スマホカメラなんて…そう思っていた時期が俺にもありました。

一眼こそ正義だと。

いつからだったでしょうか、一眼カメラの吐き出す描写に取り憑かれ、それこそが唯一の正義であるかのように独善的になってしまったのは?あまつさえスマホカメラをちょっと小馬鹿にするような態度が根付いてしまったのは、いつからだったでしょうか?

Pergear 25mm F1.7のレンズはちょっと暗めに撮るとしっとりした描写になって好みだ。葉っぱに水が滴っている。

確かに描写の艶やかさはセンサーサイズに依存する部分が大きいと思います。ボケ量・色の再現性・明暗の階調…キリがありません。今でも一眼カメラで撮る写真が好きです。ここは揺るぎません。当記事の前半の写真はNikonのフルサイズミラーレスカメラZ9で撮影したものです。安いレンズを使ったJPEG撮って出しですが、スマホカメラには再現できないしっとり感があると思います。

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マイクロフォーサーズ機を買ったことが機材沼転落のきっかけだったと記憶しています。今話題のPanasonicです。当時はまだデフレ真っ最中でしたから7万円くらいでレンズキットが買えた時代でした。そこからAPS-C→フルサイズと王道散財コースを進み、気がつけばフラッグシップ機で毎日スナップ撮影をするまで重症化しました。悔いはありません。

さすがは現代ミラーレスカメラ。何を撮ってもハイフィディリティに写ってくれる。博多駅のバスターミナル外観。

そんな個人的な機材変遷とは裏腹に、一眼カメラ業界はスマホカメラにどんどんシェアを奪われていきました。今や誰もがカメラマン。「カメラなんてスマホでいいよね」…そんな言説を甘受できるわけもなく、毎日写真を撮り続ける修行の根幹にはスマホカメラごときに負けるもんかという意地も含まれていました。

ショーケースに写るスーツのマネキンと反射した街並み。

一眼カメラメーカーもスマホとの差別化を図るために高級路線にシフトチェンジして久しくなりました。だからこそ機材に自分を重ねてしまうヲタクの端くれとしてやっぱり一眼カメラこそ正義なのだという自負は高まっていたと思います。「こんな高い機材を使っている俺かっこいい」的な。「スマホ写真で満足している一般庶民は写真の楽しさを知らない愚民なのだハハハ」的な。なんとステレオタイプなことか。

木々に囲まれた幾何学的な建物。ありのままを写すNikon Z9の描写傾向がよく分かる。

言葉にしなくても心のどこかでそう思っている自分がいたと思います。過去形になっているのはそれが愚かだと気づいたからです。フラッグシップ機で毎日写真を撮ったとて真新しい驚きはありませんでした。便利でしたけどね。もちろん驚きがなかった原因はカメラやレンズのせいではないです。全ては自分の視野の問題だったように思います。(このレンズはとてもコスパがいいのでレビュー記事のリンク貼っておきます)

今時のハイエンドスマホ。

一眼カメラで不感症になってしまったらつける薬がありません。それで全く逆方向の臍で茶を沸かすことにしました。ハイエンドスマホです。もうすぐ型落ちになることが確定しているiPhone15 Proを導入しました。欲しくなった日がセール日とは言い得て妙ですから。

iPhone15 Pro香港版をスナップ撮影に導入。何よりも手軽で機動力が高いのが魅力。最初はキャナルシティ博多の噴水を撮影。
以下、iPhoneの写真です。

無印タイプではなくProを選んだ理由はただ1つ、ハイエンドだからです。これは一眼カメラ趣味で学んだ教訓でもあります。高いものには高いなりの理由があって、それは特にスペック表に記載できない快適性に顕著に表れると思っています。

iPhone15 Proの特筆すべき魅力は、1つのデバイスで5つの単焦点レンズを持ち歩いているような便利さにある。無印良品のおしゃれな天井ライトを撮影。

実際にこの予想は的中しました。iPhone15 Proで毎日スナップ撮影をするようになってすぐに実感しました。このカメラ、ものすごく動作が速いです。画面がサクサク動くのは当たり前として、(1)5つの焦点距離を指一本で切り替えられるシームレスさ、(2)RAWとJPEGの切り替えもワンタッチ、(3)いつでもどこでもセレクト作業ができて、(4)そのまま現像ソフトを立ち上げて編集、(5)書き出しをiPadやMacBookに直接送信することも可能…等等、考え抜かれたシステム設計を挙げれば枚挙にいとまがありません。謝罪します、スマホ舐めてました すいません!(1)と(2)はProに許されている特権です。ハイエンド機の付加価値は大きかったです。

