安いだけが取り柄じゃありません。絞りを開けたり閉めたりするだけで描写の傾向が変わる面白さ、シーンに応じて・用途に応じて2役3役とこなせちゃうオールドレンズNIKKOR-S Auto 50mm F1.4初期型のスナップ作例をお届け致します。欲しくなっても知りませんよッ!
王道F5.6でシャキッ!
このレンズのスペック云々は当ブログで散々擦りまくってきましたので割愛。自らAi改造を施し一眼レフD850に繋げて撮影しております。これまでの七顛八倒の経緯は過去記事をご参照下さい。さて早速レンズの描写テストとまいりましょう。日中屋外のスナップ撮影ですのでF5.6まで絞っております。
色味はオールドレンズらしい薄く柔らかい描写ですね。建物の輪郭線などは概ねシャキッと描写しており、今から60年も前のレンズなのによく写るなぁ…と感心したものです。レンズの後玉に古傷やコーティング剥がれがある個体なのですが、光が潤沢に回る環境で絞って使う分には問題を感じませんでした。
いささか気になるのは歪曲収差です。標準画角にしては珍しいタル型の歪曲がございまして、これは絞っても解決しません。直線が周辺でたわんでしまうのはちょっと残念。
話それますが、古いレンズでガラスを通った光とか影を撮るのが好きなんですよ。現代レンズだと(綺麗に写りすぎて)ただの日常になってしまうんですが、オールドレンズだとエモいバイアスがかかるの不思議。
↑おっと、歪曲収差が悪さしてますね。一度気になったらずっと気になってしまうのです。逆に気にならなければお得満載レンズでしょうね、安いし。先ほど確認したらメルカリでジャンク品が2700円で売られていました。素人の私ですら分解清掃できましたので、これからオールドレンズ始めたいと思っている方にはNIKKOR-S Auto 50mm F1.4初期型はオススメです。手先が器用な方はジャンク品を漁ってみるのも有かも。分解清掃記事のリンク貼っておきますね↓↓↓
ハイライトが飛びがちな弱点…いいえ、ご愛嬌です。JPRG撮って出しの場合は注意が必要かと。RAW現像するとしてもハイライト情報が固まってることには変わりがなく(ヒストグラムの右側が崖で)なかなか救済は難しい印象でした。当記事の写真は全てRAW現像しています。
とはいえ、小ぶりなレンズで・そこそこ写って・しかも安い…と3拍子揃ってますので多少の不憫は甘受して余りあります。お得満載なNIKKOR-S Auto 50mm F1.4初期型、一家に1本いかがでしょうか?なお便宜上Amazonリンクを貼り付けておりますが↓↓↓状態が見えないAmazon中古品は(個人見解ですが)危険が危ないのでおすすめ出来ません。メルカリの評価が高い出品者さんが安心ですね。
開放F1.4でエモ散らかす。
まだまだ参ります。今度は絞りを開放まで開きます。F1.4です。明るい!そして全体に霞がかかったようなモヤが発生します。おそらく球面収差の影響なのでしょうけど、とんでもない癖の味。
周辺減光もガッツリ入り込みます。これがまたイイッ…と思えるなら一興。私はけっこう好きな方です。気に入らない時は現像ソフトで消せますしね。
なお、晴れた日の屋外でF1.4だとシャッタースピード1/8000秒でもオーバーになる時があります。カメラ側が1/4000秒までしか対応していない場合はNDフィルターは必須。このレンズのスチル用途だけで選ぶならND8で十分でしょう。フィルター系はNikonお家芸の52mm。
スナップから帰って疲れた体に昼間からビールを流し込む週末、最高かよッ!この写真は最短撮影距離60cm付近で撮影しています。寄れるとは言い難いですがテーブルフォトならギリギリOKな距離。
明るいと夜スナップで使える!
明るくて小ぶりなレンズなので夜スナップで活躍してもらいましょうぞ!これは大きなメリットだと思うのです。もちろん開放F1.4で運用します。
カメラ側にボディ内手ぶれ補正が搭載されていなくても、F1.4の明るさがあれば(シャッタースピード1/125秒を担保しつつ)ISO感度400〜800程度で間に合うから御の字です。私が使っているD850は発売から5年経つ老兵ですがISO800くらいならノイズも許容範囲。明るいって正義ですね。
猫ちゃん!この後こちらに来てスリスリされました。ごめん…ちゅーるは持ってないんだ。
1点だけ苦言を申し上げますと、開放F1.4で現れるコマ収差(点光源に羽が生える現象)が尋常じゃありません。綺麗な夜景は撮れません!ボヤボヤします。あくまで気軽に持ち出せるオールドレンズのポジションかと存じます。
沼への足掛かりに最適。
御託を並べて参りましたが、つまるところなんとなくオールドレンズ始めてみたいな…と検討されていらっしゃる方には目下お誂え向き確定レンズです。安いですし。しかしこの1本でオールドレンズの癖にハマって他も漁り出す可能性は非常に高いと思われ、ある意味でコスパの悪いレンズとも言えます(楽しいから不問としましょう)。この原則は他のオールドレンズにも当てはまる事実ですから、かくいうオールドレンズは広くて浅い沼とよく言ったものです。
最後までお読み頂きありがとうございます。当記事の動画バージョンもYouTubeに投稿しております。全カット別写真、ひたすら喋り続ける動画ですのでラジオ感覚でお楽しみ頂けたら幸いです。
では諸君、良きオールドレンズ沼LIFEを!次の沼でまたお会いしましょう。かしこ。
ブログ管理人:isofss(イソフス)