ひょんなことから新旧神レンズをお借りしまして、特段意図は無いものの並べてみることにしました。えぇ…本当に興味本位です。だって同じ焦点距離・同じF値なんですもの。かつての銘玉Canon New FD 85mm F1.2 Lと現行神レンズNIKKOR Z 85mm f/1.2 Sのお写真をご覧頂きたく。

ざっとレンズ概要。

New FD 85mm F1.2 L on Z9、外観写真。マウントアダプターの窪みの部分に左手が収まるので持ち易い。

突拍子もない企画ですので、まずは双方の概要から触っておきましょう。先手Canon New FD 85mm F1.2 Lは1980年発売のLレンズです。Newと銘打たれつつもオールドレンズであることには目を瞑りましょう。重要なのは赤鉢巻のLレンズだってこと。レンズ構成は6群8枚・重量680g。状態は非常に良いです。40年以上経っているとは思えない神々しい塊感があります。罰当たりかもしれませんがマウントアダプター経由でNikon Z9に接続することにしました。

NIKKOR Z 85mm f/1.2 S on Z9、外観写真。神々しい佇まいである。重心のバランスも良く持ち易い。

次鋒は泣く子も黙るNikonの頂点、NIKKOR Z 85mm f/1.2 Sでございます。嗚呼、なんて凛々しい姿なのでしょう。まるでモスラみたい。Nikonさんからお借りしております。ありがとうございますありがとうございます。なんたってS-Lineですよ、レンズ構成は10群15枚・重量1160g。人間の業が詰まった珠玉の一本がここに!間違いなく世界最高峰のプロダクトでしょう。

撮り比べます。

早速スナップ撮影に出かけました。各々のレンズが別々に到着したため撮影は別日です。場所は同じですが構図は若干異なりますことご容赦下さい。RAWで撮影後、露出とホワイトバランスを若干整える程度の現像をしております。ピクチャーコントロールはスタンダードです。開放F1.2で撮影。

New FD 85mm F1.2 L × Z9 で街スナップ。博多駅の交差点に集う人々。
いつもの博多駅の交差点。平日だが人は多い。これは開放F1.2の描写。

どっちがどっちか分かります?上がZ85mmで下がFD85mmです。当然ですがZ85mmの方がコントラストが強いですね。FD85mmのハイライトの粘らなさ具合がすごく好みです。どことなくオールドレンズテイスト!(っていうかオールドレンズですしね)

New FD 85mm F1.2 L × Z9 写真作例。楓をぼかしてF1.2の強力なボケ感を楽しむ。
開放F1.2のトロトロのボケを楽しむ。ピントは楓に。背景はボケボケ。

こちらは上がFD85mmで下がZ85mmです。開放F1.2です。ド開放って楽しいですね。ただ単純にボケ倒してウッハーッって言う趣味です。そこに美的センスはありませんが、いいんです、大口径レンズはこうでなくちゃ!

New FD 85mm F1.2 L × Z9 写真作例。中望遠レンズなので寄れば背景はトロトロにボケます。
オールドレンズとの写真比較の作例。天使が舞い降りる珍しい郵便ポスト。

上がFD85mmで下がZ85mm。現行レンズの線の細さには脱帽です。元の4500万画素で拡大するとS-Lineの高解像感を堪能できます。とはいえ普段使いでそんな描写力が必要になる場面ってそう無i…(ダメ、それ以上は)。

使い易いFD85mm

さてここからはNew FD 85mm F1.2 Lの写真を並べます。開放F1.2に縛って街スナップするのはただの酔狂ですが、画角感といい操作感といい、すごく楽しい経験となりました。

New FD 85mm F1.2 L × Z9 写真作例。大口径レンズなので街スナップしても人の顔が自然にモザイクかかります。

日中に開放F1.2の明るさがあるとシャッタースピードが大変なことになりそうなイメージがありましたが、Z9の常用感度はISO64なのでちょっと日陰になると1/125秒を余裕で下回る具合に。今度は手ぶれの心配をせねばなりませんが、ボディ内手ぶれ補正のおかげでそれも杞憂に。技術がなくても撮れちゃうのが現代カメラなのです…。

New FD 85mm F1.2 L × Z9 写真作例。「ピントは面」であることを思い出させてくれるレンズ。

ピント合わせも実は楽でした。FD85mmのフォーカスリングのヌルヌル感回転角度が非常にエルゴノミクスでした。Z9の電子ビューファインダーも言わずもがな視界良好。指1つでピント拡大できますし、止まっている被写体であればストレス0です。レンズとボディの重量バランスも良かった。

