一目惚れから10日あまり。ようやくFUJINON EX 50mm F2.8をNikon Z6に接続する全ての道具が揃った。撮影ができるぞ!これからスナップ作例・レンズ収差。ボケ味などを取り上げようと思う。こんなニッチなレンズレビューにどれほどの需要があるか分からないが、レンズ好きな方の酒の肴になれば幸いだ。さぁ、見せてもらおうか、引き伸ばしレンズの性能とやらを!

1.レトロな外観。

見よ、この美しいフォルム。FUJINON EX 50mm F2.8

ご覧あれ、この美しいフォルムを!これだけでご飯3倍おかわりできそうだ。

FUJINON EX 50mm F2.8とZ6を正面から見た時。

前すぼみなレンズの形もけっこうイイかも。レンズフードを付けるとバランス崩れそうだけど、これに角形フードなんかつけた日にはヨダレが垂れそう…ごくり。フィルター経は46mm。Amazonに売ってるから悩ましい(苦笑)

横からの見た目はイマイチ。バランス取るには角形フードを買うべきか。

FUJINON EX 50mm F2.8とZ6を横から見た時。

ロックできない!

重ねに重ねてフランジバックを合わせる。

七転八倒したフランジバック確保の旅はライカMマウント用のエクステンションチューブで解決したと思っていた。(※理屈に関してはこちらの過去記事参照されたし。) ヘリコイド伸縮0で若干オーバーインフ気味だが少し回せば無限遠が出る。しかし!アダプター同士が干渉してロックできない接続となってしまった。そもそも3種類のマウント(L39→ライカM→Nikon Z)を経由する運用がイレギュラー過ぎる話なのだけど。

本来はピンと穴が噛み合う。
本来は赤丸部分のオスとメスが噛み合うはずだが…
唯一の欠点はアダプターをロックできないこと。
ここでカチッとロックされるはずだが、無理だった。
ヘリコイド同士がロックできない状態。
ロックできないので、奥に回しているだけの状態になっている。

マウントアダプター遊びは自己責任の世界なので納得する他ないのだが、スナップ中に鞄からカメラを取り出そうとレンズを掴んだらボロッと外れてしまった…。くわばらくわばら。良い子は真似しないで下さい。(と言いつつ使っているリングは下記の通りです。ほんまに中華メーカーさんありがとう。)

  • SHOTEN LM-ZN M (Zマウント→ライカMマウント)
  • K&F Concept エクステンションチューブ8mm
  • Pixco アダプター (ライカMマウント→L39マウント)

とてつもなく軽い。

とにかく軽量コンパクトで楽ちん。
スナップで実感。

公表値ではレンズは95g。アダプター類すべてを合わせても300gないと思う。(計量器を持っていないので正確な値は不明。) しかし計らなくとも分かる、軽いぞこれは。鞄にもスポッと入る。軽いは正義だと実感した。

Z6で手ぶれ補正を効かせる。

Z6側でレンズ情報手動設定を行う。

Z6のボディ内手ぶれ補正を使わない手はない。設定画面でレンズ情報を入力してONにした。手ぶれ補正の恩恵は特にピント面拡大時に大きかった。ピタッと止まるのでマニュアルフォーカスに集中できる。いやはやミラーレス様様だ。

2.最短撮影距離54cm

最短撮影距離は約54cm

ドラえもんの目にピントを置いて最短撮影距離をメジャーで測ったところ約54cmだった。(これはヘリコイドの繰り出し量によって変わるので誰のカメラでも54cmになる訳ではない。Zマウントの場合は元々Zのフランジバックが極端に短いから(16mm)その分マウントアダプターのヘリコイド量が長めに作られているという事情もある。) 決して「寄れる」と言える距離ではないが、ライカMマウントの標準的な70cmに比べるとそれなりに善戦している。焦点距離50mmで最短54cmだとテーブルフォトはギリギリかも。

3.収差はどうか?

歪曲収差。

歪曲収差0.1%という実力を試してみる。

ちょっと汚れてて申し訳ない…。最短撮影距離でF2.8で撮影。デジタル補正なしでほぼ真っ直ぐな描写とは大したものだ。(端の端で若干樽型か?その程度。) 正確さが求められる引き伸ばしレンズらしい性能だった。過去のヨドバシの販売ページの情報によると歪曲収差は0.1%とあった。この程度であれば問題なく素で使えるだろう。↓ついでに外の壁でも試してみた。距離にして約2m。

歪曲収差チェックを外の壁でやってみた。

フォーカスブリージング。

全群繰り出しレンズの宿命か。ピント位置によって画角は若干変わってしまう。致し方ないだろう。Zレンズはマルチフォーカス駆動でピント合わせをしてくれるのでブリージングは0。それに慣れてしまったのは贅沢な悩みなのかもしれない。

パープルフリンジは出るか?

パープルフリンジが出ないかチェックしてみる。

全国のオールドレンズ達に恨まれそうなハイコントラストな条件で撮影してみた。フリンジは若干出てるが、酷いレベルではない。少なくともCANONの50mmF1.8の撒き餌レンズより優秀。

逆光耐性は?

