今どき一眼レフに繋ぐためのAi改造の情報がどれくらい世間に必要なのか…皆目見当もつきませんが、ググった先で辿り着いて下さった方に一言申し上げたい。機材ヲタクブログへようこそ!感謝申し上げます。前置きは程々にしてMicro NIKKOR-PC Auto 55mm f/3.5のAi改造に取り掛かりましょう。
1.絞り環を取り外してマスキング。
Ai改造では絞り環のマウント側を削ります。早速マウントを外して絞り環を取り出しましょう。プラスネジ5本・精密ドライバーは必須です。
絞り値を伝達するレバーがあるので力技で曲げたりしないように注意しつつ、マウントをそっと引き抜きます。抜けたマウントは安全な場所に退避させましょう。
絞り環を止めているネジは1本。この個体は分解清掃しまくったせいでネジ山がガバガバになってしまいました。普段はネジの上からパーマセルテープを貼って補強しております。
掘削位置に存在するカニの爪は一旦外します。改造後に戻すのはOK。物理的には干渉しませんので。
絞り環がフリーになったらマスキングテープで養生します。開放F3.5のレンズのAi改造では、削り始めの位置はF16の「1」の真下(気持ち左)あたりです。そこから開放側に向かって36mm先が削り終わり位置となります。
削るマウント側を1.5mm程度下げて円周上にマスキングしましょう。浅すぎると改造失敗(最悪はボディ側の連動ピン破壊)になりますし、深すぎると不恰好です。ここの塩梅が難しいです。レンズ本体を安全な場所に退避させることも怠りなく。
2.金属ヤスリで削る。
掘削は毎回緊張しますね…。ヤスリは質の良い製品がおすすめです。私が使っているのはツボサンのK-051(細工用ヤスリ5本型・平215mm中目)という製品ですが、持ちやすく・削りやすいので好印象です。最初にこの中目でゴリゴリ削っていきます。けっこうな量の金属粉が出ますので着なくなったTシャツの上などで作業しましょう。
目星の深さまで削った後は精密目タイプで仕上げていきます。ツボサンのPH-135(平135mm・ポイントヤスリ精密目)を使って粗を取ります。気の済むまで整えましょう。…ここは性格が出ますww。
時間にして15分くらいでしょうか。これで良しとしましょう。マスキングを剥がしました。鉄粉が散っているのでTシャツはこのまま捨てます。
3.洗浄して組み戻し。
絞り環の内側に残っているグリスと削り粉が絡みあうと大変なことになるので、絞り環は入念に洗浄してきました。
綺麗になったところで一手間を。金属が剥き出しになっている削り跡にはペイントマーカーを塗っておくと良いというのが先人の知恵でした。ひとまず家にある油性ペンで代用(…車用のタッチペンにすればよかったと後悔)。
カニの爪は戻さなくても大丈夫ですが、せっかくなので戻しておきましょう。ネジ山の位置のギリギリまで掘削しているので強度はちょっと心配ですが。
脱脂してしまった絞り環の内側にヘリコイドグリスを薄く塗布しました。これがない場合はバイク用チェーンルブのような粘度の低いグリスで代用できるかもしれませんが(556のような潤滑剤はNG)、餅は餅屋という通りこのヘリコイドグリスはかなり有用です。いいお値段しますが1個あれば一生持ちそうな容量。オススメです。逆手順で組み戻して作業は終了です。動作確認が終わるまで気は抜けませんがね!
4.絞り連動をチェック。
カメラメニュー内の「レンズ情報手動設定」で焦点距離と開放F値を入力しておきましょう。これでExifデータの記録も出来ますね。
いざ一眼レフボディに装着!Aiの溝が浅すぎると連動ピンを折ってしまう可能性があるので、装着時に変な引っ掛かりがないか確認しながら進めます。もし削り足りない場合は最初からやり直しです。装着後→レンズの絞り環を回し→ボディ側のF値が正しく連動すれば無事完了です!ふぅ〜。
実写テストしてみる。
D850に接続し、そこらへんにあった小物で実写テスト。うむ、素晴らしい。このレンズの近接描写、好きなんですよね〜。
最短撮影距離で撮影するとここまで寄れます。スゲー。これで最大撮影倍率の0.5倍です。専用のエクステンションチューブを噛ませれば1.0倍までイケますが、素で0.5倍を出せるなら十分です。
物理的な改造なので緊張しました。無事に終わってなによりです。このレンズ、Micro NIKKOR-PC Auto 55mm f/3.5はそこそこ古いMFレンズです。開放F値が3.5なのが災いしてか中古市場では安価な部類に入っている様子。一般的なF2.8の明るさになると値段が上がるので、ある意味でダークホース的なポジションでお得満載だと思うのです。なお、以前このレンズをミラーレスカメラに繋いで撮った作例記事が当ブログの人気Top5に鎮座しております。
最後までお読み頂きありがとうございます。これだからオールドレンズは辞められません。せっかくAi改造したので、恒例の1ヶ月ブッ通しレンズ縛りスナップで使い倒してこようと思います。近接以外の描写を検証してみたいのです。今日の記事は動画版をYouTubeに投稿しております↓↓↓では次の沼でまたお会いしましょう。良き沼LIFEを!かしこ。
ブログ管理人:isofss(イソフス)