妥協のない小さいレンズ選びに最終解を出したい!だって毎日でも持ち歩きたいから。パンケーキレンズ沼に終止符を打つことはできるのか!?値段もコンセプトも全然違う2つのレンズをガチンコ対決させてみました。
新進気鋭のウルトラシンレンズ。
先鋒はSG-image 24mm F6.3 ウルトラシンレンズです。SG-imageは数ヶ月前にAPS-C用の同レンズを出したばかりですが、電光石火の勢いでフルサイズ対応の24mmを投入してきました。恐るべき開発スピード。しかも描写が良くなっています!

描写が良くなったことにはカラクリがありまして、24mm画角をスナップで使いやすい換算36mmにクロップして使っているからです。ボディはZ50IIを使っています。レンズの中央の光学的においしい部分だけを使っています。写真は全てJPEG撮って出しですが、Nikon肝入りのイメージングレシピで意図的に色を捻っております。

強い光源を画面のちょっと外に置くと独特なゴーストが出ます。MFレンズなのでいつもジャストピントという訳にもいかず、ゴーストやイメージングレシピと相まってエモ散らかした写真を量産できます。裏を返せば逆光シーンでピシッとした写真が撮れないということになりますね。ここら辺は好みかと。

Nikon Zマウント版だとレンズ重量は89gです!それでいて内蔵レンズキャップやフィルター枠なども存在します。私は37mmのブラックミスト1/4を常時装着することにしました。おかげで逆光時のエモがブーストしています。スペック的なことは開封レビュー記事に書いていますのでご参照下さい。
APS-C版ウルトラシンレンズは換算27mmでした。本レンズはクロップすれば換算36mm。そして描写も良くなっています。価格に5000円の開きがありますが「これからパンケーキレンズを買うぞ」という方は一足飛びに24mmを選ぶことをオススメします!

F値は6.3固定となるため暗い場所での手持ち撮影にはなにかと不向きです。日中のお散歩レンズとして使う時に抜群の機動力を発揮するでしょう。最短撮影距離も25cm付近ですのでそこそこ寄れますし、総合力で考えるとこれを超えるパンケーキレンズが早々に出てくることはないと思うのです。

やりすぎな新カラスコ。
それに対するはCOSINAから発売となりました新しいCOLOR SKOPAR 35mm F3.5 Asphericalです。ライカMマウント用のレンズですのでSHOTENのヘリコイド付きアダプターLM-NZ Mを介してZ50IIに装着しました。この組み合わせがですね…めっちゃくちゃ寄れるんです!

APS-C機で使うので換算52.5mmの標準画角になります。ヘリコイド展開で最短撮影距離が20cmを切るくらいまで接近できます。一般的に50mm単焦点レンズの最短撮影距離は45cmくらいですよね。このカラスコを使った時のインパクトは非常に大きかったです!

もはやピント幅が薄すぎて、風に揺れる桜にピントを合わせるのが大変でした。被写界深度は1mmもないくらいの印象。たくさん没カットが生まれます。デジタルなのでいくらでも失敗できますけども…。

少し距離のあるスナップ写真では50mm画角は非常に使いやすいですね。F値が開放F3.5と地味なスペックですが、スナップ写真で被写体ブレを多用する私としては早すぎるシャッタースピードを避けるべく昼間はF5.6くらいまで絞ります。スナップは絞ってナンボですよ。

本当はこのカラスコをAF化したかったのですが、TECHARTのTZM-02に装着してみたところ、カラスコのフォーカシングノブがTZM-02に干渉してしまい、マウント部分にスレ傷がついてしまいました。…まぁ傷はまだ許せるのですが、それよりもレンズのヘリコイドに変な負荷がかかる方が嫌だったのでここは潔くAF化を諦めることにしました。

このカラスコがAFもMFも両方できたらどんなにか楽しかったことでしょう。改めて完璧なレンズなんて存在しないという学びを得ました。MFに関してはSHOTENのヘリコイドアダプターに全幅の信頼を寄せています。特にZマウント版は径が大きいので操作もしやすいです。
パンケーキレンズに求めるもの。
ここからは持論となります。私がパンケーキレンズに求めるものは、やはり(1)機動力、次に(2)テンションが上がるデザイン、そして(3)そこそこの描写力です。価格に関してはあまり気にしていませんが、安いものをたくさん買うよりいいものを少数精鋭で揃えたいタイプの人間です。

今回の2本をこの基準で比較しますと描写力はどちらも良かったです。もちろん新カラスコの方が上品さでは武がありますし、レンズを筆で例えると線が細いのはカラスコの方です。お値段なりの優位性は存在しますね。ただ…無理してZマウントにつけたことでマゼンタ被りが出るような気も…ゴニョゴニョ。

機動力で比較すると、ウルトラシンレンズはカメラにダイレクト装着できるので重量89gがそのまま活かせます。カラスコは99g+アダプター220gが加わりますので見た目より重さはズッシリ感じます。でもF値は自由に変えられます。何事もトレードオフですねぇ。

見た目はカラスコの方が好きでした。鏡筒が真鍮なので高級感もあります。カラスコの弱点はカバンの中で絞りがコロコロ変わってしまう点です。これは構造的な限界で、レンズ前方にある絞り環が物理的に他の何かに当たってしまう度に意図せずに絞りが変わる持病です。絞りにクリック感はありますが、鞄への出し入れだけでも回ってしまいます。

では、絞りが変わらないウルトラシンレンズの方が有利なのでしょうか?…そうかもしれません。常にF6.3ですからね。しかしウルトラシンレンズは無限遠ロック時にジャスト無限が出ない持病があります。おそらくは安全策を取って少しオーバーインフに作られているのでしょう。私はジャスト無限警察なので気になります。やっぱり一長一短ありますね。どちらも慣れるのが1番の解決方法です。

たらればの域を出ませんが、もしカラスコがTECHART経由でAF対応出来ていればパンケーキ沼は終了していたことでしょう。でもそうじゃなかったからといってカラスコの価値が下がるわけでもなく、現行品の中で圧倒的に小さいこの新しいカラスコは唯一無二だと思っています。お値段分の価値は確かにありました。

一方で、ウルトラシンレンズはその軽さに毎回驚かされます。アダプターなしで使えて、しかも89gです。新品で13000円台というのも非常にGood。よほど高級志向でなければほとんどの人にとって「これでいいじゃん!」になるでしょう。これからMFパンケーキレンズ沼にダイブする予定がある方にはウルトラシンレンズをオススメします。初手でファイナルアンサーになるかもしれません(そう言って終わった試しはありませんが)。
今回もYouTube版をご用意しております。週末に公開しますので併せてご参照下さい。その動画の最後で次の小さいレンズも登場しております。いや…全く…いつになったらこの沼は終わるのでしょうか。
ブログ管理人:isofss(イソフス)