無性に一眼レフを使いたくなる衝動に襲われることってありません?この度、2007年発売のNikon D3と2020年発売のD780をお借りすることができたので2週間ずつ交代でスナップ撮影を満喫してまいりました。お写真と共に今日はレフ機について持論を展開してみたいと思います。
なぜ今、古い一眼レフ?
この日、よもや往年の一桁機D3を借りることになるなど毛頭も予想していなかった私は悠長にフィルムカメラで夜スナップしておりました。最初の数枚はNikomat ELで撮影したものです。
ググってみるとNikomat ELは1972年に発売が始まったフィルムカメラ大衆機とのこと。まだ現役で動くから大したものです。ファインダーの視野率が92%なのはちょっと残念ですが、ずっしり・ひんやりした金属ボディの塊感は非常に写欲をそそる造形です。そういえば昔Nikomat ELの記事書いてましたね。
フィルムカメラの魅力ってホワイトバランスを変えられないところにあると思うんです。(フィルターワークでもしない限り)フィルムが持っている色に縛られる不自由さ、そこに痺れる憧れるぅ!色転び上等。同じ理屈でISO感度も変えられないですしね。便利な時代に不便を楽しむ醍醐味と言ったらもぅ…。
飲みに行ったはずなのに帰り道ではD3を握っておりました。レンズはAF-S NIKKOR 50mm f/1.4 Gです。この組み合わせがまた絶妙にイイ感じでして、D3のグリップの良さとレンズの軽量さが合わさって非常に取り回しがしやすいセットとなっております。このレンズ、まだ新品で買えるんですよぉぉ!くぅぅ…
さて、借りたばかりのD3をその帰り道で使い始めたわけですが、どのボタンに何がアサインされているかなんとなく分かるのは不思議な体験でした。昔からたくさんの人に使われてきた操作系が(ブラッシュアップされつつ)現行モデルに踏襲されているんだなと気付かされたのです。ほぅ…やるじゃんNikon。
現行ミラーレスカメラではもはや人権となっているボディ内手ぶれ補正なども化石のような一眼レフには載っておりませんし、露出計が搭載されているとはいえ結果は撮影しないと分かりません。久々にレフ機を構えると自分の未熟さを突き付けられます(そこが楽しい)。
昨今ミラーレスカメラは技術的には成熟してしまったと思うんです。もはやカメラは誰が撮っても失敗しにくい便利家電になりました。でもそれはスマホも同じですから、一眼カメラメーカーが生き残りをかけて高単価のニッチ需要に舵を切り換えたことは英断だったと思います。それで飯を食ってるプロ(尊敬)・趣味に魂を捧げているハイアマチュア(尊敬)・ポジショントーク芸で生きているインフルエンサー()にとっては好都合でしょう。
私のような労働者階級にとって、お財布事情的に最新ミラーレス製品群についていくこと自体が厳しい道のりなのですが、そもそもそこまでの失敗しにくい性能を求めているか?と問われると限りなく否です。失敗できるのが庶民の特権です。そんなに成功してどうするのです?殿様じゃあるまいし。
SNSで「何者にもなれなかった人がカメラヲタクになる」という趣旨の投稿を見かけました。これは的を射ているな…と。お金さえなんとか工面出来ればアムロじゃなくてもガンダムに乗れる時代なんですよ、特に最新ミラーレスであれば尚更。極めて失敗しにくい上に、出てくる絵でスマホ写真を蹂躙できます。
現実を忘れて自分に酔うことのできる劇薬として最新ミラーレス機を選ぶことは間違った選択肢ではないと思います。私自身がそのタイプの物欲強化人間ですし(そこにどんな価値があるかは別にして)この陶酔感は買った人にしか分からないのもまた事実ですから。買い物は買う前が1番楽しいのです。話はガンダムに乗ってからですよ。
同時に機材ヲタクはそのドーパミン効果が一時的で一過性のものである現実にも向き合わなければなりません。これも覆しようのない事実です。一体いつから自分が何者かになれたと錯覚していたのでしょうか。溺れ続けるためには最新機体を買い続けなければなりません。YouTuberやってるとこれをよりいっそう強く感じます。「買えねぇ豚はだたの豚だ」ってポルコも言ってましたしね(言ってません)。
(ちなみに↑この写真からレンズがMicro NIKKOR-P C Auto 55mm F3.5(記事はこちら)に変わります。) 話を戻しますと、今更古い一眼レフに熱くなれる理由って実は細胞レベルで既定路線だったのではないかと思うのです。私も(そしておそらくこれを読んでくれている貴方も)一歩外に出ればモブの1人、ただの一般人。アムロじゃないんですよ。
社会という荒波で戦う一兵卒には型落ち一眼レフくらいがちょうどいいのでは?…と。いやそれでも手に余るくらい高性能ですけどねD3は。少なくとも撮影するまで結果が分からない緊張感は身の丈に合っていると感じましたし、たとえ失敗写真を量産しても困りませんからね。プロなら致命傷でしょうけど、私には失敗は養分です。
だからと言ってメイン機をフィルムカメラまで戻してしまうのは本末転倒と言いますか、ランニングコスト的にも無謀なのでやめておきます。そんな折、値崩れが止まらない一眼レフの誘惑が舞い込んでくる寸法です。現行ミラーレス製品群に比べるとレフ機の中古市場は格安に見えるんです……なんか新しい沼の扉が開く音が聞こえるんですが。ギィィィィ…
これはミラーレス機材へのアンチテーゼではありません。むしろ逆で、不便だった時代の一眼レフを触ることは歴史の授業みたいなものです。不便を知った上で便利の理解を進めたいと。特にミラーレスでは身につかなかった撮影時の露出感を訓練する機会にしたいと思っています。
初代Z6っぽいD780。
さて、ここでNikonさんからお借りしたD780にカメラを持ち替えます。2020年頭に登場したD780は初代Z6と共通部品が多いミラーレス混血一眼レフと言っても差し支えないでしょう。
良くも悪くも初代Z6っぽい要素が見え隠れしてまして、個人的にツッコミを入れてしまった写真が↑こちらです。もぅ…色の出方がZ6そのものなんですよッ。描画エンジンEXPEED6で色の濃い金属を撮影すると大体こんな鈍い出力になる印象があります。
像面位相差AFが使えるライブビュー撮影・位相差センサーを使う光学ファインダー撮影、両方こなせるD780はもしかして買えるうちに買っておいたほうがいい名機ではないでしょうか?ディスコンになったら値が上がるような気がします。USB-C充電対応なのも好き。黒物家電の基本的人権は守られました。
出たー!EXPEED6っぽい癖!ピクチャーコントロールはスタンダードです。ちょっと赤の主張が強過ぎるんですよ。もうちょっと慎んでくれないかなぁ。
一周回って「最新機に搭載されているEXPEED7は素晴らしい」という感想になりました。Z9の出力は落ち着いているんですよね。温故知新といいますか、前モデルを使うことでより新しい技術のありがたみを感じる次第です。もちろんD780をディスってるわけではありません。一眼レフは一眼レフであるだけでレガシー!
本当は最新ミラーレスと古い一眼レフを両方持ち歩きたいし、どっちも使い倒したいのです。でも体は1つしかありません。歳を重ねるとリアルボディ(体)の積載可能重量も下がります。機材をつまみ食いするのではなく一点入魂で1つのカメラを使いこなせるようになる人生も悪くないでしょう。これを実現するにはまず買い物中毒をどうにかしないといけないのですが…前途多難(たぶん無理)ですね。なんと救いのないことか!(←え?これで終わるの?)
ブログ管理人:isofss(イソフス)