お財布に優しい…ただそれだけを追求するもよし。ただし失うものもございます。一眼カメラの交換レンズを安物で済ませた時の代償について今日は写真を交えながら語らいましょう。お安いレンズを買う前に考えたいお話!

安いレンズの所以。

昨今値上がりが止まらない一眼カメラ機材群。特に現行品に関してはドンドン上がっています。交換レンズも例外ではありません。でも欲しいじゃないですか!もうこうなったら(デメリットを先に理解した上で)清濁併せ持つ広い心で安物レンズを手に入れようじゃありませんか。

あえて不人気レンズを選ぶ。

古くて・玉数が多く・人気もないレンズは…お安いものです。お財布的にはありがたいかもしれませんがだいたい描写もパッとしないレンズが多い印象。だから不人気なんでしょう。安いとはそういうことです。

E-LUCKY 75mm F3.5作例6、F8で遠景。周辺の流れは否めない。
なんとなくシャキッとしていない。

該当レンズの名誉のために名前は伏せますが、当記事に掲載している写真はそんな安物レンズ達で撮影したものです。↑上の写真は3000円のオールドレンズ。なんかこう…パキッとしませんね。元データを拡大すると像が流れてました。安さと引き換えにこういう収差を甘受しなければなりません。具体的に紐解いてみましょう。

収差との戦い!

安いレンズで撮影した写真をじっくり眺めてみますと、大体は収差のバーゲンセールが開催されております。めちゃくちゃ盛大に暴れる君です。例えば…軸上色収差(パープルフリンジ・グリーンフリンジ)が代表的でしょう。↓この写真とか酷いですね。

E-LUCKY 75mm F3.5作例5、軸上色収差が顕著。
パープルまみれ

歪曲収差だってあります。電子的な補正が効かない古いレンズの場合はもう受け入れるしかありません。真っ直ぐなものが画面内に入ってくると強烈な違和感が発生します。仕方ないよ!安いんだもの。

SMC PENTAX F1.9 8.5mmの歪曲収差、補正なしの写真をご覧ください。
グニャリ

しかし昔の先人はこういった収差と共存しながら写真を撮ってきたのでしょう。頭が下がります。「収差がー」と重箱の隅を突ける現代人の悩みなど取るに足らないものかもしれません。がしかし建物が歪むのは度し難い!

歪曲収差が建物の写真に悪影響を与えている作例。これは気になって仕方がない。
グニャリ

逆光耐性がほぼゼロで、↓ちょっとでも光源が近くにあるとコントラストが下がるレンズもあります。これを味と捉える広い心が必要です。

FUJINON EX 50mm F2.8ををXFマウントで使った場合の最短撮影距離は約75cmでした。
黒が浅い

レンズフードや左手を使ったハレ切りで逆光を対策することも可能ですが、全部が全部改善する訳ではありません。こういうデメリットと友達になるくらいの構えは必要でしょう。それが嫌だったら最新設計のお高いレンズを買いましょうぞ!

E-LUCKY 75mm F3.5作例4、とにかく画面中央にフレアが出る。これは味なのか?
真ん中ポワポワ

さらに↓ゴーストや↑フレアといった逆光特有の現象にも付き合う必要があります。ここは癖の中でもエモ要素に近い分野でしょうから、むしろ両手を広げてお迎えしましょう。↓ちなみに下の写真のゴースト内のブツブツはレンズの汚れです。

NIKKOR-S Auto 50mm F1.4、フードなしのフレアの状態。
うーむ

ちょっとここで現行レンズの写真を1枚挟みましょう。↓7万円台で買えるので高額とまでは言い難いレンズですが、それでも最新の技術で結像させる描写力は一味違いますね。同じ逆光シーンでも難なく乗り越えます。

暗い&逆光でもこの描写力、すごい。
流石!

では話を戻して安物レンズの写真を並べましょう。↓3000円台の別のレンズで撮った夜景ですが…周辺がザワザワしてますね。光源に羽が生えるコマ収差と、おそらくは球面収差のボヤボヤ感も合わさって締まりのない写真になりました。これは個性で括ってOK?

NIKKOR-S Auto 50mm F1.4のボケを使った作例。
個性?

↓これは某メーカーの超有名な撒き餌レンズの写真です。背景がウジャウジャするのも安物レンズあるあるですね。トロトロ描写を望むなら価格は10倍以上に跳ね上がるでしょう。裏を返せば、この背景でOKなら1/10のお小遣いでレンズが手に入る訳です。

トカゲが現れた!実はこっちを見てます。AF-S NIKKOR 50mm F1.8 Gにて撮影。
ザワワ…ザワワ…

背景といえば、雰囲気を出してくれるはずのボケの主張が強すぎるレンズも存在します。↓輪郭が際立ったバブルボケが発生しています。周辺のボケが円を保てない口径食も出ています。お高いレンズはこの辺りの描写が上品です。

バブルボケが悪さをしている写真作例。主張が強すぎて困る場面もあるだろう。
癖が強い

↓あと周辺減光も癖の1つでしょうね。これはソフト的にどうにでもなるので影響は小さいと思いますが。

マジックアワーのベイサイドプレス。
四隅ちょっと暗い

ものは使いよう。

新商品が出る度にインフルエンサーのCMを見せつけられている我々はさながら茹でガエルです。「欲しい」を通り越して「買わなきゃいけない…」って思考になると冷静な判断など下せないでしょう。まぁ湯水のようにお金が使える人はそれで問題ないでしょうけども。

Nikon機なのにフィルムシミュレーションを使ったかのような色を出すNIKKOR-S Auto 50mm F1.4。
3000円台のレンズ。線が太いなぁ!

人生には機材に奮発すべきタイミングがあるものです。しかし毎回ではない。買えない時だってありますよ。そんな時は安物レンズでヘソで茶を沸かすのです!描写の底辺を味わったっていいじゃないですか。なんだったら現行品・新商品に抗ってみましょうよ。(多分惨敗するけど)その過程も楽めるのが趣味の醍醐味ですよね。

紅葉が美しかった。
0円で頂いたレンズ。もったり感!

最後までお読み頂きありがとうございます。斜に構えた記事を書いた理由は単純な言い訳でして、この度、安っすいレンズを購入し目下到着を待っております。この記事はモニターに反射している自分に向けて書いているようなものです。だって安いんだもん!庶民にとってはこれくらいの散財が現実的な落とし所なんですよ。

しかし小職も機材系YouTuberの端くれ。今日ここで大口叩いた顛末がどこに着地するのか?後日きちんとご報告致します。目下安物レンズを買った時の動画リンク↓貼っておきます。では諸君、良きお買い物LIFEを!

ブログ管理人:isofss(イソフス)