さらに付加価値ブーストを続けます。今回は香港版のiPhoneを購入しました。これによりサイレント撮影が可能になります。私はApple製品の品のないシャッター音が嫌いなので香港版の付加価値は絶大でした。ものすごく快適です。日本版より数万円高くなりましたが、日割りすれば実質の差額は数十円でしょうからケチる理由はありません。(ただし海外版はSIMカードの入れ替えだけではデータ通信が再開できず、APN構成プロファイルをiPhoneに再インストールする必要がありました。これに気づかず切り替え後1日ほど陸の孤島になってしまいました。作業自体は5分もかからないんですけどね…)

朝日に照らされる看板を撮影。落書きが目立つ。記録重視の街スナップにiPhone15はおあつらえ向きだ。

もう1つ、iPhoneカメラに市販のフィルターをワンタッチで取り付けられるSTCのIMAGFILTERというアタッチメントを同時購入しました。マグネットで脱着できる58mm径のフィルター枠です。この項目に載せているiPhone写真は全てこのフィルターを装着した作例となります。

ショート動画で紹介しております!

このIMAGFILTERをカチッと取り付ける動作が写欲スイッチになっている気がして、あれだけ毛嫌いしていたスマホカメラを毎日楽しく持ち歩けている自分の変化には驚いたものです。フィルター効果としては特にNDフィルターの恩恵が大きく、日中でも被写体のモーションブラーを出せた時にはガッツボーツが出ました。いい意味でスマホっぽくないんですよね。

iPhone15 ProにIMAGFILTERを装着して58mmのフィルターをつけて表現の幅を広げている。写真にはマネキンと自転車が写っている。

カメラ本体のポテンシャルに個人的な付加価値を加えたiPhone15 Proはお手軽スナップカメラとしては相当強い実感があります。もしGRやX100viが手軽に買える世界線だったら私はそちらを買っていたことでしょう。でも買えないのです。もしPanasonicがポカを連発していなければS9を買っていたかもしれません。結果論ですが今回iPhoneを選んで大正解でした。カメラなんてスマホで十分です。(※状況によります)

さらに撮ったその端末でRAW現像できるのもiPhoneカメラの魅力である。古い建物の前を歩く人をモノクロ写真で現像した。

何かを表現したり、誰かに何かを伝える目的の写真を撮影したい場合は、ハイエンドスマホでも火力が足りないでしょう。AIが進化しても加工してしまえば記録としては嘘ですから。でも日常のスナップのような肩の力を抜いても問題ない撮影であればスマホカメラは鬼に金棒かと。

iPhone15 Proには換算77mmの中望遠レンズが搭載されていて、これがスナップのアクセントになって非常に良い。高所作業をしているスタッフを撮影。

そういえば動画も撮れますよね。最近ショートクリップをよく撮るようになりました。ProだとLog撮影できます。そのデータをアプリに取り込んでLATを当てるくらいならiPhoneだけで完結します。日常の撮影体験に新たな風を吹き込んでくれるのがハイエンドスマホだったとは…おみそれしました。

ものたりなさの正体。

ではハイエンドスマホは機材沼の終着駅に成り得るのか?と問われれば、答えは秒でです。ならんのかーいッ!

iPhone15 ProとIMAGFILTERの組み合わせで撮った中洲の風景写真。黄色味がかっているのはフィルター効果で、この写真はJPEG撮って出しである。

なりません。20数万円溶かして2週間しか経ってないのに答えは明確にNOです。撮影体験のものたりなさはZ9もiPhone15 Proも似ているようなものでした。撮る前に結果が見えているミラーレスは臨場感に乏しい…言語化するとそんなところです。私の場合は…ですね。

アナザーカットの動画版もございます。

なので、毎日ニヤニヤしながら機材を弄る趣味の着地点はやっぱり一眼レフじゃないか?…と周回遅れの定期便がまたやってきそうな予感がしています。何度目だよそれ?いい加減にしてくれ(褒)。

では皆さん、また次の沼でお会いしましょう。

ブログ管理人:isofss(イソフス)