ここで会ったが100年目!ジャンク市で見つけた引き伸ばし用レンズで沼を脱出だ。え?「沼を終わらせるための沼」とか言って大三元買ったくせにだと?ぬぐぐッ…き記憶にございません。そんなこんなで一目惚れしてしまったオールドレンズFUJINON EX 50mm F2.8を我が愛機Nikon Z6に変態的に接続しようと思う。同じように沼でもがくそこの貴方(多分変態でしょ?)に楽しんで頂ける記事になることを願いつつ。

見よこの神々しいFUJINON EX 50mm f2.8

1.君の名は?

その名はFUJINON EX 50mm F2.8。今更こんなレンズを使う輩がどれほどいるのか甚だ疑問ではあるが、もしも情報を探しておられる方がいれば下記を参照頂きたい。(ググっても情報が少ないレンズなのでお役に立つかもしれない。)ソースはヨドバシ.comの過去の販売ページだ。他にもいろんなサイトの情報から引用させて頂いている。

  • 用途:引き伸ばし用レンズ
  • フォーカスリング:なし。
  • 焦点距離:50mm
  • F値:2.8〜16まで。刻みは0.5段ずつ。
  • 絞り羽:8枚
  • レンズ重要:95g
  • フィルター経:46mm
  • 歪曲収差:0.1%
  • レンズ構成:4群6枚
  • フランジバック:38.5mm
  • マウント:ライカL39
  • 販売時期:2型受注生産が2013年頃
逆手順で組み直して終了です。

特筆すべきはこのコンパクトさ。もちろん軽量。執筆時点ではNikon Zマウントにパンケーキレンズは存在しないので、ジャンク市でこの子を見つけた時は興奮してしまった。小さなレンズで気軽にスナップ撮影できると考えるとヨダレものである。しかし!もとはフィルム現像時の引き伸ばし機に使われるレンズ。このままでは使えない。ここから長い長いマウントアダプター探しの旅が始まる。(その過程が楽しかったりするのだが。)

2.マウントアダプター探しの旅。

どんなレンズであれフランジバックさえ合わせれば実用可能となる。フランジバックとはレンズマウント面からセンサーまでの距離。このFUJINON EX 50mm F2.8のそれは38.5mmと、引き伸ばしレンズでは特に短い仕様らしい。よって短めのレンズ全長を期待できる。なお接続先のNikon Z6のフランジバックは16mmなので、38.5mm-16mm=22.5mmのマウントアダプターが必要になる。

マウントアダプターを経由するイメージ図

頭を悩ます問題が1つ。このレンズにはフォーカスリングがない。なのでヘリコイド付きマウントアダプターを探さなければならない。ヘリコイドを閉めた状態で22.5mmを確保してようやく無限遠にピントが合い、ヘリコイドで伸ばした分だけ手前にピントが来るようになる(らしい)。

安物は嫌だ…。

こだわらなければ最適解はすぐに出るのだが…。思いっきり中華製でよければPixco(ハシュポ)という中華メーカーのM42マウント用ヘリコイド付きアダプターが使える。ヘリコイド幅は17mm〜31mmのタイプを選ぼう。Amazonで買えるし4000円弱とコスパも良い。マウントを合わせるために別途、Zマウント→M42マウント変換アダプター(Pixco製・1000円程度)と、L39マウント→M42マウント変換リング(スクリュータイプ・500円程度)が必要になるが、どちらもAmazonで買える。便利な時代になったものだ。アダプター類合わせて追加予算6000円もあれば足りるだろう。下記は接続イメージである↓↓↓

M42経由であれば最適解が既にある。

だがしかし!個人的主観だがどうも中華系安物ブランドの工作精度は信用できない。(Pixco利用者の皆様には申し訳ないが…)以前に別の中華製安物ブランド製品を買った時に箱がベコベコで届いた経験があり、梱包レベルでその程度であれば工作精度まで期待できるものか…と、偏見の食わず嫌いを治せないでいる。だって写欲に直結するヘリコイドはヌルヌルのヌルと相場は決まっているのだから!妥協は許されない。

焦点工房のLM-NZ Mが欲しい!

