毎日持ち歩けるサイズのカメラを探している時に見つけたNikon D60。古い古い一眼レフカメラです。今時一眼レフ?と訝られるかもしれませんが、実際使ってみてびっくりしました。類を見ない個性の数々よ!その感動を綴りたいと思います。

小さい一眼レフ。

正直、あまり詳しいことは調べずに買いました。中古で6700円(送料込)だったのです。これなら失敗してもいいや…と。購入前に掲げていた条件が1つだけありまして、冒頭に述べた通り持ち歩けるサイズであることでした。

Nikon D60の外観・正面から見た端正な姿。

D60に合わせるレンズに(これまた古い)Ai NIKKOR 45mm f/2.8 Pを選択。中古で37000円です…えぇ…妥協は許されませんので歯を食いしばりながら買うのです。外装は美品でしたがフォーカスリングの動きが渋く、地雷を踏む覚悟で分解清掃に挑んだ様子はYouTubeでご覧頂けます。幸いにも成功しましたが案の定ハードモードでしたので分解は非推奨であります。

…地獄を見ました。

このセットで重量は約660g。ペンタ部が盛り上がっているのでバッグに収納するには少し工夫が必要です。毎日通勤カバンに放り込むのにギリギリ許容できるサイズ感となりました。実際、このセットで一日一撮を再開しております。

Nikon D60外観写真・横から。ストラップ環は埋め込みタイプ。三角環はない。

背面は少しカスタムしました。ファインダーを丸窓化し、フリーサイズの液晶保護フィルムをカットして貼り付けています。AmazonにはD40用の保護フィルム(D60兼用)が販売されていますが、どうにもこうにも評判が悪かったので自分でカットするタイプを選びました。どうしてもカット面が浮いてしまうので上側と右側をパーマセルテープで押さえています。

Nikon D60外観写真・背面。必要最低限のボタン配置。液晶は23万ドットしかないのでちょっと見にくい。

D60はAPS-C規格のカメラですから、このセットだと換算67.5mmの単焦点コンデジみたいな使い方になります。しかもマニュアルフォーカス限定です。ペンタプリズムではなく下位互換のペンタダハミラーです。視野率は95%しかありません。ボディ側にAFモーターが搭載されていないのでDタイプレンズはMF限定となります。その他にも入門機故の機能制限が多数存在するD60は、一周回って新鮮さすら感じる写真特化型ボディでした。お気づきかと思いますがもちろん動画は撮れません。

中古品の宿命。

もとより私は新品信者。D60で個人的な沼の歴史は20台目となりましたが、うち中古ボディはD60を含めて3台しか買っていません。中古機材を忌避していた理由は明快でハズレを引いて損した気分になりたくなかったからです。もしこのD60もハズレ個体だったら秒で売り飛ばしていたことでしょう。ところが運良くアタリ品(シャッター累積回数2489回)だったのです!ちゃんと中古品らしさもありましたけどね…

中古のNikon D60の背面液晶内にカビのような汚れを発見。ただ発光すると見えなくなる。

例えば背面液晶の内部にカビのような汚れがあります。液晶をつけると見えなくなりますし、そもそも写真に汚れは写り込まないので受け入れることにしました。

Nikon D60の光学ファインダー内の様子。見やすいとは言いにくく、ゴミも入ってしまっている。

光学ファインダー内にも大きな埃が散見されます。これは慣れます。慣れました。慣れるんです。これも写真には写り込まないので甘受します。

Nikon D60の光学ファインダーを丸窓化した。すぐ下に液晶の自動消灯のセンサーがある。

これ以上、内側にゴミが入らないよう(蓋をする意味も込めて)光学ファインダーを丸窓化しました。なお、ファインダーの真下にセンサーがありまして(↑写真参照)ファインダーを覗くと液晶が消灯する粋なギミックが標準搭載されております。アイピースアダプタDK-22がギリギリのキワでこのセンサーを避けてくれました。

念の為に申し上げますと、D60は2008年発売開始の化石ボディなのでライブビュー撮影が出来ません(単に液晶情報が表示されるだけです)。しかし色々とカスタムすることで愛着が増増になりました!多少の不便はご愛嬌ということで。

購入決定打になった付加価値。

さて、ここから先の要素が購入の決定打になった項目となります。まずSDカードが使えることです。ただし条件がありまして、最近の大容量カードはエラーが出ました。SDXCの64GBはダメでした。SDHCの32GBは大丈夫でした。ちなみに撮影後の画像再生はボタンを押してから再生まで2−3秒かかります。JPEGでもRAWでも同じでした。ちょっと不便ですね。

