まさか自分でレンズを塗る日が来るとは…。シルバーのレンズを買ったことがきっかけでした。これをミラーレスカメラで使うために黒い金属の筒を使って距離を稼ぐ必要があるのですが、せっかくだったらこの黒い部分もシルバーに塗装できたらカッコいいだろうな…という妄想がスタートだったのです。備忘録残しておくので真似したい方は是非。

結論、自分で自分でレンズ鏡筒を塗った結果がこちらです。上々の出来で満足です。

塗装したい理由。

実は見た目以外の問題もございまして↓下の写真にありますように、目下この黒いエクステンションチューブの内側がツルツルなのです。これが原因で内部反射が起こり、かなりの高確率でとんでもない量のフレアが発生します。エモい…なんて通り越して絵が破綻するレベルで出るのです。困った。

鏡筒内側のツルツルが原因でフレアが酷いので、反射防止のアクリルガッシュを塗りたい。

如何ともし難いこの内部反射を取り除くことも今回の塗装計画のゴールでして。なお、このままの状態で写真を撮った作例は過去記事に載せております。

内側はアクリルガッシュ。

こちらがアクリルガッシュです。Amazonで数百円で買えます。

塗装材ですが、反射防止でググると大抵このアクリルガッシュが出てきました。長い物には巻かれましょう。ポチッと購入、Amazonで数百円でした。

外側はラッカー塗装。

外装塗装用に、タミヤのラッカースプレー・下地材のメタルプライマーを購入。

外側はタミヤのラッカースプレーを購入。今回使ったのはTS-83(メタルシルバー)というタイプです。プラスチックから金属まで幅広く対応しているようです。タミヤのロゴマークは子供の頃のミニ四駆の記憶を呼び覚ましますよね。下地材としてメタルプライマーも買いました。塗装なんて生まれて初めての経験ですが、今はなんでもググったら分かる時代…あとはやるだけですな。

下準備します。

下準備として塗装面をヤスリがけします。固さは320番を選択。

塗料をより食い込ませるためにサンドペーパー(目の粗さは320番)を使って下準備します。↑この写真は机で作業していますが粉が出るのでベランダでやった方がいいです。エクステンションチューブだけでなく、その下にあるステップアップリング・ダウンリング(こちらも距離を稼ぐ用途)もヤスリがけしていきます。外側・内側ともにゴシゴシ…ゴシゴシ…。

エクステンションチューブの外と内のヤスリがけ完了。けっこう粉が出ました。

手が汚れる汚れる…。気がすむまで擦ったら水洗いして乾かしましょう。

内側アクリルガッシュ

いざ本塗りです!しかし筆がありません。なので(ビニール越しではありますが)指で直塗りしましたが…これが結構大変でした。いろいろハミ出ます。素直に筆を買ってくるべきでした。

筆がなかったので指でアクリルガッシュを塗りました。

二度塗りした後が↓この写真です。さすが反射防止効果を謳うだけあって、カメラの露出を上げないと内側が写りませんでした。これは期待出来そうですね。

アクリルガッシュを塗った部分は反射が抑えられているのがよく分かる写真。

外側ラッカー塗装

続いて外側の塗装をしたいのですが、せっかく塗ったアクリルガッシュと干渉させたくないのでパーマセルテープで養生しました。さらに輪の中に割り箸を突っ込んで焼き鳥串みたいな形にします。

塗装済みの内側を養生して、外側を塗る準備をします。

ベランダに出て、この焼き鳥串にメタルプライマーを吹いていきます。下地材の適量ってどんなものでしょうか?とりあえず満遍なく吹きましたが。

ベランダでメタルプライマーを塗布しています。適量が分からない!

