もう少しで分解清掃を完遂できるのにッ…!?そんな歯痒い思いをしたことがありませんか?この度、私の前に立ちはだかった壁はヘリコイド固着でした。当初、原因箇所すら特定できませんでした。レンズはAi Micro NIKKOR 55mm F2.8 S。今まさにこのレンズで辛酸を舐めている方のお役に立てば本望です。なお当記事は続編です。前編にあたる記事(分解編)のリンクを下記に貼っておきますね。

組み上げると重くなる!?

まず症状です。一通り分解清掃を行い、ヘリコイドの脱脂・グリスアップまで済ませて組み上げたのが下記の写真です。一見問題なく見えますが…

Ai Micro NIKKOR 55mm F2.8 S分解清掃リベンジ、その1。外観からは問題が分からない様子。組み上げ後の姿。

フォーカスリングがとんでもなく重いのです。組み上げている途中まではヘリコイドになんら問題は無くスルスル動いていたのに…組み上げると鉛のように重くなるのです。そうなってしまうタイミングを見つけました。下記の写真の赤矢印、ヘリコイドを連動させている直進キー(ネジ3本)を取り付けると重くなることを確認しました。

Ai Micro NIKKOR 55mm F2.8 S分解清掃リベンジ、その2。組み上げた途端ヘリコイドが急に重くなる現象。
ここで急に重くなる!

なので一旦ヘリコイドとレンズユニットを分離させます(この時に直進キーは分解しなくてもOK)。下記の写真の左側がフォーカスリングのヘリコイドですがこれ単体では非常にスムースに動作します。…となるとレンズユニット側の問題なのか…??

Ai Micro NIKKOR 55mm F2.8 S分解清掃リベンジ、その3。一旦、ヘリコイドとレンズユニットを分離させます。
左のヘリコイドが問題なく動作しているのであれば?

犯人は副ヘリコイド!

レンズユニットの構造を観察して犯人を見つけました。下記の写真の赤枠部分(後玉方向)は外側のヘリコイドにネジ止め(固定)されています。一方で前玉方向は下記黄丸部分の突起がヘリコイドの溝の中で前後に自由移動するようになっています。

Ai Micro NIKKOR 55mm F2.8 S分解清掃リベンジ、その4。問題はレンズユニットの服ヘリコイドの固着でした。盲点!

つまり外側のヘリコイドの動きに合わせてレンズユニットも前後運動していたのです。知らんがな!ここは全くの盲点で清掃未着手でした。そしてグリスが固着していたのです。重くなる訳ですよ。この副ヘリコイドと呼ばれる機構の固着は当レンズの持病という情報を見かけました。ぬぐぐ…知らなかった。

化粧環が外せない!?

この勝負もらった!……と思っていた時期が俺にもありました。悲劇が続きます。副ヘリコイドを分解すべく前玉側からゴムのオープナーを使って化粧環を外そうと試みたのですが、これが超絶固くて全く歯が立ちませんでした。むしろオープナーの方が削れて黒い粉が吹き出す始末です!

Ai Micro NIKKOR 55mm F2.8 S分解清掃リベンジ、その5。前玉からアクセスしようとするものの化粧環が外れない!
1時間ほど粘ったが微動だにせず。

個体差はあるかもしれませんが、このレンズに関しては過去に分解された形跡が見当たらず、おそらくは内部がボンドでかっちり固定されているのでは?と邪推しております。煮え切らない思いで後玉方向から分解することにしました。

Ai Micro NIKKOR 55mm F2.8 S分解清掃リベンジ、その6。仕方なく後玉(絞り機構)から外します。ネジが3つ。

後玉群と絞り機構が一体化しており、前玉方向にネジ3本で固定されています。無水エタノールを少量垂らします。無水エタノールにはお世話になりっぱなしですね。感染症が流行した時期にはAmazonからも姿を消していましたが、今は普通に買えます。なお他のネジは絞り機構に関わるものなので触りません。

Ai Micro NIKKOR 55mm F2.8 S分解清掃リベンジ、その7。絞り機構とレンズユニットが分離しました。
前玉群(の後ろ側)と、絞り機構

前玉群と後玉群に分かれました。理由は後述しますが問題の解決に至らなかった今回の無念は、次回この左側のユニット(前玉群の後ろ側)から再リベンジで果たしたいと思います。

Ai Micro NIKKOR 55mm F2.8 S分解清掃リベンジ、その8。応急処置として溝に無水エタノールを注いで固着を取り除きます。

と言いますのは、今回は副ヘリコイドの固着を取り除くために溝に無水エタノールを流し込むまでで処置を終了したのです。時間と集中力の限界でした。ヘリコイド分解は罫書線と組込位置が鬼門ですから余裕のある状態で挑みたいのです。続きはブログとYouTubeに投稿します。

Ai Micro NIKKOR 55mm F2.8 S分解清掃リベンジ、その9。本日はここまで。レンズ清掃をして一旦組み上げます。

幸いなことにレンズの状態は非常に良い個体でした。軽く清掃して一旦組み上げます。副ヘリコイドに注入した無水エタノールのおかげで、組み直した後のフォーカスリングはそこそこ動くようになりました。しかし通常運用にはほど遠い触り心地。腹を括ってバラさなければなりませんね。

再再リベンジに向けて。

犯人は見つけましたが逮捕には至ってない…そんな内容で申し訳ありません。再再リベンジに向けて状況を振り返りますと、(1)Ai Micro NIKKOR 55mm F2.8 Sのヘリコイドが重い時は副ヘリコイドを疑え!(2)前玉の化粧環が外せない時はとりあえず絶望(解決策はある)。この2点です。

こちらです↑

この記事のYouTube版もご準備しております。内容は当ブログと同じですが動画の方が分かりやすいかもしれません。目下、再再リベンジに向けて情報収集しておりますので続報をお待ち下さいませ。最後までお読み頂きありがとうございます。

ブログ管理人:isofss(イソフス)