それは突然の出来事だった。夜のイルミネーションをスナップ撮影していた時のこと、見知らぬ美女2人から声をかけられスマホを渡された。モテ期到来か⁉︎…否、そうではない。「写真撮ってもらっていいですか?」どうやら後ろに聳え立つ巨大ツリーを背景に記念撮影をしたいらしいようだ。任せろ!この日のために日々鍛錬を重ねてきたのだから。

1.「縦でいいですか?」

気持ちとは裏腹に出端からコケてしまった。考えうる最悪の言葉が口をついて出てしまったのだ。「あ、はい。」と回答はあったものの、その表情からすると(それはそうでしょ…)が本音のように聞こえた。女の子は縦撮りと相場は決まっているのだな…メモメモ。

2.蘇る記憶。

思い返せばあれは中2の夏。付き合いたての彼女との下校中に母と遭遇した時の記憶がフラッシュバックする。色恋に厳格だった母の言いなりになり車で回収された少年は、愛しい人をその場に残すという人生の汚点とも言える愚行を犯した(実話)。それ以来、女性と同じ空気を吸うことすら罪であることを疑わず歳を重ねてきた道のりだった。よもやよもや目の前の麗しき乙女達の望む「映え」など分かりようもない。穴があったら入りたい。

3.「全身でお願いします。」

この一年間、修行と銘打って私は焦点距離85mmのレンズだけを使ってきたのだが、この時は染み付いた画角感が仇になった。前述の通り「縦構図」とくれば自ずとバストアップが鉄板だ。スマホは画角が広いため2人との距離は近かったように思う。そこに彼女達からオーダーが入る。全身を入れて欲しいだと⁉︎なんで気づかなかったんだ。私の心はまるで、落としたコップの上をブルドーザーが走り抜けた時のように砕け散ったのだった。

4.教訓。

写真に真っ先に必要なのはゴールだ!そして人それぞれゴールは違う。写真好き・カメラ好きの端くれを名乗るのであれば他人のゴールに目ざとく反応する感性もまた磨く必要がある。さぁ涙を越えていこう。

では諸君、よきスナップLIFEを!かしこ。

ブログ管理人:isofss(イソフス)