初めて買った単焦点レンズのことを覚えていますか?今回、Viltrox AF 50mm F2 AIRを使ってその懐かしさを感じました。撒き餌レンズと侮るなかれ。写真とともにその雑感を綴っておきます。

手抜きを感じない外観。

Viltrox AF 50mm F2 AIR はフルサイズ対応の標準単焦点レンズです。Zマウント版の重量は220g。Sony Eマウント版も存在します。ともに9群13枚の光学設計で、そのうち8枚は非球面レンズ・EDレンズ・高屈折レンズという贅沢仕様。正規販売店HPに掲載のあるMTF曲線を観察するとスペック上では相当期待できそうな値になっていました。

Viltrox AF 50mm F2 AIR & Nikon Zf 外観。非常に収まりの良い装備だ。
収まりがいいな。

しかし価格は純正撒き餌レンズより少し抑えたあたりで設定されており、お財布に優しくも優等生というなんとも都合の良い展開です。実際に触ってみてビルドクオリティに過不足はなく、中華レンズもここまできたか…と(いい意味で)恐ろしくなります。フォーカスリングも適正なトルク感があります。

Viltrox AF 50mm F2 AIR には樹脂製のレンズフードが付属する。Zfと組み合わせた時の外観を上面から撮影。

樹脂製のフードが付属します。レンズ鏡筒は樹脂ですがマウント面は金属です。ファームウェアアップデート用のUSB-Cポートもマウント面に設けられていました。ガタツキなどは皆無。おそらくこれは純正撒き餌レンズを狙い撃ちしているのではないかと思われます。(私の感想です!)

Viltrox AF 50mm F2 AIR は樹脂鏡筒だが、フォーカスリングはヌルヌルで気持ちが良い。手抜きを感じない作りだ。

モノとしての良さにも死角が見当たらないため、キットレンズから単焦点レンズにステップアップする時の候補におすすめしたいくらいです。Zマウント純正レンズで比較しますと Z40mm F2 や Z28mm F2.8 などが同価格帯ですが、王道の50mm画角でF値も明るいとなるとS-Lineの Z50mm F1.8 (7万円オーバー)まで価格が跳ね上がりますから、Viltrox AF 50mm F2 AIRの存在がここで光ってきますね。

Viltrox AF 50mm F2 AIRを上から眺めている様子。F2という実用的な明るい口径が好印象だ。

ステッピングモーターのAFもサクサク動きます。もしかすると純正撒き餌レンズと標準単焦点S-Lineを足して2で割ったプロダクトなのか?…と期待してしまいそうな勢いすらあるやも。あとは写りが良ければ!と言うことで一日一撮企画で毎日使ってきました↓↓↓

通常のピクチャーコントロール。

ではまずピクチャーコントロールをスタンダードにしてJPEG撮って出しの写真を見てみましょう。少し絞ってF4あたりから非常に凛々しげな最近のミラーレスカメラらしい彩度高めの描写が出てきます。このレンズが3万円前半なのです。

木陰に入っている公園の遊具をViltrox AF 50mm F2 AIR & Nikon Zf で撮影。ピクチャーコントロールはスタンダード。
スタンダード / F4

今回はViltrox正規販売店の映像嵐さんからレンズをお借りしております。一日一撮企画に持ち込んで使ったのは約2週間でしたが、フルサイズ画角で使っていても変な癖に悩まされるようなことはありませんでした。前述の通り優等生に徹してくれました。

6月の太陽に照らされる紫陽花を Viltrox AF 50mm F2 AIR & Nikon Zf で撮影。ちょっと萎れてきている。
スタンダード / F4

途中で気づきます。懐かしさを感じたのです。おそらくそれは初心者時代に50mm単焦点を初めて買って狂ったようにボカしていたあの頃の記憶。キットレンズでは味わえなかったあのボケ感!気がつけば開放F2ばかりで撮影していました。

Viltrox AF 50mm F2 AIR で撮影していると初心者時代のF値開放ボケ写真で楽しんでいた時代を思い出す。骸骨の人形を撮影。
スタンダード / F2

そして50mmという見た目に近い画角感。寄り引きに足を使わなければならないあの感覚。そうだ!スナップ中のこういうドキドキ感が楽しかったんだ。

お祭りの看板をViltrox AF 50mm F2 AIR & Nikon Zf で撮影。ピクチャーコントロールはスタンダード。
スタンダード / F2

開放F2で使うと周辺減光が目立ちます。しかしパープルフリンジや周辺の嫌な描写の流れなどは特に気になりませんでした。この価格帯のレンズって普通何某か癖が出ますよね?

廃墟の壁の前を歩く通行人を撮影。Viltrox AF 50mm F2 AIR & Nikon Zf で撮影。ピクチャーコントロールはモノクローム。
モノクローム / F4.5

…このレンズは本当に儲かっているのか?原価が高過ぎるのではないか?と気を揉むのはお節介でしょう。ユーザーにとってはありがたい話。Viltroxのレンズラインナップには Chip < AIR < Pro < LABというヒエラルキーがありますが、小型低価格帯のAIRと謳われつつも安定した描写と使い勝手の良さですよ。もしかして金属鏡筒に換装したら純正S-Lineに肉薄するのでは?

