キットレンズと聞くとちょっと萎えますか?えぇ、私も同じ穴の狢なんですが…今回に関しては完全に自分の見方を変えようと猛省しております。結局NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VRを追加購入した話と、最初から買うべき理由を書き殴ります、異論は認めませんッ!

最初から買うべし!

カメラを購入する時にあえてキットレンズを選ばずにボディ単体を買い、浮いたお金を単焦点レンズや高級ズームレンズへの足掛かりにする沼住民の方も少なくないと思います。私もそうでした。Z30・Zfcを新品購入する機会があったにも関わらずボディ単体を選び、さらに純正標準大三元ズームを購入して1ヶ月も経たないうちに画角が丸かぶりの標準キットズームを買い足すという金策的には愚の骨頂を突き進んでおります。なぜそんなことを?

ZfcとZ9に標準レンズを装着。焦点距離丸かぶりの2台体制、なぜに?
焦点距離が丸かぶり…。

以下2つの恩恵を認めたくなかった(から遠回りした)のは若さゆえの過ちというものです。まず最近のキットレンズは非常に高性能になっていること。そしてキットレンズはそのコンセプトからTPOで使い分けられるメリットが大きいこと。もちろん安価である故のデメリットも存在しますが、天秤にかけた時に「買っておいて損はないが買わないと明かに損」というのが着地点でした。最初から買った方がお得なのはこれが理由です。当レンズの場合、ボディと同時購入だと2万円ちょいで新品レンズが手に入る計算になりますが、後から中古の備品で購入した私は2.4万円の出費を強いられました。

脱線しましたので話を戻しますね。キットレンズを最初から買うべき理由を布教すべく、下記にそのデメリットを相殺する考え方を羅列します。お役に立てば幸いです。

禁忌を反駁。

多くの人がキットレンズ(特にズームレンズ)を過小評価する理由として、(1)F値が変わってしまうから…という要素があるでしょう。現にこの16-50mmは広角側F3.5〜望遠側F6.3とF値が焦点距離によって変わってしまいます。それがどうしたというのです?明るさ基準でたかが1と2/3段です。これを感度だけで補うとしてもISO100がISO320になるだけです。この程度で出るノイズなどノイズ低減で(しかも1番弱いLで)どうにかなります。あるいはシャッタースピードだけで補う場合は1/125秒が1/40秒です。このレンズにはレンズ内手ぶれ補正機構が搭載されていますので望遠端換算75mmであっても(よほど下手でない限り)手ぶれは抑えられます。しかし「マニュアル露出で運用する際にF値がコロコロ変わるのは気持ちが悪い」という意見もあることでしょう。そんな場合は最初からF6.3通しの標準ズームレンズとして使うのです!

何が言いたいかというと、F値が変わるデメリットなんて撮影方法でどうにでもカバーできるのです。それよりも標準域の画角をレンズ交換無しに自由に使えるメリットが大きいと感じるのであれば最初から買う方が近道ではないでしょうか。私はこんな基本的な真理に気づくまで相当な数の諭吉を散らしてしまいました。(実際に1ヶ月使ってみた後の感想記事のリンクも貼っておきますね↓)

(2)沈胴式はかっこ悪い?

NIKKOR Z DX 16-50mm f3.5-6.3 VRの最大の欠点は沈胴式がカッコ悪いことだろう。
お世辞にもかっこいいとは言えない。

これも禁忌ポイントは高いでしょう。ニョキっと出た姿はcoolとは言えませんし、隙間から埃や水が鏡筒内に侵入しないか心配ですよね、分かります。個人的には沈胴時の警告画面が初心者臭くて嫌いです。では何のための沈胴式なのか?

NIKKOR Z DX 16-50mm f3.5-6.3を選ぶ理由はズバリ、そのコンパクトさである!
サイズと重量はベストアンサー。

簡単です。持ち運びのためです。沈胴式であるが故にカバンに入れやすいのです。人は、持ち運びしやすい機材ほど持ち運ぶものです!持ち運ぶ回数に応じでシャッター数も増えます。逆に持ち運ばなければカメラなんてただの高級文鎮です。「いや俺は1kg 2kgあっても毎日持ち運ぶし毎日写真撮るぞ」なんて人は(たぶん)宇宙人です。私、毎日写真を撮り続けて今200日ちょっとですけど重い機材を持ち歩くなんて想像ですら嫌ですもん。沈胴式で多少かっこ悪くても利便性に勝るものはありません。

(3)ボケ量が少ない?

「APS-C機のキットレンズってボケないよね」って思います?私の意見は逆です。フルサイズに比べればAPS-Cのボケ量は非常にちょうどいいです。同じF値にするとフルサイズだとボケ過ぎて破綻することがあるんですよね。

APS-Cの暗いキットズームだとボケ感がちょうどいいのです。フルサイズと比べた写真をご覧下さい。
換算70mm付近・F6.3

一例ですが↑毎週撮影しているYouTubeの自撮り環境をスチルで再現してみました。F値は同じですがAPS-Cの方が被写界深度が広いです。F6.3まで絞ってもフルサイズ機はボケ過ぎの印象が拭えません。ピントがグワァングワァン移動する動画は疲れますし、写真の場合であってもピンボケ=没カットですから、実利を考慮するとボケない方が使いやすいというのが個人的な経験談でした。

APS-Cセンサーがボケないとか言ったのは誰だ?キットズームでもこれ以上ボケなくていいくらいボケますよ。

ちなみに↑この写真は望遠端F6.3です。ボケ量はF値だけで決まるわけではなく、被写体との距離・背景までの距離・焦点距離も大いに影響するので、ボケさせようと思えば簡単にボケます。これ以上ボカしてどうするのッ!?