試行錯誤の末、選択肢は1つになった。ヌルヌル系ヘイコイド付きアダプターといえば焦点工房のLM-NZ Mだろう!(これはNikon Zマウント用だが他社マウント用も存在する。)実は前々から目をつけていた商品だった。同じく中華製だが工作精度は折り紙付き。まきりなさんも使っているから間違いない。ただしマウントはライカMマウントなのでフランジバックは再計算しないといけない。

作りは良いが価格はブッ飛んでいる。(ううううう…大三元の支払いが来たばかりなのに)ここで散財とは正気の沙汰ではないが、Mマウント経由を選択しておくことのメリットがもう1つある(という大義名分を見つけた)。万が一、FUJINON EX 50mm F2.8の描写が好みでなかったとしてもMマウントであればコシナのフォクトレンダーに乗り換えられるではないか!おぉこれは名案。

ライカMマウント経由でフランジバック計算。

ライカMマウントのフランジバックは27.8mm。Zマウント16mmを差し引くとアダプター全長は(ヘリコイド閉めて)11.8mm。このアダプターはZマウント側には直付け出来るが、 レンズ側のMマウントをL39に変換しなければならない。ここで手のひらを返すようにPixco再登場、Mマウント→L39変換アダプター(厚み約1mm)がAmazonに売っていた。22.5mm-11.8mm-1mm=あと9.7mmで無限遠が出る。Mマウント用の中間リングを挟みこめば無限遠が出る。もう少しだ!

LM-NZ Mで具体的に構成してみる。

さすがはライカMマウント、そうは問屋が卸さない。 Mマウント用の中間リングは存在するが数が少ない。K&F Conceptが出している8mmのエクステンションチューブ、この1つしか見つけられなかった。長さは最適だ!なおK&F Conceptも中国ブランドだが別のアダプターを買った経験から言って信頼できるメーカーだと思う。しかしアダプター総額約30000円にはビビっている。レンズの10倍じゃん…。

3.装着してみる。

焦点工房のLM-ZN Mが届いた。

経費削減のためにLM-NZ Mはみんなの防湿庫ことMapCameraで中古を購入した。見よ、この素晴らしいプロダクト。化粧箱もさることながら肝心のフォーカスリングのヌルヌル感も期待通りだった。やっぱりMマウント経由にしておいて正解だった。

Z→M→L39へ変換する。

続いてPixcoのMマウント→L39変換アダプターが到着したのだが、新品にも関わらず荒いアルミ削り出しの先端でLM-NZ Mのマウント面に速攻で傷が入った…。あちゃー言わんこっちゃない。あとは中間リングだが…最後の最後で芋ってしまってK&F Conceptのアダプターを買わなかった。コストを抑えるためにステップアップリングで代替しようと。L39スタートの中間リングを探した。L39→M42ステップアップリング→M42→L39変換リングで経を戻す=ステップアップリング幅約3mmが確保できる。これを2回繰り返して約6mmを稼ぐ。リング2種4個で1600円程度だった。ただし中国直送便となり到着まで3週間はかかる。うーん、ケチったおかげですぐ写真撮れないぞ。

※これがマズい判断だった件は下記に追記あり。

一足先につけてみた。フランジバックは足りない。

ダメもとで中間リングなしで繋げてみたのだが…ありゃりゃかっこいいじゃないか!現状ではフランジバックがあと9.7mm足りてないが、これはワンチャン写真撮れたりして…?よし、実験してみよう!

4.ピントが合わない変態レンズ。

未完成のままスナップへGO!して結果やいかに……

ピントが合わないお花
解放F2.8、近距離
ピントが合わない道
最小絞りF16、中距離
F16でもピント合わず。
最小絞りF16、遠景

やってみてダメでしたハイ。どこにもピント合わず。F値を最小絞りF16にして被写界深度を広げても無限遠にはならず。これはおとなしく中間リング(もどき)の到着を待つしかございません。

まだ見ぬFUJINONの描写を夢見て。

結局まだレンズの写りにたどり着けていない。しかしゴールに向かう途中の試行錯誤もまた楽しいものだ。今日はここまでとし後日改めて完成したレンズで作例をご紹介したい!ぜひまたお立ち寄り願いたい。1つ前の記事でレンズ清掃編もございますのでそちらも是非。この記事の内容がこれから引き伸ばしレンズを使うかもしれない方のお役に立てば誠に幸いです。

では諸君、良きアダプターLIFEを!かしこ。

ブログ管理人:isofss(イソフス)

※追記。即納できるPixcoアダプターを(我慢できず)別で注文して装着したところ最悪の展開に。次回、安物は買ってはいけない話!