ここにElicarという名の古のレンズがございます。日本のメーカーが海外輸出用に作っていたオールドレンズらしいのですが、ご縁あってお借りする機会を賜りました。今回はElicar V-HQ Macro MC 90mm F2.5をNikonのカメラに装着してスナップした様子をお届け致します。
FとZのボディに装着。
今回お借りしたElicar 90mmはNikon Fマウント用でした。それでまず我が家に鎮座しているD4sにネイティブに接続してみます。Fマウント対応とはいえ電子接点はありません。Ai改造されたオールドレンズのような扱いになります。
レンズ情報手動設定で焦点距離を入力しようと思いましたがD4sには90mmという項目がありませんでした。しかたなく85mm・F2.5のレンズとして登録。レンズの絞りリングを回すときちんとF値が反映されました。
一方でミラーレス機のZ9にマウントアダプターを介して接続した様子がこちらです。Z9のレンズ情報手動設定は芸が細かく、焦点距離やF値だけでなくレンズ名も入力することが出来ます。もちろんExif情報も記録されます。ボディ内手ぶれ補正の恩恵にも浴することも可能です。至れり尽くせりでした。さぁこれで準備は整いました。
ちなみにElicar 90mmだけで全カット撮影を行ったブログ記事が↑こちらです。さすがは中望遠域のマクロレンズ、物撮りにはめっぽう強かったです!寄ると実行F値は暗くなりますが、どのみち露出はブラックボックス状態でストロボを使ってライティングしているので問題にはなりませんでした。逆光だとコントラストが低下するオールドレンズらしさも健在で微笑ましかったです。
SnapBridgeで現像。
オールドレンズとはいえ非常に状態の良い玉でしたからスナップに持ち出すのは気が引けたのですが…しかしそこは機材ヲタクの好奇心が勝るわけですよ。こういう時のレンズプロテクトフィルターは心の保険になりますね。
Z9に装着してRAW撮影、SnapBridgeで現像しています。それにしてもスッキリ写りますね。個人的にはフリンジは嫌いじゃないので気にしません(出てますけど)。
おしなべてハイライト側はスポンと飛びがちでした。でも線は細い。高解像度のZ9で使う分にはオールドレンズのエモっぽさを引き出すことが難しい印象でした。最近、低画素のCCD機D60の色味にハマっている影響もあってどうにかこうにか”いなたい写真”を作れないか試行錯誤しております。
ハイライトが弱い特徴を逆手にとってモノクロで出力。シャドーを下げてコントラストを強くするとわざとらしくなってしまったので薄味にしておきます。嗚呼これはいけません。ちょっと持ち歩いたくらいで分かった気になるのは機材系として1番ダメなレビューなのです。
ということで初心に戻り、部屋でブツを撮ってみました。やっぱり中望遠マクロレンズはこういう使い方が1番しっくりきますね。何も凝ったことはしていません。カメラを三脚に据えてストロボを天井バウンスしているだけです。ミラーレスカメラのピント拡大機能を使えば老眼気味の私でもジャスピン連発です。オールドレンズとミラーレスカメラのコラボは最強だと思いました。
Capture Oneで現像。
今更ですが現像ソフトのCapture Oneを買いました。昔FUJIFILMユーザーだった時のExpressアカウントに頻繁にアップグレードDMが届いていたのですが、今回は60%OFFクーポンが添付されていたので衝動買いしてしまいました。これが使いやすいのなんの。以下の写真はCapture Oneで現像しています。カメラとレンズは同じです。
Capture Oneの初陣にElicar 90mmで撮ったデータを流し込んだわけですが、ファーストインプレッションとしてNikon純正SnapBridgeと比べるとよりクリエイティブな(つまり捻った)出力ができそうな印象を受けました。限りなく見た印象に近いニュートラルな写真を作りたい時はやはりSnapBridgeは強いと思いますが、普段使いはCapture Oneで確定です!一抹の不安はプリセットを買い漁る沼の扉が開きそうなこと…。
Capture Oneは特にUIの作り込みが素晴らしく、特段まだ何もチュートリアルを見ていないのに操作が可能でした。パラメーターを調整した時のレスポンスもシームレスでブラボーなソフトウェアだったのです。そりゃ世界中で使われている訳ですよ。もっと早く買っておけばよかったなぁ。(定価が5万円を超えるので敬遠していましたが…)実質2万円だったので大満足です。
Elicar 90mmに話を戻します。もとよりマクロ用レンズですのでフォーカスリングの回転角はかなり広いです。よって(素早さにはかけますが)細かなピント合わせは得意です。前述の通りピント拡大機能との相性は抜群です。この記事の執筆時点ではZ9には半押しピント拡大解除機能はまだ搭載されていません。私はオールドレンズが大好きなのでZ8に載っているこの機能がZ9に踏襲されることを切に願っています。
あまりにも端正にピシッと写ってしまうので↑この写真は現像でホワホワ方向にいじっております(…スマホのディスプレイではうまく表現できないと思いますが)。このレンズは撮って出しでエモい写真を撮るのは苦手なのでしょう。本当によく写りますから。
Elicar 90mmは等倍マクロまで接写できます。↑この写真はハーフくらいでしょうか。もっと寄れます。Z9側のボディ内手ぶれ補正が使えるとはいえ、ずっと寄りで撮っていると酔うほどです。
最後の写真はモノクロにしました。ブログの読み込み速度を上げるためにWEB上の写真はサイズも圧縮も限界ギリギリを攻めているのですが、それでも梁の継ぎ目が写っているのでやはり解像力の高いレンズだなと感じました。お見事です。
海外向けプロダクトだった経緯からして今時国内で見かけるのは難しい希少な銘玉なのでしょう。今回は貴重な経験をさせて頂きました。やっぱりマニュアルフォーカスレンズは楽しいですねー。もちろんD4sでも使いましたよ。その様子はYouTubeでご覧頂けますのでおかわりご所望の方は是非。では皆さん、また次の沼でお会いしましょう!
ブログ管理人:isofss(イソフス)