古い古い蛇腹カメラが届きました。革ケースにはZEISS IKONとロゴがございます。汚れていたら分解するのが人の性でございましょう。興味本位でバラしたら戻す時にピンチになった話をここに綴ります。真似する方など…いないでしょうけども!誰かのお役に立つ情報となることを願いつつ、いざ参りましょう。※当記事の動画版もご用意しております↓↓↓
レンズシャッターを愛でよう。
身も蓋もないのですが、いきなり分解し終わった所から参ります。(当方も素人ですが)カニ目レンチと精密ドライバーがあれば誰でもここまでは開帳できると思える程シンプルな構造でした。レンズは3群3枚、後玉は後ろ側から・前玉と中玉は前側から外せます。シャッターユニットの蓋を取っ払ったのが↓この状態です。さすがにここで止めました。
嗚呼、なんて美しいのでしょう。このレンズシャッターは機械式なのですね。↑流石に開いた状態でシャッターを駆動させるとギヤが外れます(外れて往生しました)。駆動部にバイク用チェーンルブを少量吹いて注油。ここらで退きます。
シャッターユニットの蓋は被せるだけ。この状態でシャッターを切ることが可能になります。バルブから1/200秒まで9段階選べます。(1)シャッターユニット左側のレバーを引いてチャージし→(2)写真右上のボタンを押すと力が下に加わり→(3)連動している下部のレバーが跳ね上がり→(4)シャッター右下のレバーが押されて→(5)レリーズという流れです。
さらにレンズ下部にレリーズケーブルの穴もあります。↑今はマイナスドライバーでその部分を押し上げています。これでシャッターを切ることも可能です。レリーズテストで各シャッタースピードが生きていた様子は動画版で是非。YouTubeのコメントで教えて頂いたのですが、蓋に刻印されているNKSとは「日本光測機製作所」の略とのこと。歴史を感じますね。
レンズ清掃→組み上げる。
曇っていたレンズを清掃しました。前述の通り取り外しは簡単でした。↑写真の上段右がフォーカスリングも兼ねている前玉の銘板です。下段の右から前玉・中玉・後玉です。張り合わせレンズではないのでバルサム切れの心配は不要でした。クリーニングには無水エタノールが大活躍。
組み戻していきましょう。先ほどのレンズユニットに蓋をもう1枚追加します。円盤左側にシャッタースピードの基準矢印とフォーカスリングの動きを制限する突起がついています。この矢印がチャージ用レバーと同じ位置になっていればOK。
その上から中玉を取り付けます。この中玉で蓋を固定する構造です。すると一番下のシャッタースピードが刻印されている蓋だけが動くようになります。これでシャッタースピードを選択する仕組みです。よく出来てますね。コンピューターのない時代にこんな精巧なモノを作ったメーカーに賛辞を送りたいです。
無限遠が出ないトラブル!
素人分解がこんなにトントン拍子で進む訳ございません。以下、やらかしてしまった件となります。中玉の直上に前玉を組むのですが、この前玉に取り付ける銘板がフォーカスリング兼用でして、つまり無限遠と最短撮影距離の位置合わせが必要になる訳です。そんな難所があるとはつゆ知らず↓呑気にグリス塗布に励んでおります。
レンズに刻まれた罫書き線どおりに前玉と中玉を合わせたものの無限遠が出ない事態となりました。その時の様子はお届けしても意味がないので割愛。
アナログバック自作で位置合わせ。
そこで考えました。裏蓋を開けた所(フィルム装填面)に乳白色のシート状のものをパーマセルテープで固定し、フォーカシングスクリーンっぽいアナログバックを自作しました。バルブでシャッターを開けるとここに像が写ります。俺氏天才!?
その状態でピント合わせを行い無限遠を出します。フィルム用ルーペで覗く徹底ぶりです。楽しさ半分・面倒臭さ半分。無限位置が分かったところで即座に銘板を被せてネジ止め固定。一苦労です。
↑こんな感じで無限位置を探しておりますが、周りが明るいとアナログバックに投影される像が極端に見にくいです。結局夜になって自宅のベランダから夜景に向かって位置合わせしました。大変です。
で、無限位置が出た時の中玉と前玉の感覚が↑このような具合になりました。少し溝が空いている遊びを使ってフォーカシングするようですね。
銘板を無限遠側で被せて固定します。銘板には突起がついていて(↑写真中央)1周回って最短撮影距離と無限遠を行き来します。最短は3.5フィート…約1mといったところです。
なんとか完成。
ようやく終わりました。記事で書いていない所で外装内装の汚れ落とし等も結構手がかかりました。↓その過程で外張りの革が海苔のように剥がれてしまいましたが。
今更ですがフィルムサイズをググってみると中判カメラの645サイズのようです。当時はセミ版等と呼ばれていたのだとか。このカメラの革ケースにはZEISS IKONの明記がありましたが小西六が日本版をコピーしていた話も伺いました。この個体はどっちだろう?(動画版に情報を書き込んで下さった猛者の皆様、ありがとうございます。)
実写テストしてみた。
自作アナログバックに映った像をiPhoneで撮影してみました。これは……ありかしら?むむむむ…楽しいのは楽しいですが、この画質に満足出来るかしら??(爆)
せっかくなのでこの珍道中をこのまま検証しようと思います。ZEISS IKONとスマホ写真の新旧コラボレーション企画、果たしてどんな結末になるのやら。続報にご期待下さい。では諸君、良きカメラ沼LIFEを。かしこ。
ブログ管理人:isofss(イソフス)