ド逆光でもゴーストは出ない。

ド逆光で撮影してみたのだが、あれ?ゴースト出ない。そんなまさかと思って↓今度はレンズ内に太陽を入れてみたが…あれ?逆光耐性あるかも?フレアとコントラスト低下はあるが個人的には許容値内だった。

太陽を思いっきり画面に入れてみた。

4.明るい作例。

このレンズの作例写真は、RAW撮影後にホワイトバランスと明るさを調整したものを投稿している。Nikon側のピクチャースタイルはスタンダードに固定。添加物なしのレンズの色と筆をご覧頂きたい。まずは光が多い環境での写真から。

周辺減光と描写力。

描写力と周辺減光をチェック。
開放F2.8

開放時は若干減光するかな?という程度。それにしても4群6枚のシンプルなレンズ構成なのによく写るなと感じた。中央下部分を拡大してみると…↓↓↓

開放F2.8でここまで写れば文句なし。

よく健闘していると思う。この小さなガラス玉でここまで写るのなら大満足。値段を100倍にして重さも4倍にすれば大三元レンズになるが、果たして日常使いでそこまで必要かと言われれば…。

絞り込んだ時。

オールドレンズにありがちなマゼンダ被りは被りはない。
F8

オールドレンズをミラーレスカメラに装着した時にありがちな色被りは見受けられなかった。↑こんなにスパッと写るものか?思いのほか描写が良かったのは嬉しい誤算。

ボケ味。

ボケのざわつき方も上々。
F2.8

高級単焦点みたくトロけるボケ味ではないが、決して悪くはないと思う。ジャワつきも最低限。あからさまな2線ボケもなく、スナップでも使いやすかった。さっきからステマレベルで褒めてばかりですが残念ながらディスコンレンズなので中古で見つけた方は即買いオススメですぞ。

5.暗所の作例。

丸ボケチェック。

丸ボケの形を確認する写真。
開放F2.8

絞り羽8枚の丸ボケはこんな感じ。中央のボケが正八角形になっていないのは羽の組付精度の問題かもしれない。(分解清掃の時にバラしてしまった経緯あり。こちらの過去記事参照) 非球面レンズは使われておらず玉ねぎボケは出ていない。端の方は口径食が出ている。

特徴的な光芒。

開放F2.8でも光芒が出る。また光源の場所によっては光芒の数が不揃いになることもある。絞り羽を抑える機構がプラスチック製で遊びがあることが原因なのかもしれない。

光芒の出方をチェック。開放F2.8から出ます。

F2.8夜スナップ。

開放でF2.8あるのはやっぱり嬉しい。手ぶれ補正と組み合わせると(シャッタースピード1/30秒くらいで)ISO感度800程度で収まってノイズレス。それでいて軽量コンパクト。とてもGOODだ。

暗所で開放F2.8の描写を見てみる。

はじめての印象。

ミラーレスはセンサー剥き出しなのでレンズキャップは必須。
センサー剥き出しのミラーレスなのでレンズキャップは必要かと。

FUJINON EX 50mm F2.8をNikon Z6で実際に使ってみたファーストインプレッションは「楽しい」だった。うん、これに尽きる。語彙が少なすぎるのでもう少し具体的に言語化してみよう。

良かったこと5つ。

(1)マニュアルフォーカスが楽しかった。ピントを合わせる時間が必要なので速射性はAFレンズより悪い。でも、撮りたい被写体に触りにいくような撮影体験は実に気持ちが良い。(2)思ったより画質が良かった。Zマウントのエグい描写に慣れているのでオールドレンズの画質に満足できるか不安だったが、いい意味で裏切ってくれた。(3)軽い。描写がいい上に持ち運びしやすいなら鬼に金棒じゃないか。早くZマウントでパンケーキを出すべきだと思いますよNikonさん。(4)50mm縛り。結果的に画角感トレーニングになるからメリットに他ならない!けど正直な感想を言うと50mmって半端で使い所が難しいな…。(5)分解しやすかった。レンズ清掃や組み上げの勉強になりました。

いまいちなとこ2つ。

(1)ロックできないアダプター。精神衛生上よくない、それだけ。(2)アダプターが高い。レンズ自体は3000円で買ってきたのに、その後アダプター周りで3万円すっ飛んで涙目。

気づいちゃった。

マニュアルレンズ沼に引き込まれたのは気のせいだろうか?奇しくもマウントアダプターがライカMマウント用じゃないか。つまりはMマウントレンズを追加アダプター費用なしでNikon Z6に装着できると言うことになる!なんて素晴らしい。これは未来や希望といった言葉が適切かもしれない。(※彼にはレンズ追加費用のことが理解できていません。)

いやいやいやいや…ようやくFUJINON EX 50mm F2.8の実運用が始まったばかりだと言うのに浮気とは甚だ罪深い。これは高嶺の花として心の奥にしまっておこう。その名はCOLOR-SKOPAR 35mm F2.5 PII VM。(しまってないよッ!) コシナが作っている現行レンズだ。実は過去にフォクトレンダーを一度だけ購入したことがあるのだが、それはそれはすっっっっっっっっっごく良い質感だったし、ユーザー登録以降毎年カタログと粗品を送ってくれるコシナにいつか恩返しという名の散財をしたい。心に決めているのだ私わ!それに35mmなら画角も被らないし。コシナさん待っててくれよっ!

50mmレンズ三兄弟が揃いました。

気づけば50mm領域で三兄弟となってしまった。左からZ標準大三元、古いFマウントマクロ55mm、そしてFUJINON引き伸ばしレンズ。似てもに似つかわぬ3本のレンズを持って街に繰り出す所存。全く、満足です。オチが自慢話とは説辛いものですが最後までご拝読頂き誠に誠に感謝申し上げます。

では諸君、良きスナップLIFEを!かしこ。

ブログ管理人:isofss(イソフス)

動画にしました!