沼住民の皆様こんにちは。販売から10年以上経過するレンズの作例ページにお越しいただくとは、さては重度の沼人とお見受けします。ここで会ったが100年目、PENTAX Qシリーズの望遠大三元レンズこと06 TELEPHOTO ZOOMの写真をご覧頂ければ嬉しく存じます。しのごの言わずに参りましょう!

1.このサイズでF2.8通しだと!?

PENTAX Q10に06 TELEPHOTO ZOOMを装着。とにかく小さい!
沈胴式なので撮影時はちょっと伸びる。

特筆すべきはこのサイズ感でしょう。PENTAX Qシリーズは小型システムで有名ですが、06 TELEPHOTO ZOOMは望遠ズームでありつつF2.8通しの大三元レンズ。このサイズはチート級です。公称値では重量90gですって、どっひゃー!なお私が持ってるQ10で使う時の画角は35mm換算で83−249mmとなります。どっひゃー!

PENTAX Q10と望遠ズームで梅の花を撮影。

ポケットに入る…と言えば嘘になりますが、通勤カバンに忍ばせるくらいは朝飯前。スナップ好きには堪らない仕様です。小さ過ぎる故に操作性が悪かったり、プラスチック鏡筒がギシギシ鳴ったりするのはご愛嬌。目を瞑ってあまりある機動力は唯一無二のアイデンテティです。

2.ボケマスターにぶつけてみた。

この06 TELEPHOTO ZOOMの撮り比べ対決レンズに、フルサイズ用のSIGMA 105mm F1.4 DG HSM…あのボケマスター神レンズをぶつけることにしました。正確にはボケマスターの試写にQ10も持っていった流れではありますが。無慈悲過ぎてもはや何を比較するのか皆目見当もつきません。

小型望遠ズームで街スナップも面白い。
06 TELEPHOTO ZOOM (83mm/F2.8)
まん防解除後の博多周辺スナップ。人は増えたがディスタンスはある。
SIGMA 105mm F1.4 DG HSM (開放)

センサーサイズも違う、画角も違う、F値も違う…全ての条件が揃っておりませんので、当然絵も違うってことでファイナルアンサーです。Q10はどうしても塗り絵的なベッタリ感。しかし何度も言いますがこのサイズ感で望遠レンズが使えるのですから世知辛いセリフは慎みましょう。

換算249mmもあるので相当大きく写ります。亀の写真。
06 TELEPHOTO ZOOM (248mm/F2.8)
こちらもボケマスターでの比較写真。フルサイズはよくボケる。
SIGMA 105mm F1.4 DG HSM (開放)

06 TELEPHOTO ZOOMの方はフリンジが気になります。現像している時には階調の狭さも感じました。特にハイライト側のヒストグラムが急勾配になっています。白飛びしやすい傾向もありました。かたやボケマスターはほぼ撮って出し。比べるのが愚かなことは分かっております。数倍の価格差がありますから当然の結果です。

そして寄れるんですよね、06 TELEPHOTO ZOOM
06 TELEPHOTO ZOOM (最短撮影距離付近)
ボケマスターは最短撮影距離1m。寄れません。桜の作例。
SIGMA 105mm F1.4 DG HSM (最短撮影距離付近)

両者とも最短撮影距離は1m。しかしボケマスター(105mm)に対して06 TELEPHOTO ZOOMは249mmですので、大きく写るのは断然Q10です。Q10には一応ボディ内手ぶれ補正もあります。この画角帯では被写体ブレも相当大きくなりますのでシャッタースピードは速くなりました。

3.オールドレンズもぶつけてみた。

続いての対戦相手は70年前のトリプレット引き伸ばしレンズ、E-LUCKY 75mm F3.5です。ミラーレスカメラへの魔改造接続を果たした経緯は過去記事↓↓↓をご参照下さい。では撮り比べてみましょう。

青空をバックに銅像。06 TELEPHOTO ZOOMの作例。
06 TELEPHOTO ZOOM (83mm/F5.6/Q10)
同じ条件下でボケマスターだとこうなります。
E-LUCKY 75mm F3.5 (F5.6/Z6ii)

先ほどのボケマスターほどの立体感はE-LUCKYには出せませんが、それでも06 TELEPHOTO ZOOMのベッタリ感と比べると多少は善戦しているように思えます。ここはやはり10年の重みと言いますか、カメラ側(センサーや描画エンジン)の性能差が如実に表れる部分なのでしょう、たぶん。

あのSIGMAボケマスターと比べてみよう。こちらは06 TELEPHOTO ZOOMのチューリップ作例。
06 TELEPHOTO ZOOM (1:2.3型センサー/F5.6)
こちらはボケマスターで撮ったチューリップ。流石にボケ量がすごい。
E-LUCKY 75mm F3.5 (フルサイズ/F5.6)

興味深かったのがこちらのカット。画角とF値を揃えてみました。ピント面の表現はほぼ互角。違うのはボケ量です。ボケが大好きならフルサイズはやはり魅力的。パンフォーカスになりがちな小型センサーは背景整理の腕が試されますね。現にQ10の写真には蛇口の写り込みがマイナス要素になっていますし。

4.忖度なし感想。

荒唐無稽なレンズ比較で分かったこと…それは、この携帯性こそ正義というシンプルな答えでした。質量で勝るフルサイズが画質で有利なのは至極当然なことで、美しさを求めたければデカくて重いシステムを使えば良いのです。PENTAX Q10は別次元で面白いカメラですし、お気軽スナップには最高のお供だと思います。

06 TELEPHOTO ZOOMは輝度差があると厳しいです。基本RAW現像行きです。

もちろん気になる点もあります。特に描写面で階調の狭さを痛感しました。この記事の写真は全てRAW現像しています。撮って出しだとさらにコントラストがきつく塗り絵感が否めません。その全てを犠牲にしてコンパクトになったのだと言い聞かせましょう。

06 TELEPHOTO ZOOMで水の表現。フリンジが気になる!

嗚呼、フリンジが非常に惜しい!

望遠レンズの使い方は、ただ近づけないだけの理由なら間違いだと思う。

あと、これは自戒を込めて申し上げるのですが、手軽に望遠画角が使えるのはスナップにおいては双刃かもしれません。被写体に気づかれることなくヒット&アウェイで撮り逃げることは可能です。それを卑怯と感じるかどうかは別にして。いずれにしても撮影技術と同時にモラルが問われることは間違いないです。どのレンズを使おうが同じことですが、06 TELEPHOTO ZOOMの利便性に触れてなおそう感じました。

私の個人的な願いを1つ。スマホカメラ全盛期の今この時にPENTAX Qシリーズのような尖った小型カメラが欲しいですリコーさん!人と違うガジェットで写真を撮りたいって欲求、変ですかね。Qの再来待ってます!

最後までお読み頂きありがとうございます。レンズ自体はディスコン商品なのでネット購入する際は業者にボッタクられないようにご注意下さい。本記事はYouTubeで動画バージョンも投稿しております↑↑↑写真作例は別カットになりますので是非是非。では諸君、よきペンタキシアンLIFEを!かしこ。

ブログ管理人:isofss(イソフス)