Nikon D60はSDカードが使える。ただし大容量のカードはエラーが出た。SDHCの32GBで動作確認。

側面に謎の形をしたUSBポートがあります。付属品のケーブルUC-E4を使ってパソコンやタブレットにD60を繋げると撮影データをUSBで転送できます。これは素晴らしい!私は記録メディアを絶対抜きたくない人間ですので(面倒だもの)この機能は必須でした。

Nikon D60はUSBでデータ転送できる。形状が一般的なものではないのがデメリット。純正付属品はUC-E4。

電池は純正品EN-EL9が入っておりました。純正品はもう絶版になっていますが互換バッテリー(Amazonリンク)はまだ買えます。チャージャーがコンセント仕様というあたりに時代を感じますね。互換品でUSB-C対応チャージャーを見つけたのでそのうち買うと思います。バッテリー周りの用品がまだ買えるという要素はかなり嬉しいです。長く使いたいですからね。

Nikon D60のバッテリーEN-EL9。今では新品は買えないが互換バッテリーは売っている。
EN-EL9

あまり出番はありませんがGN12の内蔵ストロボを搭載しています。個人的にはこのスペースを活用してペンタプリズムを入れて欲しかったところです。まぁ…入門機なので贅沢は言えませんが。

Nikon D60には内蔵ストロボが備わっている。あまり使うことはないけども有れば嬉しい。

これらの中で特に恩恵を感じているのはSDカードUSBデータ転送です。ここはユーザビリティに直結する部分だと思います。CMOSセンサーではなくCCDセンサー搭載機である点にも背中を押されました。いうて俄ですが今時どんな色を出してくれるのだろうという興味に勝てなかったのです。写真のファーストインプレッション記事のリンク、貼っておきます。

操作周りの諸々。

外装は本当に綺麗なんです。旧オーナーさんがD60を文鎮にしてくれていたことに感謝です。どうせマニュアル露出一択ですのでモードダイヤルはパーマセルテープを被せて固定しました。

D60の上面の様子。モードダイヤルはパーマセルテープで目隠しした。内蔵ストロボもある。

D60には前ダイヤルがありません。絞り値を変更する際は人差し指位置にある露出補正ボタンを押しながらコマンドダイヤルを回す必要があります。

Nikon D60は親指AFが実質使えないことが判明。体を合わせていくほかない。

検証の結果、D60は(いわゆる)親指AFが出来ません。詳しくは動画版でしゃべっておりますが、どうやらD60はAFロックをしていないとレリーズが許可されない仕様になっており、親指を離して構図を決めながらシャッターを切るという行為は許されていませんでした。残念!

Nikon D60のファンクションボタン。入門機だがここはカスタムが可能。ISO感度を割り当てるのが順当。

左側面にFnボタンがあり、ここが唯一のカスタムポイントです。私はこのボタンにISO感度を割り当てました。入門機らしく操作周りは至ってシンプルです。そもそもライブビュー撮影ができないので必ずファインダーを覗く必要があります。生の光を見ながらピントを合わせてシャッターを切る、ただその撮影の所作を楽しむカメラがD60なのです。なんでも卒なく対応できる最新カメラへのアンチテーゼと解釈しました(勝手に)。

クセ強すぎなスナップ本命機。

一眼レフなんて使いにくいかな?…なんて杞憂はどこに行ったのやら。むしろ逆です。素通しの光をファインダーで覗ける心地よさ・撮るまで結果が分からない臨場感・ピント合わせの難易度・失敗から学べる露出感覚など、学ぶことは山ほどありまして、現在このセットで毎日スナップ写真を撮り続けています。非常に楽しいです!これは一重に失敗が許される趣味だからこそ心地よいのだと思います。言うまでもなくきちんとした撮影の時はZ9に持ち替えますもん。

古い一眼レフNikon D60がこんなにしっくり馴染むなんてびっくりだ。これくらい緩い写活でもいいかもしれない。

唯一と言ってもいい抜き差しならない欠点は、こういったエントリーモデルのレフ機もうディスコンになってしまっていることでしょう。人類がこの撮影体験の豊かさを未来永劫失ってしまうとしたら…こんなに悲しいことはありません(メーカー側の目線で考えたらミラーレス移行は絶対的な正解ですけどね)。入門機こそこういう尖った個性を持っていて欲しいと思うのです。所有者がその後も写真にハマり続けられるかどうかは最初に触ったカメラに左右されるところがあるでしょうから。

動画版も投稿しております。それでもなおD60の魅力(概ねダメな所)を全然喋り足りていませんので続編を作りますよ!シャッター音とかね…CCDセンサーの印象とかね…まだまだあります。また次の沼でお会いしましょう。

ブログ管理人:isofss(イソフス)