そのニッチなコンセプトに心を射抜かれて購入したNikonの一眼レフ入門機D60。相方には中古のマニュアルフォーカスレンズAi NIKKOR 45mm f/2.8Pをチョイス。写真しか撮れないカメラで3週間ほど街をうろうろスナップした感想を綴ります。

機能制限だらけのD60。

どういう訳か今更2008年発売の一眼レフを購入するなんて、自分でも驚いています。このD60は持ち歩けるサイズの低予算ボディを探してた時に見つけました。レンズと合わせて重量660gくらいです。通勤カバンに忍ばせています。現状ものすごく気に入っているのですが、今日はあえてデメリットから羅列します!

D60 × Ai NIKKOR 45mm f2.8Pスナップ写真。ホワイトバランスがK指定できない。日陰の提灯を撮影。

使い易いかと問われるとかなりグレーな回答になるのです。入門機故の機能制限が散見されまして、例えばホワイトバランスはケルビン指定できません。↑↓これらの写真は「太陽光」のまま日陰で撮影してしまった例です。Auto WBをあまり信じていない私にとってはこれは痛手でした。

D60 × Ai NIKKOR 45mm f2.8Pスナップ写真。なんだかんだセブンイレブンのコーヒーが1番美味い。

まだまだ続きます。光学ファインダーの視野率は95%なので実際見えている範囲より広く写ります。所有欲を満たしてくれるペンタプリズムではなく下位互換のペンタミラーです。撮影後のプレビュー表示は非常に遅く平気で2.3秒かかります。記録メディアは古いSDHCの32GBでようやく書き込みが出来ました。常用感度はISO1600までです。拡張でもう1段増感できますが個人的な限界は800でした。ボディ側にモーターがないのでDタイプのレンズはMF限定になります。そもそもAF測距点が3つしかありません。画素数はiPhoneより小さい1003万画素です。当たり前ですが動画は撮れませんし、ライブビュー撮影もできません。黙ってファインダーを覗きましょう。

D60 × Ai NIKKOR 45mm f2.8Pスナップ写真。博多駅前の交差点。明るく撮ると凡庸。

ミラーレスカメラとは違い、ボディ内手ぶれ補正や電子水準器のファインダー内表示の恩恵は受けられません(OVFの端に水準器を出すことは可能ですが)。なので普通にボケっと撮影すると水平が取れません。暗いと容易に手ぶれします。いきなり下手くそになった気分です。いえ、むしろ真実を強制排出するシステムと言っても差し支えないでしょう。

D60 × Ai NIKKOR 45mm f2.8Pスナップ写真。濡れた手すりを撮って軸上色収差をチェック。

レンズ選びも熟慮の結果Ai NIKKOR 45mm f/2.8Pにしましたが、Zマウントの超絶描写と比べると欠点が見つけやすいです。↑フリンジが気になります。

それでもD60は楽しいカメラです。理由は今から綴りますが、一言で表現するならハマるツボ探しでしょうか。これだけでも数多のデメリットを十分相殺できるんです。

沼る理由、2つ。

デメリットの塊だとストレスが溜まるのでは?と疑問に思われそうですが意外とそうでもないから不思議です。Nikonってこういう所ありますからね。誤解を恐れずに申し上げますとCanonとは違うのですよCanonとは!最近、Canonの古い入門機をお借りする機会があったのですが(機種名は伏せますが古いネオ一眼でして)アレは本当に酷いモノでした。

D60 × Ai NIKKOR 45mm f2.8Pスナップ写真。アンダー気味に撮ったお店の看板がかっこいい。

(Canonユーザーの皆様ごめんなさい!)持ち主の供養のために認めます。明らかに原価を抑えた部材・一貫性のないUI・とにかくモタつく撮影体験…。嗜好品として半端過ぎるモノを掴んだ初心者が可哀想です。実際、その持ち主にとって人生初カメラでしたがもうその子が写真を撮っているという話は聞きません。王者の戦略の犠牲者を見ました。Canonは金がかかります(持論)。

D60 × Ai NIKKOR 45mm f2.8Pスナップ写真。薄暗いヘアーサロンの看板。

ところがNikonの入門機は違います。価格なりのスペック不足がないわけではありませんが、機材ヲタクから見ても不快にならない範疇に留まっていることを実感できます。整理されたUI・目視でも直感操作が出来る物理ボタン類・シャッターボタンと同軸に設置された電源スイッチ…などです。手抜きを感じさせない入門機だと買い替え需要が呼び起こされないのでは?と心配になる程です(Canonはここが上手い!)。現に私は15年前の中古品を買って満足しているわけで今回Nikonには1円も落としていませんSorry。