(4)プラスチックはチープ?

これは致し方ないと思います。実際、革ケースまで装着したクールなZfcが16-50を付けた途端すんごい安っぽく見えるから不思議です。トレードオフとして価格の安さと軽量化に寄与していると考えて手打ちとしましょう。

さぁ、最初からキットレンズとしてNIKKOR Z DX 16-50mm f3.5-6.3 VRをお得に買いましょう!
これ以上近づくとプラ感がバレます。

正直な話、例えばこの16-50mmを(中身そのままで)金属マウント・金属鏡筒に換装するサービスがあったら10万円でも私は喜んで払います。Nikonさん、どうかご一考下さい。(あるいはSIGMAのIシリーズをどうかZマウントで使えるようライセンス認可して下さいッ)

NIKKOR Z DX 16-50mm f3.5-6.3 VRに、サイズ違いのアルクレスト62mmをつけたらカッコよかった!

蛇足なのですが、家に転がっていたサイズ違いのアルクレストをステップアップリング経由(46mm→62mm)で取り付けたところカッコよくなりました!思わぬ誤算です。金色の文字がクールです!まぁ敢えてこうする必要はないんですけどね…。(↓下記は62mmのリンクなので直には取りつきません。ご注意下さい)

肝心な購入理由。

しかしどれだけ理屈を並べても欲しいと思わなければ無意味ですよね。ここからはNIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VRを購入した私の独断と偏見を綴ります。一応はZの標準ズームは24-50mm(リンクはこちら)と24-70mmF4(リンクは↓下記)も購入しましたが最終的に今回のDX16-50mmと標準大三元24-70mmの2本で着地しました。これでファイナルアンサーです。

TPOによって使い分けられる。

冒頭で書いた理由に戻るのですが、Zfc+16-50mmの組み合わせが1つあるだけで日常的な撮影はおおかた片付きます。Zマウントのズームレンズの中で1番小型軽量で持ち歩きやすく、被写界深度が深いのでピント外しの心配も減りますし、幅広い画角に対応でき、手ぶれ補正の恩恵に預かってスローシャッターも選択できます。最近はほぼこちらがメイン機になりつつあります。高画素が必要な場合や本気の撮影の時はZ9+24-70mmを持ち出しますこととしましょう。しかし当記事の目標である16-50mmを最初から買う布教においては…これは説得力に欠けます。

かなり優秀で知られたレンズ。

16-50mmの情報をググって当記事に辿り着いて下さった方の多くは16-50mmの出す絵に興味がおありと存じます。まだ使い始めて1週間目ですがスナップ写真をいくつか並べますのでご査収下さい。

NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR と Zfc の組み合わせ作例1、モノクロで建物を撮影。すごくシャープ。

「Zになってからのキットレンズは描写がすごい」なんて話はよく聞きますが、たぶん本当にそうなのでしょう。言語化するのが難しいのですが、こやつ、すごくイイですッ!!

NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR と Zfc の組み合わせ作例2、ピクチャーコントロールはスタンダードだが色のりは非常に良い。バイクを撮影。

カメラ内RAW現像でホワイトバランスをちょっと調整している程度なので殆ど撮って出しの状態です。モノクロ以外の写真はピクチャーコントロール・スタンダードです。かなり濃く発色しますね。

NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR と Zfc の組み合わせ作例3。花畑を前ボケで入れたが、非常に滑らかなボケ方をしてくれる。

意図的に前ボケを入れましたが、全然ザワザワしませんね。これでキットレンズですから大したものです。絞り優先モードで16mmF3.5の設定にしておくとF値は常に(その焦点距離に応じた)開放となります。開放から普通に使えます。減点がないレンズです。

NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR と Zfc の組み合わせ作例4。小型軽量なので持ち歩きに非常に便利だ。アーケード街をスナップ。

何にもまして軽い軽い。バッグから取り出した後に沈胴レンズをニョキっと繰り出す手間はありますが、いつでもどこでも持ち歩ける汎用性の高さは特筆すべきものがあります。ガチで毎日持ち歩いております。続きは今月の「一日一撮・博多うろうろスナップ」で!

まとめ。

キットレンズとて侮るなかれ。ボディと同時購入だと新品が実質2万円ちょいと言うバーゲンプライスですからもう最初から買いましょう!もし肌に合わなければ売ればよいのです。でもよっぽど嫌いでない限り補欠レンズとして所持しておくのも懸命な判断かと存じます。小型軽量な装備が必要になる場面ってありますからね。

私のように後から買うことになったとしても良いレンズであることには変わりありません。とりあえず一家に1本、いかがでしょうか?この記事の情報が(物欲を刺激する)お役に立てば幸いです。当レンズの購入経緯を喋っている動画もYouTubeに投稿しました。お時間ある方是非。では諸君、よき機材沼LIFEを。

※サムネは釣りです。

ブログ管理人:isofss(イソフス)