俄にレンズ分解清掃にハマってしまいメルカリとヤフオクを行ったり来たり…。皆さんこんにちは、isofss(イソフス)です。今日は超ニッチな内容ですよ(ホンマにこれをググる人おるんやろか?)。製造1950年代前半とされている藤本写真機製E-LUCKY 75mm F3.5を分解清掃します!では早速。(動画にもまとめてまっせ↓↓)

1.外観確認。

E-LUCKY 75mm F3.5外観、前玉

どうですか!?カッコよくないですか!?正直この外観だけで買いました。しかも送料込1999円。そう、引き伸ばしレンズって安いんです。(こんなニッチなページにいらっしゃったご新規様に恐れながら補足でざいますが)引き伸ばしレンズの罠はマウントアダプター費用がレンズの何倍もかかる点にあります。まぁカメラへの接続のお話は次回にしましょう。

E-LUCKY 75mm F3.5外観、後玉

こちらは後玉側です。E-LUCKY 75mm F3.5のレンズ構成は3群3枚トリプレット型で超シンプル。張り合わせレンズがない=バルサム切れ要因のクモリが生じない・全てのレンズをバラして直接清掃できる!って想像してました。真相は後ほど。

(蛇足ですが)注意喚起。

オークションサイトで買い物する時のリスクがこちら↓↓↓これが現実です。年代物が安く売られているとはこういう意味なのですね。ほとんど前玉の拭き傷でした。

転売ヤーからレンズを買うとはこう言うことです。

こういう出品には↓たいてい下記のような文言が書かれています。

  • 写りには影響ありません。
  • 実用上問題ありません。
  • 素人保管なので詳細不明です。
  • NC/NRでお願いします。

実情を知っておくと精神的ダメージを軽減できるかも?私のような神経質タイプは素直にコシナの新品Voightlander(3万円代〜)を買うのが正解なのだと思いましたハイ。

2.前玉から分解。

E-LUCKY 75mm F3.5分解手順1、前玉をゴムのオープナーで外す

さて本題です。E-LUCKY 75mm F3.5の分解は前玉からアクセスします。ゴムのオープナーを使ってグリグリです。けっこう簡単に外れました。このレンズ、構造が超シンプルなので分解初心者の方が勉強がてら挑戦するのもありだと思います。基本的な仕組みを理解できますし、分解道具は基本的にオープナーだけでOK。

E-LUCKY 75mm F3.5分解手順2、前玉を確保。レンズ2枚が組み込まれている。

前玉が取れました。綺麗に見えますが実は小傷(拭き傷)まみれ。もともと暗室用レンズなのでプロテクトフィルターをはめるネジ山もありません。今後の前玉ダメージをどう対策するか…要検討。

中玉は組み込まれてた!

E-LUCKY 75mm F3.5分解手順3、前玉の後ろ側。あまり汚れていない。

3群3枚をそれぞれ清掃したかったのですが、中玉が前玉鏡筒に接合されていてこれ以上外せませんでした。密着しているので中が汚れる心配はありませんが(写真では判別できない程度の)粒が1つ入り込んでて…ぬぐぐぐ。無理はせずに前後2面を清掃して終了です。

3.絞り環を外す。

E-LUCKY 75mm F3.5分解手順4、絞り環を引き抜く。

次は絞り機構にアクセスします。ここもシンプルで、見えている絞り環をスポッと引き抜くだけです。

E-LUCKY 75mm F3.5分解手順5、ここは引き抜くだけでOK

古いグリスが残っていたので拭き取りました。この時、絞り環のクリック感を出している(↓赤丸)が落っこちる可能性があるので無くさないようにご注意あれ。ボールペンの先くらい小さいです。

E-LUCKY 75mm F3.5分解手順6、絞りクリックの球を無くさないように注意。

絞り値を伝達させるレバー&溝の位置が黄色の丸の部分です。組み直す際はここを合わせます。

グリスアップ。

E-LUCKY 75mm F3.5分解手順9、稼働部グリスアップ。

レンズヘリコイド用グリスを買うのが正解ですが、私は毎度バイク用チェーンルブを(一度ウエスに吹いたものをヌリヌリして)使っています。粘度の高いオイルなので今のところトラブルになったことはないです。真似する方は自己判断でヨロシク!…と言いながらリンク貼る奴↓↓↓。なお、粘度が高いというのは556などに比べればという見解でして、元はチェーン稼働部の潤滑油。飛散しにくいという意味です。フォクトレンダーのようなヌルヌル感は出ません。どちらかというとスルスル系。

4.戦いを略して、戦略。

…とは言い得て妙で。年季を感じる絞り羽ですが動きは至って滑らか。↓一応、Cリングが見えるので外すことはできそうですが辞めておきます。12枚羽なんですね。これは綺麗な丸ボケが期待できそうです。

E-LUCKY 75mm F3.5分解手順7、絞り羽は問題ないので分解しないことに。

絞り羽を全開にして後玉の前側の清掃を行いました。あとは分解した逆手順で組み戻して完了。こんなにシンプルなレンズは初体験でした。

5.まとめ。

E-LUCKY 75mm F3.5分解手順8、全部分解しても3セパレートで終わり。

シンプルだけど精巧に造られています。これが戦後10年もしない時期に発売されていたんですね。日本が製造業でのしあがった歴史の鱗片に触ることができて感慨深いものがありました。あとはカメラに繋げるだけ!

暗室用引き伸ばしレンズにはフォーカスリングがありません。フランジバックも長めなので間に噛ませるエクステンションチューブも必要→これが中国発送で2週間かかるとか(泣)。

がまんできず。

E-Lucky 75mm F3.5をとりあえずZ6iiに繋げてみたがこのままじゃピント合わない!

やっちまいました!とりま形だけ繋ぐことには成功したもののどこにもピントが合わない変態カメラの完成です。願わくばこの姿で使いたいけど無理。これを見た友達曰く「メガネがない人の世界」とな、うまい!

あれま超ニッチ回ですのに最後までお読み頂きありがとうございます。もう数日で残りの部品が届く予定なので次回はちゃんと実写テストします。ささ、みなさまも引き伸ばしレンズの浅くて広い沼へおいで下さいまし。では諸君、よきレンズLIFEを!かしこ。

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