D60 × Ai NIKKOR 45mm f2.8Pスナップ写真。この機材セットはアンダーな写真が印象的に残る。

そういう工業製品としてのニコン的人権が比較的高い水準であることに加えてここにD60特有の魅力が乗っかってきます。ようやく本題です。使い始めて3週間。今では珍しいCCDセンサーの特徴を掴むべく当面はJPEG撮って出しで撮影を続けていこうと思います。

D60 × Ai NIKKOR 45mm f2.8Pスナップ写真。池の鯉たちが餌を待つ。

ホワイトバランスは(諦めて)Auto WBにしました。相方の45mm単焦点レンズは2001-2005年製のテッサー型(3群4枚)。古いボディに古いレンズ、悪くない組み合わせではないでしょうか。これもしかしてちょっとアンダー目に撮るといい感じなのでは? このねっとりした感じ、気に入りました。

D60 × Ai NIKKOR 45mm f2.8Pスナップ写真。等身大のダンダム模型が発光している。

もちろん自己満足の域を出ない話ではありますが、これだ!と思うツボを見つけて喜びの舞を踊ります。これはスペック不足を補って余りある発見でした。45mm単焦点レンズをD60で使うと換算画角は67.5mm。シャッタースピード1/125秒以上で最大開放F2.8まで・感度は出来るだけ下げたい条件となると冬の曇天では自ずとアンダー気味になりますね。この時期に買って良かったです。

D60 × Ai NIKKOR 45mm f2.8Pスナップ写真。何気ない窓枠に降り注ぐ朝日。

ファーストインプレッションでは順光だとパッとしない印象でした。なので通常露出でスナップするときは朝とか夕方の時間を狙うようにしています。撮って出しを謳うのであれば後からの補正はしないのがMyルール。ちなみにRAWは今でも普通に開けるNEFです。

D60 × Ai NIKKOR 45mm f2.8Pスナップ写真。F2.8レンズだと露出の選択肢は限られる。

低画素という理由もあって水平出しトリミングもしていません。一眼レフに戻って水平出しは=技術なんだと痛感しました。余談ですが、JPEG撮って出し限定で「デート写込設定」と言う日付の焼き込み機能が使えます。↑オレンジの日付がそれです。

一日一撮、再開へ。

散らかった話をまとめます。まずいろんな制限があるカメラです。己の甘さが露呈するボディです。しかし怒りに任せてぶん投げたくなる程の話ではありません。ハマるツボ探しと言う中毒性の高いゲーム機みたいなカメラです、たぶん。

D60 × Ai NIKKOR 45mm f2.8Pスナップ写真。壁の絵を撮影。ピントが合えばメリハリがつく。

このD60とAi NIKKOR 45mm f/2.8Pを引っ提げて来年元旦から一日一撮を再開したいと思います。撮るまで結果が分からない一眼レフで、しかもマニュアルフォーカスで画角固定と言う縛りプレイにはなりますが、電子接点があるレンズなのでカメラ側の露出計は使えます。そもそも一日一撮の目的は撮影修行なのでこれくらいの難易度は逆に萌えます、あ間違えた、燃えます!

D60 × Ai NIKKOR 45mm f2.8Pスナップ写真。天井から吊るされる無印良品の照明たち。

全然喋り足りていません。これを機にD60の特集をブログと動画で続けていこうと考えております。中古市場では並品が1万円界隈のD60。無理して買うカメラではないと思いますが外観が綺麗な個体であればワンチャン有かもしれません。入門機で外観に傷がない=文鎮だった可能性が高いのでは?…という狙いが当たって私のD60はシャッター回数2400回でした。検討される方はぜひ外観美品をオススメ致します。

アナザーカットの動画版です。

もし予算があるなら最初からZ30を買うのがきっとNikonの入門機選びではベストアンサーだと思います。Canonの名誉のために補足しますとEOS R50 (Amazonリンク)は非常に魅力的ですよね!かわいいし。ミラーレスになって各社 入門機の品質はさらに上がったと感じます(お値段も一緒に上がったけどね)。今回D60を使ってZ30の素晴らしさを再確認できたって話はYouTube版の方でご確認下さい。かしこ。

ブログ管理人:isofss(イソフス)