オールドレンズを自由に一眼レフで使いたい!そんな野望を叶えるべくAi改造の沼に飛び込もうと思います。いうて私も初体験です。そんな改造初心者がNIKKOR-S Auto 50mm F1.4初期型をゴリゴリ削った記録を綴っております。同じレンズをお持ちの方のお役に立てば幸いです。(動画版も下の方にございます)

Ai改造とは何ぞ?

歴史が深いNikonのオールドレンズ。同じマウント形状を維持しながら70年近く製造されてきたFマウントレンズ。中古市場でも球数が多く比較的お安いからありがたい。しかし古過ぎる設計故に一部のレンズはデジタル一眼レフ本体に装着できないというジンクスが存在します。いわゆる非Aiレンズと呼ばれるやつです。

NIKKOR-S Auto 50mm F1.4初期型は非Aiレンズです。

今回改造するレンズ↑NIKKOR-S Auto 50mm F1.4(初期型)がまさに典型例です。このレンズはレンズ前面が先ジロと呼ばれるシルバータイプでありつつ(写真左)、かつマウント面にネジがないタイプ(写真右)という特徴で見分けられます。販売時期は1962-66年という骨董具合。もちろん非Aiレンズです。ヤフオクで3000円ちょいで購入しました。

非AiレンズとNikon一眼レフが干渉する突起はここです。

この非AiレンズをNikonのデジタル一眼レフに無理やり装着すると↑赤丸部分にある突起に干渉してしまい最悪破壊してしまいます。(カメラ本体側で突起を格納して逃す機構が設けられていない限り)この呪縛からは逃れられません。

Ai改造に必要な工具、ツボヤンのヤスリを買ってきた。

「じゃあレンズ側を削ってしまおう!」という作業を人はAi改造と呼びます。物理的な改造なので理屈さえ分かってしまえば夏休みの宿題感覚でやっちゃえるのです……なんてやる前は思えませんでしたが、私のような初心者でも上手く出来ました。工作用ヤスリを2本買いました(詳細は後程)。マスキングテープは100均でもいいと思いますがAmazonだと更に安いです。

絞り環を外してマスキング。

削る部分は絞り環の付け根です。なのでまず絞り環をレンズから取り外す必要があります。この記事ではNIKKOR-S Auto 50mm F1.4初期型の外し方を記載しております。(レンズ毎に外し方は異なるので各々ググって下さいませ。)

先にNIKKOR-S Auto 50mm F1.4の絞り環を分解して取り出す。

絞り環を止めているマイナスネジ1本を外すだけなのですが、穴がどの位置で抜けるのかを記録しておくと組み戻す時に便利です。↑この写真ではF16の位置でネジを抜いた時に別のマイナスネジが真上にくることを記録している様子です。

NIKKOR-S Auto 50mm F1.4をAi改造するにはカニの爪を外さないといけない。

古いNIKKORレンズについているカニの爪も外しました。後ほど解説しますが外しておいて正解でした。思いっきり干渉しますので。

NIKKOR-S Auto 50mm F1.4をAi改造、F8の位置からマスキングテープで養生。

絞り環が独立したらマスキングテープで養生します。開放F1.4のレンズは絞りF8が削り開始位置です。終点はそこから4cm右側です。削る場所はマウント側になります(写真矢印)。絞り値側ではないのでご注意を。ひっくり返して概ね1.5mm程度下げたところに横方向のマスキングを貼ります。(開放F値によって横方向の位置は異なりますので改造したいレンズ毎にググって下さいませ。)

削る・削る・削る!

NIKKOR-S Auto 50mm F1.4をAi改造、ヤスリがけで粉だらけ!

なにせ初体験ですから削り出しが一番緊張しました。ツボサンのK-051(細工用ヤスリ5本型・平215mm中目)というヤスリを使いました。このヤスリ、作業しやすくて良かったです。↑ご覧のように金属粉が出ます。20分くらいゴリゴリ削りました。

NIKKOR-S Auto 50mm F1.4をAi改造、削り終わった直後の様子。

ある程度削ったら、ツボサンのPH-135(平135mm・ポイントヤスリ精密目)で仕上げていきます。Ai改造ガチ勢の方はここからさらに黒塗りするらしいです。すごいな。

カニの爪はやっぱりNG。

NIKKOR-S Auto 50mm F1.4をAi改造した後でカニの爪をつけてみたが、干渉してしまうことが判明。

削り終わった後でカニの爪を戻してみたのですが干渉してますね。正確には干渉部分(ボディ側の突起)の外側に爪が被さっている状態ですが、安全を優先して外すことにしました。

Ai改造完了!

絞り環を組み戻してAi改造完了です。とりあえず俯瞰で眺めてみましょう。レンズ左側のシルバー部分が新たに出現したAi対応溝です。

Ai改造が終わったNIKKOR-S Auto 50mm F1.4初期型、俯瞰図。

↓横から見るとこんな感じ。この溝がボディ側の突起と干渉しないためのクリアランスとなる訳ですな。

NIKKOR-S Auto 50mm F1.4をAi改造。削り終わった後の絞り環がこちら。

↓元からAi対応しているオールドレンズ(右)と今回削った絞り環(左)を比べてみましょう。溝の深さがほぼほぼ同じになっていて安心しました。

Ai改造済の絞り環と、Aiレンズの絞り環を並べて比較。

初めての工作でここまで上手くいっていいのだろうか…と逆に不安になりますが、おそらく工具のチョイスが良かったのだと思います。100均で買わなくてよかった。

装着テスト&チェック。

ドキドキの装着テストの前に、一眼レフ本体側のレンズ情報手動設定を入力しておきます。これでExifデータも記録できますね。

Ai改造が終わったら、レンズ情報手動設定をしてからレンズ装着しよう。

↓で、装着してみました!ドンピシャ過ぎてチビりそうです。やった!

Ai改造レンズをD850に装着。溝のクリアランスは良好!

↓実絞りを変える度にボディ側でも絞り値を認識していることも確認。素晴らしい。成功です。デジタル一眼レフに古いNIKKORが装着できる喜びはひとしおです。

Ai改造が上手くいくと実絞りに合わせて設定が変わってくれる。

まとめ。

Ai改造が完了したNIKKOR-S Auto 50mm F1.4をD850に装着!かっこいい。

すんなり上手くいってビックリしました(これならもっと早くやっておけばよかった)。しかしこういうDIYは慢心している時が一番危ないので兜の緒を締めようと思います。他にもAi改造したいレンズがあるのでなおさら。これからAi改造に挑戦される方にはどうかご武運を!(動画版を貼り付けておきます↓)

最後までお読み頂きありがとうございます。今月はD850に繋げたNIKKOR-S Auto 50mm F1.4(Ai改造済)でスナップ修行していこうと思います。これだから機材沼はやめられない。…ということで諸君、また次の沼でお会いしましょう。良き改造LIFEを!かしこ。

ブログ管理人:isofss(イソフス)