ついこの間まで興味などなかったのに…。ひょんなことから手に入れたHasselblad 500C/M。人生初の中判フィルム1本目が現像から帰ってきましたので記憶が鮮明なうちにリアル・ファーストインプレッションを刻んでおきます。

なんでまたハッセル?

なんでまたHasselbladを使ってみたくなったのか?それはウエストレベルファインダー越しのスナップPOV動画を見かけたことがきっかけでした。自分も同じことをやってみたい!と思い立ったが吉日。中古のHasselbladを購入。この記事のタイトル通り、以下に並べる写真は人生初中判フィルム・最初の1本(12枚)の写真です。

博多うろうろSNAP・ハッセルブラッド編はいつもの博多駅交差点からスタート。
SS1/60 – F2.8 – ISO100

ハッセルと言っても話題のデジタルバックではありません。装填しているのは中判フィルムです。しかも最初からリバーサルフィルムPROVIA100Fを買いました。5本セットでしか売っておらず、しかも昨今の値上がりも相まってポチる手が震える金額でした…。

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博多駅博多口から眺める人々の様子。雨が降っていて地面が光っている。
SS1/60 – F2.8 – ISO100

レンズはPlanar C80mm F2.8・銀鏡筒のTスターコーティング無しのタイプです。いなたいオールドレンズらしい描写を求めて初期型を選びました。絞りとシャッタースピードは1段刻みなので、露出精度を要求されるリバーサルフィルムで失敗しないか緊張したものです。

博多駅構内でスナップ撮影。暗い環境なのでシャッタースピードは遅くなりがち。
SS1/60 – F2.8 – ISO100

もちろん古のハッセル本体500C/M側には露出計が内蔵されていません。別途露出計を購入するのが正解なのでしょうけども…ハッセルの支払いが終わったばかりで金欠なのです。ということで今回はミラーレスカメラNikon Z9を同時に持ち歩いて露出をカンニングしました。この記事のYouTube版ではZ9の写真もご覧頂けます。

ハッセルブラッドのウエストレベルファインダーは左右反転しているので水平線を取るのが非常に困難!
SS1/125 – F4 – ISO100

カメラを2台持ち歩くのはかなりの重装備です。そのおかげで初心者でもリバーサルフィルムで失敗せずに済んだのですが、純粋にウエストレベルファインダーの美しさを楽しみながらスナップを満喫したいのであればハッセル1台+小型の露出計あたりでコンパクトにまとめた方が望ましいと感じました。

ショーウィンドウ越しのスーツをきたマネキン。流石に中判フィルムのボケ感は大きい。
SS1/30 – F2.8 – ISO100

次は画角の話。中判レンズの画角をフルサイズ換算する場合、焦点距離×0.55になると言われている理由を身をもって体感しました。今回使っているPlanar C80mm F2.8に0.55を掛けると換算44mmとなりますが、実際にミラーレスカメラ側でズームレンズを使ってハッセルのファインダー越しに見える景色に画角を合わせたところ35mm付近で画角が一致したのです!

古い木根っこを撮影。動かない相手であれば比較的落ち着いて撮影しやすい。
SS1/250 – F5.6 – ISO100

あれ?話が違うぞ…と思いましたが、よくよく考えるとアスペクト比が違いましたね。3:2のフルサイズ機を1:1で使う場合(分かりやすく2:2と考えましょう)、実測の35mmを元の3:2に戻すために1.5倍すると換算45mmとなります。よって中判レンズの画角をフルサイズレンズでアスペクト比1:1で表現するなら焦点距離35mm付近なのです。

古いトタンの壁を撮影。この1ショットに400円かかるというハッセルブラッドの難易度の高さよ。
SS1/250 – F4 – ISO100

あるいはフルサイズの44mmで撮影した3:2の写真の両端を切り落として1:1にトリミングすると中判の80mm付近になるという意味にもなります。これに気づけたのはiPadのおかげでした。フルサイズ35mmで撮影した1:1のデジタル写真を開いたところ、Exifデータ上で焦点距離が自動的に45mmと補正されていたのです。Appleは賢いなぁ!