乾いたら本命のラッカースプレーを吹きます。こっちの方が難しかったです。特に凹凸面と平坦な面でムラが出てしまいました。塗装屋さんという職業があるくらいですから技術が求められる分野なのですね。

ある程度乾いたところでタミヤのラッカースプレーを拭いていきます。

ちゃんと乾く前に触って指紋跡をつけてしまいました。せっかちな性格は仇になりますねぇ…。二度塗りのつもりでしたが部分的に三度塗りの場所もあります。なんだかんだで塗装工程・完了です。

外観チェック!

完全に乾くまで放置。そろそろ外観チェックといきましょう。恐る恐る養生を剥ぎます…。

屋外で乾かしてきました。これから塗装チェックしていきましょう。

ん?

初めてのレンズ塗装だったのに思いのほかキレイに仕上がっててびっくり。

なんかいい感じじゃないですか!?思いの外、良さげな質感なんですが。私、塗装初心者なんですけど。

レンズ塗装、塗り過ぎた液が重力で滴った部分が少々ありますが、ご愛嬌ということで。

よく見ると塗り過ぎた液が自重で滴った跡を発見。まぁこの程度ならご愛嬌でしょう。どこか自分で作ったご飯みたいな…DIYだから許容できる感はあります。

シルバーのレンズと繋げて違和感がなく、この塗装プロジェクトは成功と言えるだろう。

レンズと繋げてみました。おお!悪くない。これはアリですね(自画自賛)。趣味における自己満足感は必要です。チャレンジした甲斐がありました。

E-LUCKY 75mm F3.5のシルバー鏡筒デコレーション完成!

Nikon Z6iiに装着した完成図がこちら。良き!中古で2000円のレンズがVoighatlander NOKTON Vintage Line 75mm F1.5を彷彿とさせるような外装に変身しました(妄想)。満足です!

実写テスト。

しかし見た目と描写は関係ないのです。いざ実践投入してみましょう。近所の公園で逆光テストしてきました。曇天だったので強い光ではないのですが。

内部反射処理を施したE-LUCKYで写真作例。逆光のフレアが激減しました。

お?思ったより善戦してます。アクリルガッシュの反射防止効果が結構効いているようです。空に向けるだけで破綻していた以前と比べれば相当良くなってます。

内部反射処理を施したE-LUCKY、中央部分に若干コントラスト低下が見られます。

もちろんフレア全消しとはいかず、逆光シーンでは中央付近にコントラストの低下を確認できます。いわゆるオールドレンズっぽい写りになりました(だっってオールドレンズだもん)。

内部反射処理を施したE-LUCKY。反逆光くらいだとなんとか持ち堪えるようになりました。

光源がレンズの方向に存在しなければ普通に写ってくれます。70年前のトリプレットレンズのくせに(と言えば失礼ですが)よく頑張ってる印象です。

内部反射処理を施したE-LUCKY。順光だと問題なく写りますね。素晴らしい。

順光に至っては問題なし。普通です。いや〜これは嬉しい誤算。普通に使えるのであればスナップレンズのレギュラーに昇格させましょう。

内部反射処理を施したE-LUCKYで春の公園をスナップ。
内部反射処理を施したE-LUCKYで写真作例。癖が減って普通のオールドレンズになりました。

作例が植物ばかりで申し訳ないです。本記事で掲載していない写真を含めYouTubeに塗装工程動画を投稿しております。お時間ある方は是非。

まとめ。

初めての塗装で学んだこと。(1)ヤスリがけ大事。(2)筆は買った方がいい。(3)塗布し過ぎに注意。この3点でした。しかし何本も該当レンズを持っているわけではないので場数を踏めないことが難点ではあります。

外観はめっちゃカッコ良くなりました。逆光耐性も向上し、いわゆる普通のオールドレンズになりました。初体験の塗装が正直ここまで上手くいくと思ってなかったので、この結果は嬉しい限りです。好きなレンズを自分色に染める。なんてロマンある趣味なのでしょう。ぐふふ。また沼の奥に歩みを進めてしまいました。最後までお読み頂きありがとうございました。では諸君、良き塗装LIFEを!かしこ。

ブログ管理人:isofss(イソフス)