フレキシブルカラーで遊ぶ。

とまぁ…褒めちぎっておりますが、先方さんからは褒めて下さいというお願いは受けておりません。率直な感想です。さて、今度は色を捻ったフレキシブルカラーで遊んでいきましょう。

博多駅の通勤ラッシュを Viltrox AF 50mm F2 AIR & Nikon Zf で撮影。JPEG撮って出し。フレキシブルカラーはNeighborhood
Neighborhood / F5.6

この記事の写真は全てJPEG撮って出しです。撮って出しと言ってもフレキシブルカラーを使っているのでRAW現像した後と同じ結果になっています。クロカワリュートさんが作ってらっしゃるNeighborhood開放F2の組み合わせが気に入りました。

ガンダムの等身大プラモデルをViltrox AF 50mm F2 AIR & Nikon Zf で撮影。フレキシブルカラーのNeighborhoodで撮影。
Neighborhood / F2

思い出話を1つ。初心者時代に見たYouTube動画の中で同じレンズで10000枚撮影するんだ!という趣旨のものがありました。そうすることで画角感を身につけるのだと。

ガラスの向こうにいるライオンの銅像を動物瞳AFで撮影。Viltrox AF 50mm F2 AIR & Nikon Zf で撮影。フレキシブルカラーのNeighborhoodで撮影。
Neighborhood / F2

その言葉に感銘を受け自分もそうなりたいと思って始めた写活なのに、気がつけば私は自腹・レンタル・提供もろもろの経路でレンズを味見ばっかりしている機材系YouTuberになっていました。そろそろ地に足をつけなければと言う焦燥と、次々に登場する新機材へのワクワクという幸せな板挟みに喘いでいるわけですが…

地下アイドルのライブを観客席から撮影。Viltrox AF 50mm F2 AIR & Nikon Zf で撮影。フレキシブルカラーのNeighborhoodで撮影。
Neighborhood / F2

…しかし歳を重ねるにつれて持ち歩ける機材の量や大きさには制限が掛かっていくはず。いずれカメラ1台・レンズ1本でゆっくり好きなものを取る老後を迎えられたらこんなに嬉しいことはありません。今の時点で決まっていることが1つあります。人生最後のレンズは50mm単焦点でありたい!この画角が自分の視界に一番近いと思うからです。

雨の日の紫陽花をViltrox AF 50mm F2 AIR & Nikon Zf で撮影。最短撮影距離は51cmと少し長い。
Neighborhood / F2

ただ欠点もありまして、明るい50mm単焦点レンズって寄れないんですよね往々にして。このViltrox AF 50mm F2 AIRも最短撮影距離は51cm(最大撮影倍率0.11倍)とお世辞にも寄れるとは言い難い制限があります。↑この紫陽花の花は最短撮影距離で撮影しています。

Viltrox AF 50mm F2 AIR は夜スナップで大活躍!開放F2でバスを撮影。ピクチャーコントロールはNeighborhood
Neighborhood / F2

50mm単焦点で寄れるレンズを探そうとするとトレードオフで明るさを失うことになります。なんてことでしょう!実際にF2の明るさを体感してみると手放せないのです。ここがレンズ選びの難しさですね。全てを叶えることは物理的に無理があると。

袋詰めされた雨に濡れるくまモンの人形をViltrox AF 50mm F2 AIR & Nikon Zf で撮影。ピクチャーコントロールはNeighborhood
Neighborhood / F2

レンズの話に戻しましょう。このレンズの特徴をまとめると、(1)撒き餌価格なのに隙のないビルドクオリティ。レンズフード同梱。(2)王道50mm標準画角で開放F2の明るさ。(3)開放時の周辺減光は気になるが比較的描写は安定している。絞れば顕著に良くなる。(4)小型軽量220g・樹脂鏡筒・金属マウント・USB-Cファームアップ対応。…こうなります。強いですね。

帰り際にバスに並ぶ人たち。日本人らしさが写っている。Viltrox AF 50mm F2 AIR & Nikon Zf で撮影。ピクチャーコントロールはNeighborhood
Neighborhood / F2

↑きちんと列に並ぶ日本らしい景色をこの先いつまで維持できるでしょうか。日常の何気ない当たり前と思っている景色はきっと当たり前ではないのでしょうね。自分の暮らした街の記録としてこういう風景も忘れずにスナップしていきたいものです。

雨の日に唐揚げ屋さんの前を横切る人たちをViltrox AF 50mm F2 AIR & Nikon Zf で撮影。ピクチャーコントロールはNeighborhood
Neighborhood / F2

お借りした時期が梅雨真っ只中だったので全体的にアンダー気味の写真が続きましたが、気だるい湿度が伝わってくるところが気に入りました。いよいよ中華レンズを侮れない時代になってきましたね。

VILTROX
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↑当レンズのアフィリンクを貼っております。Viltrox正規販売店の映像嵐さんの販売ページです。トップページはEマウント版が出てきます。Nikonユーザーの方はZマウントを選択して下さい。

最近Viltroxレンズの記事が続いておりますが、さらに続きます。第3弾も控えています。実は前回(自腹)の後に映像嵐さんからレンズを2本借りていたと言う顛末です。次回は趣旨がガラッと変わります。いや、ほんと、Viltroxの本気を見せてもらいました…ご期待下さい。

ブログ管理人:isofss(イソフス)