オールドレンズ沼からこんにちわ。先日、どうにか自力で分解清掃を完了したこちらのレンズNIKKOR-S Auto 50mm F1.4(マウント部にネジがない初期型)を早速スナップ撮影に持ち出して実写テストして参りました。これがまた癖が強くて強くて。いわゆるシネマチックな描写に興味ある方にはオススメかも。まぁ論より証拠ということで作例をご覧下され。
作例動画も作って見たのですが↓↓↓トランジションの不具合でチッカチカ動画になってしまった件はお許し下さい。編集に時間かかったのに…泣きそう。
1.周辺減光と歪曲収差。
本テストはマウントアダプターを介してNikon Z6iiで撮影しております。比較写真に関してはマニュアル撮影(露出とホワイトバランスは固定)です。ピクチャーコントロールはスタンダード。注記がない限りJPEG撮って出しです。では実写テストの定番壁撮影から見てみましょ。撮影位置は同じ場所。枚数が多いので上下に分割してます。
やばいでしょ…笑。まず周辺減光ですが開放ではガツンと暗くなってます。F4くらいで影響が和らぎ、F5.6以降は収束。色味が安定するのもF5.6あたりでしょうか。なおこのレンズの絞りクリックは1段刻みです。
タル型の歪曲収差も顕著です。残念ながら絞っても解消されません。大口径設計とのトレードオフなのでしょう。現代レンズであれば電子補正が自動でかかるところ。しかしオールドレンズですからここは甘受。
2.見た目とバランス。
オールドレンズの醍醐味はその見た目ではないでしょうか。各種マウントアダプターとの相性もありますが、本機Z6iiに取り付けた外観をご覧下さい。完全なる贔屓目ですが結構かっこいいと思いました。プロテクトフィルターもレンズフードも着けない裸族の状態です。アダプターはK&F Conceptのもので、レンズ鏡筒と径がぴったり合っていて非常にスマートに見えます。剛性に問題はないもののFマウント特有の遊びがあるので力を加えるとカタカタ動きます。(逆にZマウントが高精度なのでしょう)
裸族だとゴーストやフレアが悪さをしないか心配でしたが案の定フレアは出ます。しかしこれはこれで有りかも?逆光で開放F1.4だとほぼ確実に出ます。フレア内に点ゴミがついているのはレンズ後玉の点傷だと思われます。じゃあレンズフードをつけたらどうかな?家に転がっていたHN-2(元はAi28mm用に買っていたやつ)がフィルター枠52mmにピッタリでしたので着けてみました。
変わんねぇ(笑)。前玉の保護が難しかった裸族に比べれば安心感はプラス。ただし持ち歩きサイズで考えるとギリギリかなぁ。もうひとつ、防湿庫で眠っていた標準画角用のメタルフードもつけてみました。
おおお!フレアがなくなるだけでシャキッと見えるから不思議。前玉保護もバッチリ。でもサイズがなぁ。ありよりのなし。結局現在は、同じく防湿庫に転がっていたプロテクトフィルター(と思っていたらUVフィルターだった)を装着してレンズ保護だけしています。
3.絞ると描写が変わる。
続きまして、絞りによる描写の違いを見てみましょう。これがNIKKOR-S Auto 50mm F1.4の最大の特徴かも。例の如く同条件の撮って出しです。
なんじゃこりゃぁ!この振り幅は面白いぞ。1段〜2段では若干の違い。F5.6くらいからスッとシラフになる感じがツボ。↓並べてみました。F1.4の滲み方・ぼやけ方はまさに千鳥足、もしくは夢見心地とでも言いましょうか。これですね…女の子ポートレートでF1.4だったら一発でシネマチックになるんじゃないかなーと、知らんけど。
端的に表現すると「絞りを開けると描写は悪い」ということになります。それを楽しめるかは趣味嗜好によると思いますが、昨今のブラックミストの流行を考えると「高性能な現行レンズをデフォルメするより最初から癖玉を使っちゃえばいいじゃん」と思う私はおじさんです。以下RAW現像ですが↓絞りの開け閉めでこれくらい違います。
滲みまくるのでスナップで使っても人様に勝手にモザイクかかります。
なお、絞っても周辺画質は良好とは言えませんスイマセン。↑この写真だと周辺の建物は拡大すると若干流れてます。WEBとかスマホ用途の写真・映像であれば問題ない範囲かと思います。
4.寄れないがしかし…
NIKKOR-S Auto 50mm F1.4の最短撮影距離は実測で約58cm。決して「寄れる」とは言えない実用範囲。しかし裏技はあります。ちょっと値が張りますがライカMマウントに変換するヘリコイド付きアダプター(ZマウントだとSHOTENのLM-NZ M¥24,500-)を介し、さらにMマウントからFマウントに変換するアダプター(こっちは安い)の二段構えで強制マクロとすることも物理的には可能です。前者は持っているので↓もう一個買ってみようかしら。
5.強烈なボケ味。
このレンズの癖を裏打ちしているのがボケ味。特に前ボケがヤバいんです。↓この写真は白い看板にピントを合わせているのですが、その手前にあるイルミネーションにご注目あれ(スマホ画面だと小さ過ぎて見えないかもSorry)↓↓↓開放F1.4
サジタルフレアーーッ!羽がブワッと生えてます。とんでもない量です。そして後ボケだと表情がマルッと変わり、かなり強めのバブルボケになります。開放F1.4だと形も丸いです。1段絞ると急に六角形になります。この癖の強さを車で例えると「カーブは直角で曲がります」って感じ。
これに上述の開放にじみを加えますと↓こうなります。昭和末期のテレビ映像ですか?
現代レンズでは味わえない味わい。危険が危なく、いえむしろ事故ってる描写としか言いようがないものの嫌いになれないあの子。そんな感じです。逆に好き。
6.スナップ撮影で面白さ倍増。
で思ったんです。こんな癖玉、スナップで活かす他ない…と。この判断は正解でした。以下はRAW現像していますが、ほとんどがホワイトバランスの調整程度です。元々サイバーでケミカルな色を出すZ6iiとの相性やいかに?→Nikon機のくせにフィルムシミュレーションみたいな結果になりました。ほくそ笑みが止まりません。
これなんてクラシックネガですか?いいえスタンダードです。
1つ言えるのは、このレンズを着けていると光を探してしまいます。特に夜スナップだと露出的にも描写的にもほぼ確でF1.4常用になってしまう。撮った後に写真を見るのが楽しくなるレンズ、それがNIKKOR-S Auto 50mm F1.4なのだと思いました。
まとめ。
気に入りました。見た目○、重さギリ、F5.6描写普通、開放描写○、個性◎。値段○。流行りモノが苦手な私でも例外的にシネマチックを許容できました。綺麗にパキッと写したかったら現行レンズ(特にZマウントのエグい描写)に戻ればよいのです。振り幅を楽しむレンズとしてはNIKKOR-S Auto 50mm F1.4は人にオススメできるレベルで良かったです。しかし古いレンズなので状態の良い玉を探すのは大変。そんな方の為に当ブログでは分解清掃記事をご準備しております(ステマ)。是非ご参照下さい。
な・お、好きが高じて2本目買っちゃいました。しかもゴリッゴリのカビ玉です。馬○なの4ぬの?
いやぁ我ながら付ける薬がないですね。メルカリで2500円でした。バラして傷玉を取り替えようと目論んでおります。しかし見たところこの玉も傷玉っぽいです(爆)わはは。最後までお読み頂きありがとうございます。では諸君、良きレンズ沼LIFEを!かしこ。
ブログ管理人:isofss(イソフス)