サードパーティのフラッグシップモデルをお借りする機会を頂きました。その名はViltrox AF 135mm F1.8 LAB。結論、かなり尖った1本でしたので興奮冷めやらぬうちに感想を綴ることにします。
見て良し・触って良し
当方、カメラ機材大好きおじさんですので既に金銭感覚は狂っているものとお見知りおき下さい。Viltrox AF 135mm F1.8 LABに関してはまずその販売価格に驚きました。Nikon Zマウントには同コンセプトの純正Plenaが存在しますが、このLABはPlenaの半額以下で購入できます。

ではその価格差の分、チープになっているのでしょうか? 否。触ってみて驚きました。吸い込まれそうな前玉・ガタツキなど一切感じない塊感・ヌルヌルのフォーカスリング、どこを切り取っても高級フラッグシップの漂い。サードパーティはお財布に優しい実用的な選択…という一般的なイメージが通じない、本格的なものづくり精神を感じました。イベントなどで実物を触る機会があったら是非手に取ってみて下さい。

気になった点もあります。ボイスコイルモーターを採用しているせいか、通電していない時に内部のフォーカスユニットが自由になるようで、持ち運んでいると中で何かがポコポコ揺れる感覚があります。これは一連のViltrox3連記事の冒頭で取り上げたAF 28mm F4.5 Chipでも同じことが起きていました(AF 50mm F2 AIRだけがSTMで無音でした)。私のような神経質な人にとっては気になる要素かもしれません。

粋な話に移りましょう。手前側のコントロールリングはクリック感の有無をスイッチで切り替えることができます!素晴らしいです。クリック感がけっこう重い点もGood。使い物にならないZ純正のコントロールリングとは大違いです。その他、AF/MF切替スイッチ・フォーカスエリア切替スイッチ・物理Fnボタン完備(縦横2個) と気が利いた構造になっています。

マウント面にはファームウェアアップデート用のUSB-C差込口があり、その外側に防滴用のシーリングゴム(エンジ色)があります。このゴムがかなり効いていて、レンズ脱着時にはボディ側にレンズをギュッと押し込んで回転させる必要があります。

ちょっと面白かったのが電子測距窓です。実はカメラを起動して通電する度にメジロが顔を出します。Viltroxのロゴじゃないんかーい!せめて鳥なら翡翠とかでしょー!…とつっこんでしまいましたww。っていうかこの液晶、カラーなんですね。お金かかってるなぁ。
その描写に舌鼓。
実はフォトアクセサリーフェア2025での講演の中でLABの割り当て時間が5分しか確保できず、いえむしろ5分でもいいからLABを紹介してほしいという先方さんからのご意向があったのは裏話ですが、蓋を開けてみると5分では決して語りきれない名玉だったから困ったものです、いい意味で。

↑猫ちゃんの写真だけRAW現像しています。この質量のレンズを振り回す体力コストを回収せねばなりません。当然開放F1.8で撮影していきます。ピントが合ったところのキリリとした線がいいですね。ピント面は浅く、前後にかけて急激にボケていきます。135mmをF1.8で使うときは必然的に被写体は1つになるでしょうね。そういう用途に強いレンズかと。

開放時に周辺減光は出ます。公式が出しているMTF曲線では 絞ると線が天井に張り付くようなグラフになっていましたが、あえて1.2Kgをレンズを使うのは開放で使いたいからであって今回はF1.8以外は検証していません。どうせ絞れば良くなります。こういうレンズは開けてナンボです!

ボイスコイルモーターの挙動は非常に早かったです。レンズ構成は9群14枚。そのうちの6枚が高屈折率レンズ(2枚)・EDレンズ(4枚)という贅沢仕様。フィルター枠は高級レンズでお馴染みの82mm。フィルターワークの換装に優しい設計ですね。

Viltroxにはレンズヒエラルキーが存在します。価格帯で比較すると、サイズに全振りしたChip < 撒き餌キラーのAIR < 高級ラインのPro < 全部詰め込んだLABという並びです。うまく棲み分けされていますね。サードパーティの強みはこれらのレンズ群が多マウント展開できることです。このAF 135mm F1.8 LABもZマウントとは別にSony Eマウント版が存在します。

サードパーティレンズの進化をまざまざと見せつけられた貸出期間でした。(これは個人的な希望の域を出ない話ですが)これだけきっちりしたものつくりができるのであれば、純正メーカーとライセンス契約を結んで販売されてもいいのでは?とすら思うのです。それで多少値段が上がったとしても安心代ですから。しかしそこは大人の事情。Nikonには宝刀のPlenaがあるから難しいでしょうね。LABもいい勝負すると思うんだけどなぁ…
APS-C機に装着!
ここからは番外編です。これ…もしかしてZ50IIにつけたらかっこいいのでは?その予想は裏切られませんでした。APS-C機で運用すると換算202.5mmの開放F1.8単焦点レンズです。200mmの明るい単!なんてロマンがあるのでしょう。

新品で買える200mm単焦点レンズなんてかなりレアですね。画角的にどうかな?と恐る恐る使い始めましたが、檻の向こうにいる動物たちとの距離感では意外と使いやすかったです。とんでもなくボケ倒しますが被写体が単体であれば問題なし!

もともとAPS-C機が小さく作られているせいで、グリップ部分の指のクリアランスに余裕がなく、手が大きい私には窮屈でした。これは仕方がないですね。

ガラス越しのライオンさんです。目の右側に写っているのは私の腕です。ガラス無しで撮影してみたいものですが、ひとっ飛びで私がご飯になってしまう距離でした。

200mmって楽しいですね。ただし!ボディ内手ぶれ補正がないZ50IIでは撮影前から像が揺れまくります。でも楽しい。感情が行ったり来たり。

200mmで開放F1.8。被写界深度は激薄ですがミラーレスカメラのAF追従で簡単にピント合わせできます。とんでもない時代になりました。

ただただViltroxの技術力に圧倒された撮影体験でした。私はもともと純正信者でしたが、これだけサードパーティが進化しているならば考え方を改めなければなりません。長期で使う場合はファームウェアアップデートの更新の仕方なども習得したいところ。十把一絡げに「純正と同じ」とは言いませんが、追いつけ追い越せの精神でものつくりをしているViltroxに好感を持ちました。

以上をもってViltroxレビュー3部作(自腹&貸出)は終了となります。フォトアクセサリーフェア2025のisofss講演アーカイブは映像嵐さんのチャンネルで配信予定です。この記事を書いている時点ではブログ記事やYouTube動画とは異なるアナザーカットで目下練習に励んでおります。公開されたら是非ご覧下さい!では皆さん、また次の沼でお会いしましょう。
ブログ管理人:isofss(イソフス)