撮影難易度は高い。

最近、フィルムがまた流行ってるんですか?そういえばリコーがハーフのフィルムカメラを新規開発している話もありましたね。これは便利になりすぎたデジタルカメラへのアンチテーゼなのでしょうか。反動でフィルムに回帰する需要は今後も一定量あるでしょうね。

古い建物を見かけるとどうしても撮影してしまう。この写真はちょっと露出オーバーになってしまったが。
SS1/500 – F5.6 – ISO100

とはいえ軽い気持ちでフィルムに手を出すのは危険が危ないと思います。イニシャルコストだけの問題ではありません。高騰するフィルム代・減り続ける現像ラボ・必要な情報がネットだと玉石混合であること…など、買った後に必要になるあらゆる要素が手に入れにくい時代になりました。だからこそ面白そう…とゾクゾクしちゃうM気質の方は適正があるかもしれません。あとハッセルに関していえばファインダー像が左右反転しますので水平出しが鬼難しいです!発狂しそうになります。

やっぱり水平出しに苦労している風景写真。大通りの橋の欄干から車の様子を眺めている。
SS1/500 – F8 – ISO100

私も当初、手持ちのミラーレス機材を全部下取りに出してHasselblad 500 C/M + デジタルバックCFV100C(最安値112万円)を装着するミニマル世界線を検討したのですが…検討止まりで正解だったと感じています。いや、それも粋かもしれませんよ?今後の写真は全てHasselbladとPlanar1本で撮り切るんだ!っていう人生も悪くはないでしょう。

帰ってきて部屋でビールを一杯いただいている時の写真。もちろん自撮りである!
SS1/30 – F2.8 – ISO100

それが老後の楽しみであれば1つの選択肢かもしれませんが、まだ現役世代で体力も自由もある状況ですから十中八九ほかの機材を使いたくなる衝動に駆られることでしょう。機材沼の病気がハッセルで一発完治する可能性は限りなく0です。やはりミラーレスカメラの便利さは手元に置いておきたいのです。となるとハッセルのデジタルバックを大枚叩いて買い足す運命になるのでしょうか…恐ろしい世界です。

没カットも捨てられない。

中判フィルムを使ってもう1つ新鮮だったのは、現像から戻ってきたフィルムの行方です。それを自分でデジタイズする方法は別途YouTubeで動画にしようと思っています。今回はかなりマゼンダ被りになってしまったので要改善ですね。で、その後フィルムどうすんのよ?物理的に残っちゃいますからねぇ…フィルムが。

朝焼けを撮影。リバーサルフィルムの発色の良さに驚かされた!
SS1/500 – F5.6 – ISO100

わざわざデジタル時代にモノが残るフィルムカメラを選んだわけです。むしろ残すことを目的にした方が楽しめるのでは?と思ってフィルムはネガではなくリバーサルにしました。リバーサルフィルム自体を飾ろうか!と。

実はラストショットだと気づいていなかった最後の1枚。中判フィルムは12枚しか撮影できないのだ!
SS1/500 – F5.6 – ISO100

でも全部が全部お気に入り写真にはなりませんし、どうしましょうかね、手持ちのフィルムを消化したら60枚ですよ。嵩張りますよ。だからと言って没カットをゴミ箱に投げ込む勇気は私にはまだありません。いかにもモノに命を感じてしまう日本人らしい発想ですねぇ…。

動画版もございます。

そんなことをしのごの考えながら現在2本目のフィルムで撮影を続けています。やっていきながら考えていきましょうかね。ことの顛末はまた記事にしたいと思っています。では皆さん、また次の沼でお会いしましょう。

ブログ管理人:isofs(イソフス)