New FD 85mm F1.2 L × Z9 写真作例。流石の大口径中望遠レンズ。ボケ感は圧巻ですね。

おそらくフルサイズZボディであれば同じ感覚を味わえるでしょうね。いやー、オールドレンズ道楽とミラーレスボディの相性の良さよ。

ZfcとFD85mm。

ところがZfcとFD85mmの組み合わせになりますと話が変わります。↓以下はZfcに装着した換算127.5mmの写真になります。

New FD 85mm F1.2 L × Zfc 写真作例。換算127.5のF1.2という超癖モノ画角の出来上がり。ランプを撮影。

まず、Zfcはグリップが無いので体感で重いです。ボディ内手ぶれ補正も非搭載ですからファインダーを除いた時点でガクガクしてました。あと、なぜかZfcのレンズ情報手動設定はExifデータのF値がNullなんですよね…なんで?Z9だと記録出来ているのに、もしかしてステルスで差別化されてます?

New FD 85mm F1.2 L × Zfc 写真作例。駅の構内にて。圧縮効果がすごい。

贅沢を言っちゃいけませんが、廉価機種ですからEVFの見え具合も上位モデルと比べると見劣りします(それでもNikon機は見易い方だと思いますが)。この辺りはきちんとヒエラルキーを感じることができて、やっぱり世の中、金なんだなぁ…としょっぱい水が頬を伝うのです。Zfcの名誉のために申し上げますが、アレは小さいレンズとの組み合わせだと機動力高くて最高なんですよ!相性の問題です。

in 動物園。

新旧撮り比べ対決に戻りましょう。↓まずはZ85mmで撮ったペンギンさんからどうぞ。この写真、間にガラス(結構汚れてる)が1枚挟まっているのですが、ご覧の通りの精細さ。条件が悪い時にもこの安定感。S-Lineは伊達じゃないですね。

間にガラスが一枚挟まっているがこの解像感。S-Lineは伊達じゃない!光の状況が悪い時にこそ真価を発揮する。

↓ちょっと意地悪な距離にゴツゴツした背景を置いてグルグルボケ(収差)を出したかったのですが…なかなか出ないんですよFD85mm。6群8枚のシンプルな設計でよくここまで描写しますよね。さすがはLレンズ。

オールドLレンズでペンギンを撮影。ハイライトがすぐ飛びそうになる弱点はある。

ただ…動物って動きますからMFでピント合わせはハードモードでした。当時のカメラマンたちはこの条件でワイルドライフ撮ってたんですよね!?しかもデジタルと違って有限シャッターでしょ。頭が下がります。バシッと決まった時の高揚感は堪らなかったでしょうね。

ミミズクの美しい目を撮影。流石のS-Lineレンズである。描写は最高。

こちらのミミズクさんはZ85mmで撮影。借りたものに文句を言うのは誠に恐縮なのですが、動物瞳AFが嘴に引っ張られる現象…どうにか改修できませんかNikonさん。被写界深度の狭い大口径レンズだと1cmのズレでも没カットですから。正直MFで追い込んだ方が撮れ高は良かったです。ピントが来たときは悍ましい解像感を出してくれます。これは購入して損はないレンズですよ…。

まとめ。

非常に楽しかったです。多少使った程度で優劣つけるような愚行は避けましょう。S-Lineの素晴らしさを垣間見ましたし、Lレンズの潮流にも触発されました。お金を貯めてZ85mmを買いたいという欲望が爆誕し、FD85mmのような一生モノの嗜好品にいつか出会いたいとも思いました。特にMFレンズでそのロマンを叶えたいですね。

このしっとりした夏の湿度を写すNew FD 85mm F1.2 L。流石である。

↑最後のカットはFD85mmです。後で分かったのですが、こちらのご婦人、ガチの長玉(白レンズ)持っていらっしゃいました。虎が起きるのを待っておられたようで。分かります、分かりますぞぉ!

New FD 85mm F1.2 Lをミラーレスカメラに繋げるにはマウントアダプターが必要。その際の外観写真はこちら。

今回の内容は写真別カットでYouTube版も投稿しました。おかわりご所望の方は下記↓リンクから是非どうぞ。NIKKOR Z 85mm f/1.2 Sに関しては別途レビュー記事を書く予定です。ささ、今日も明日も写活に勤しんで参りましょう。暑い日が続きますが皆様におかれましても良き写真LIFEをお送り下さい。ではまた。

ブログ管理人:isofss(イソフス)