50mm F2.8のオールドレンズで地味に財布が削られている秋の夜長。なんで人は同じ焦点距離のレンズを買ってしまうのでしょうか?そんな人類の謎はさておきじゃあこの2本の写りは違うんかい?って疑問にお答えする対決やります!どちらかのレンズを購入検討されている方のお役に立ちますように。(当記事の内容は動画でもご覧頂けます↓↓↓静止画で確認したい方は記事がおすすめです)
1.形から入る人。
見てください、この心をくすぐる形。これが1本数千円でポチれるのですから恐ろしいものです。どちらもフィルム時代に暗室の引き伸ばし機に装着されていた引き伸ばしレンズとなります。既にディスコン製品ですが中古市場で安価で流通しています。
↑左がNikonのEL NIKKOR 50mm F2.8 Nです。レンズ設計は4軍6枚のダブルガウス。末尾にNがつくと引き伸ばしレンズの中では後期のものらしく、鏡筒はプラスチック製です。そして右がFUJIFILMのFUJINON EX 50mm F2.8です。このレンズが沼の入口でした。4群6枚のオルソメター型。EL NIKKORより鏡筒が一回り大きいですが絞りステップが半段ずつ変えられます(EL NIKKORは1段ずつ)。
ミラーレスカメラに繋ぐ。
レンズにはそれぞれピントを合わせるための距離・フランジバックというものが存在し、近年のミラーレスカメラはフランジバックが短い設計のためオールドレンズをアダプターで繋いで遊べる時代になりました。
一例ですが、EL NIKKOR 50mm F2.8 NをNikon Zマウントのカメラに繋ぐ方法が↑上の図です。引き伸ばしレンズにはフォーカスリングが存在しないので、カメラに繋ぐにはヘリコイド付きマウントアダプターが必ず必要になります。これが高い!24000円くらいします(レンズの何倍やねん)。…中華製の激安品もありますが、悪いことは言いまへん、SHOTENの高いやつ買いましょう。たぶん一生使える品質。末尾にMがつくタイプです。これによりカメラ側のマウント形状からライカMマウントへ変換されます。かつヘリコイド機能でピント合わせを可能にする優秀なアダプターです。一方で引き伸ばしレンズは大抵はL39マウントです。残ったフランジバックを利用しつつライカMマウントからL39マウントに形状を変換(自作)させれば完成です。文字で説明すると長くなるので詳細は動画をご参照下さい。
では早速、描写テストしましょ。
2.最短撮影距離。
ランチ代が消し飛ぶ勢いの高額アダプターを買ったからには真っ先に最短撮影距離を調べるのが人の性というもの。↓限界まで寄って撮影しています。なお、この先の作例写真は(レンズの特徴を見たかったので)露出やホワイトバランス等の設定をフル固定で撮影したJPEG撮って出しです。
いかがでしょうか?50mmレンズとしては至って普通(寄れるとも寄れないとも言えない距離)かしら。蛇足ですが後ボケがうるさくなくて嬉しかったです。で、最短撮影距離の詳細は自宅でメジャーを使って再計測。2本ともほぼ同じ結果でした。実はどちらも若干オーバーインフなんですよね。(フランジバックが2mmくらい足りてないのでヘリコイドを閉めた状態で無限遠が出ない=最短撮影距離が長くなる。)←もしぴったり合わせられたらもう10cmくらいは寄れそうな予感がします。フランジバック世界最短のZマウントでこれですから、他社カメラの場合はもっと寄れないレンズになるでしょう。最初からマニアックな話題ですいません汗。
テーブルフォト
50mmレンズで最短撮影距離50cm代というのは↓こういうことですね。カメラ好きがスタバでやってしまうヤツ。室内なので開放F2.8で撮っています。ピントの芯は幅3cmくらいでしょうか。椅子からちょっとのけぞってます。隣に座っていた女子に席を変えられるのはご愛嬌。
個人的に50mm画角がいいなぁと思うのは、こういうテーブルフォトで歪みが少ない点だったりします。それにしても似たような写りですね。シャッフルしたら見分けつかん。
3.丸ボケの形。
続いて丸ボケの形を見てみましょう。どちらのレンズも絞り羽は8枚です。開放F2.8で撮影しています。
まぁまぁ綺麗な円形ではないでしょうか。非球面レンズは使われていないので玉ねぎボケもありません。口径食はそれなりにありますね。そこまで酷くないけど。
4.逆光耐性。
逆光には弱いです。元は暗室用レンズなので屋外で使うのはしんどいはず。レンズフードもありません。(つけようと思ったら付けられます。EL NIKKORのフィルター径は40.5mm。FUJINON EXは46mmでした。)下の写真では画面左上に太陽がある状況です。
酷いフレアやゴーストは出ないのですが(ある意味で味がない?)兎にも角にもコントラストがドカッと下がります。淡〜い写真になりがちです。太陽のような強い光源でなくても、明るい青空…ですら如実に影響が出ました。
ハイライト?
明るさに関して気づいたことが…。EL NIKKORの方なんですけど、ハイライトの粘りがなくて飛びがちだったんですよね。露出は同じなのでレンズの性格なのかもしれません。ヒストグラムを比較してもハイライト部が右に寄ってました。↓作例をいくつか。
↑画面中央の「JR線のりば」のあたりとかどうでしょう。やっぱりEL NIKKORの方がちょっと明るいかと。
5.歪曲収差。
これはGOODなのです。引き伸ばしレンズは歪まないと聞いていましたが、噂通り伊達じゃありませんね。電子接点などありませんからカメラ側で電子補正はかかっていません。でも端までピッシリ真っ直ぐ!えらい。
歪みゼロを謳ってもいいかな。なんの心配もせず普通に使えます。
6.絞った時の遠景描写。
(例の如く屋外使用ではコントラスト低下は否めませんが)おそらくレンズの一番美味しいであろうF8で遠景の描写を見てみましょう。
描写は拡大しなければ普通な写りのような。↑この写真はWEB用にかなりサイズを抑えていますが、PCモニターで等倍で見ると画面中央の看板の文字が読めました。所々フリンジも確認。等倍で見るとFUJINON EXの方が線がくっきりしているようにも見えました(画面中央のワイヤーとか)。普段そんな見方しない…と言えばそこまでです!
まとめ。
写りを比較する企画のはずが、どちらも似たような写りで見分けがつかない印象…それは私の目の問題かもしれません!汗。使い勝手で言うとどちらも軽量コンパクトでスナップ撮影には俄然向いていると思います。最大の難関はヘリコイド付きのマウントアダプターが高額な点でしょうね。ただ前述の通りこのアダプターの工作精度は非常に高いので買って後悔はしないと思います。ライカMマウント変換なので引き伸ばしレンズ用途でなくてもMマウント沼に溺れるきっかけになりますよフフフ。
あとプラスチック鏡筒の弱点かもしれませんが、剛性が高くないので落下させたら一発で壊れると思います。大きめの前玉は指が触れやすく汚れやすいです(フィルター推奨)。鏡筒内にゴミも入りやすいです。まぁ細かいこと言ってはキリがないですが。…こうなってくると金属鏡筒の引き伸ばしレンズが欲しくなるところで…
あったぁぁぁぁ!いやもう完全に沼ってます。またポチってしまいました。次回に続く。最後までお読み頂きありがとうございます。しばらくは引き伸ばしレンズで遊びたいと思います。諸々の引き伸ばしレンズ記事はこちらから一覧ご覧頂けます。では諸君、良き沼LIFEを!かしこ。
ブログ管理人:isofss(イソフス)