通しのレンズで何も問題なかったではないか。メーカーが作ったヒエラルキーに洗脳されて散財した後に気づいた真実をここに綴っておこうと思う。おそらくZマウント移行組の大勢が最初にキットレンズとして購入するであろうNIKKOR Z 24-70mm f/4 Sのメリット・デメリットを記録しておくので、購入前に是非ご参照願いたい。では参ろう。
1.見た目を好きになれるか?
私がNIKKOR Z 24-70mm f/4 Sを初めて触ったのはミラーレス元年2018年のNikon Fan Meetingに参加した時だった。D610からZ6に乗り換える予定で、現にマップカメラで予約済だった。しかしFan Meetingに参加して気が変わってしまった。原因はレンズの見た目だ。ズームした時の伸び方に美しさを感じなかったのだ。
如何ともし難い不恰好な様に心が折れてしまった。Z6の予約を取り消してSONYのα6400に乗り換えたくらいだから相当頭に血が上っていたのだと思う。(無事にNikonに戻ってこれたが。)
結局、中古で買う。
その後てんやわんやありつつ結局Z6を半年遅れて購入した。イベント撮影でどうしてもズームレンズが必要になり、あれだけデザインに拒絶反応が出ていた標準小三元を中古で購入することになった。標準小三元が中古で破格の6万円だった。信じられない値段だ。腐っても小三元だぞ?実際、当時の中古市場にはこのレンズが溢れていた。おそらくZ6のバルク品が早々に売り払われていたのだと思う。結局買う私も私だが販売後にすぐに見切りをつけられるNikonもNikonだと思うぞ。まぁ結果WinWinなのだが。届いたレンズは使用感ほぼ0の美品だった。
ところが実際に使ってみてびっくらこいた。このレンズ、写りは優等生だ!何を撮ってもスッパーーーンとキレる描写をする。開放F4から普通にビシャっとシャープに写る。コントラストも良い。端が流れたりしない。ピントも静かで早い。見た目以外は非常に素晴らしい。(レンズフードを外せば見た目は若干マシになる。)
2.百聞は一見に如かず。
写真を見ていただいた方が話が早かろう。どんなシーンでも24-70mm/F4で事足りることを教えてくれるレンズ、それがNIKKOR Z 24-70mm f/4 Sだ!
決して質の良い光とは言えない店内の照明であってもきちんと写ってくれる。もちろんZ6の高感度耐性との合わせ技ではあるが、言い方を変えればF4スタートのレンズでも実用的だとNikonが見込んだからローンチレンズとして投入されたのだろう。【以下、蛇足。】それでもZ6・Z7が他社程盛り上がりを見せなかったのは宣伝の仕方がオールドタイプだったからだと感じている。2018年当時、Nikonはインフルエンサーを使った若い世代へのアプローチは皆無だったと記憶している。(最近は増えてきた。)Fan Meetingは明らか老人ホームだったし(ニコ爺の皆様申し訳ない…)商売として成功しているSONYとは明らかに逆の方向に向かっていた。女の子のユーザーが誰もいない。女の子好きのおじさんしかいない、そんなイメージだった。あの小三元のどうしようもないデザインもその潮流を受け継いでいたとしか思えない。褒めてるのかディスっているのか?褒めているのだ。写りは素晴らしい。Fマウントでこんな美しいズームレンズみたことない。正直、Fマウント大三元VRよりもZ小三元の方が写真は綺麗だった。
話を戻そう。屋外に持ち出しても使い勝手が良い。光が足りている時は絞ってさらに解像感を上げられる。なんといっても24-70mmという万能画角を使える利便性は素晴らしい。そして軽い。重量は500gである。強いて難癖つけるなら沈胴式である事か。撮影時にはズームリングを撮影可能域まで伸縮させる必要がある。面倒がって伸ばしっぱなしにするとあのダサいデザインが常に目に飛び込んでくる。褒めているのかディスっているのか?もちろん褒めている。
さらに特筆すべき点は寄れることだ。最短撮影距離は全域で30cm、最大撮影倍率は0.3倍だ。テーブルフォトもガンガン撮れる。このポテンシャルで中古6万円はもはやチート価格だ。ちなみに30万円近い標準大三元のソレは38cm、0.22倍なので実は小三元の方が優等生である。F2.8にする必要がなければ小三元で問題ない。
ステージ撮影だってこなせてしまう。(陳謝↑水平取れてない。)この写真は本番中にステージ下から70mmで撮っているのでこれ以上寄りたければ70-200mmの出番だろう。逆に24mmまで引けばステージの広い範囲が収まる。開放F4でもiso800で済むのなら別に大三元じゃなくてよいのでは。
3.スナップと小三元レンズ。
これは人それぞれ好みが分かれると思う。小型軽量レンズでテンポよくシューティングしたい方であればNIKKOR Z 24-70mm f/4 Sで最終解かもしれない。私は見た目でテンションが左右されてしまう人間なので重くても大三元を担いでウロウロしている。
写真をセレクトしていてある共通点に気づいた。70mmばかり使ってるではないか。今となんら変わらない。ズームレンズとは70mmの単焦点レンズのことなのだな。(※個人の感想です。)
線が線としてまっすぐ写るのは素晴らしい。Z6内部で歪曲収差補正がかかっているので実際はどうだか不明。(この設定はOFFにできない。)思い返せばFマウント標準大三元VRは歪曲収差が酷かった。OVFである故に嘘偽りなく全部見えてしまう一眼レフ、EVFで不都合を隠せるミラーレス、比べると面白いものだ。
ボケ味も綺麗だと思う。上の写真だと左上のアスファルトが若干ザワついているか、その程度だ。開放F4なのでボケ過ぎることもない。状況の情報を残しながらフワッとボケていくF4以降の使いやすさよ。
WEB用に圧縮しているので分かりにくいが元データは雲の階調までしっかり残っていた。そもそも描写性能がエグいレンズだ。
結論、デザイン以外は◎。
くどいか。私がひとつ覚えに見た目見た目と口ずさむのは青春時代に読んだ「人は見た目が九割」という本の影響だと思う。内面は外に出るものだと書いてあった。もちろんレンズの見た目は写真には写らない。Nikonが実利を取ってZマウント初レンズとして小三元を作ったのも理解したいと思っている。が、撮り手として気持ちが上がらない事実は変えようがなかった。ごめんNikon。
これはあくまで個人的見解であるので「別にこのデザインでいいじゃん」と感じる方には使用経験者として胸を張ってお伝えしたい、いいレンズですぞ!ここに偽りはない。購入検討されている方、ぜひそのままポチって頂きたい。あまりにそつなく何でも平均点以上出せるので個性が欲しくて単焦点が欲しくなるかもしれない。そんな方のためにZマウント50mmと85mmの使用感想文も書くことにしよう。ご期待あれ。
では諸君、良き沼LIFEを!かしこ。
ブログ管理人:isofss(イソフス)