全国のお父様方はいつの時代も、週末は子供たちと(そして妻と)動物園に行きたいと相場は決まっている。もしそのイベントで格好良い動物の写真が撮れようものなら父の株価は急上昇だ!家に帰っても子供たちから羨望の眼差しを向けられ、食後に妻からビールとおつまみの差し入れがある…かもしれない。そうだ!動物園は決戦の地なのだ。負けられない戦いがそこにはある!では戦いに備えてどんなレンズを持っていくべきだろうか?当記事はそんな問いのヒントになるかもしれない。

1.標準ズームvs望遠ズーム。

今回のレンズ対決は2本のズームレンズで実施する。使うカメラはNikonのミラーレスカメラ初代Z6だ。レンズはZマウント純正の標準ズーム(24-70mm)vsFマウント時代の望遠ズーム(80-200mm)で検証する。目的はいかに動物を格好良く撮影できるか?である。主にレンズの画角(焦点距離)による格好良さの違いを見ていこう。以下、焦点距離は35mm換算で表記する。

標準ズームvs望遠ズーム

これからレンズを新調なさる方のために補足がある。左側のレンズNIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sはズームレンズ最高峰の一角で(2019年発売)値段も尋常ではない。これが欲しいと言った日には妻の鉄槌が振り下ろされるだろう。右のレトロな外観のレンズはZoom NIKKOR Auto 1:4.5 80-200mmというオールドレンズで(1973年発売)ほぼ値打ち無しの骨董品だ。オートフォーカスが使えないので扱いは難しいが、以下の作例を見て写りに問題がないと感じた方はメルカリで探してもよいかもしれない。Z6にはマウントアダプターを介して接続する。

2.福岡市動植物園。

この度のKBF(決戦のバトル・フィールド)は福岡市動植物園である。博多駅のバス停B(博多口側左方向)から58番のバスで片道190円で到着できるアクセスGOODな動物園だ。入場料は大人600円で9時から17時営業だ。

福岡市動植物園、入口。
ちなみにこれは焦点距離24mm

3.いきなり結論、出た。

オラウータンがこっちを見ている。
200mm×APS-Cクロップ=300mm

入園して1区画目でズームレンズ対決の結論が出てしまった。望遠ズームレンズにしよう!理由は動物を大きく写せるからだ。標準ズームレンズの場合、広角側だとスマホカメラくらいの広さがある。当然その画角で動物の表情を捉えることは難しい。望遠側70mmであっても距離が足りないこと請け合いである。オラウータン君も「望遠ズームにしようよ」と言っている。

オラウータンは子供達に大人気。
200mm×APS-Cクロップ=300mm

フルサイズミラーレスカメラであればAPS-Cサイズまでクロップして使うことができる。焦点距離は1.5倍伸びる。(CANONだけ1.6倍。)記録される画素数は減るが、スマホやタブレットやテレビで再生する分には全く問題ない。プリントするとしてもA4サイズ程度であれば全く問題ない。300mmあれば10m離れていてもそれなりに大きく写ってくれる。

テナガザルの移動はけっこう早い。
200mm×APS-Cクロップ=300mm

ただし(前述の通り)私が持っている80-200mmの望遠ズームはオートフォーカスがないオールドレンズなのだ。ピント合わせは鬼のように難しい。テナガザルの綱渡りは思いの外スピードがあり↑この写真は奇跡だが、その他大量に没写真を量産してしまった。

肉食動物に寄る!

あの…怒ってはります?

ヒョウに睨まれた!
200mm

ガラスを1枚挟んでいるため彩度が落ちている。距離にして5〜6m。ヒョウ君は(イライラしていたのか)その辺りをクルクルと規則正しく動いていたので、ピントを定位置に置いてそこを通り過ぎる瞬間にシャッターを切った。よい眼だ。

ヒョウがこっちを見ている!
200mm

隔てるガラスの状態が良いと色がしっかり写る。この様に動いていない相手であればオールドレンズでも十分戦える。これで200mm。やはり望遠レンズは強い。背景の緑がヒョウの黄色を際立たせている。

興味はなさそうなヒョウ。眠い?
200mm×APS-Cクロップ=300mm

さらに300mmまであると迫力のある表情になる。若干ふわっとした描写なのはレンズが古いからか?間のガラスのせいなのか?…贅沢な悩みかもしれない。

マレーグマの上目遣い。
200mm

マレーグマがこちらを見ている。つぶらな瞳と鋭い爪のギャップが凄い。

百獣の王。

百獣の王ライオン。どっしり。
200mm

武井壮はいなかった。鎮座するのは雄のライオンだ。間を隔てるガラスが引っ掻き傷や汚れでかなり状態が悪く、そのまま写りに現れてしまった。しかし画角的には200mmで満点ではないだろうか。

こっちを凝視しているライオン。
200mm×APS-Cクロップ=300mm

さらに300mmで寄ると迫力が半端ない。目の前のガラスに文句を言ったばかりだが、これがなければ秒で餌食になってしまう。それにしてもこのライオン、イケメンだ!ライオンキングのムファサに似ているような。

ライオン雌の横顔。
200mm

雌ライオンにもお目にかかれた。この子、繊細さんだと看板に書いてあった。時折客に向けて吠えるのだが…とんでもない爆音だった。動物園以外では絶対に会いたくない。

虎がこちらに来ました!
200mm

続いてはトラである。こちらも200mmで置きピンだ。全然登場しない標準ズームだが…実はこの辺りで使ってみたのだが…手前の檻にオートフォーカスを持っていかれてしまい全く使い物にならなかった。まさか27万円もする最新レンズで写真が撮れないなんて予想外過ぎた。

鹿が固まって暖をとっている。
200mm

先ほどから200mm(クロップ300mm)のみで撮影しているのには理由がある。Z6のボディ内手ぶれ補正をオールドレンズで適用させるために焦点距離を変えられないのだ。変えてもいいのだがその都度レンズ情報設定を変えなければならない。結局200mm単焦点みたいな使い方になった。

Z6の動物瞳AFを試してみる。

しかし現代技術の意地を見せてもらわなければ!ここで24−70mmに持ち替えた。そして動物瞳AFをONにしたのだが…かなりの確率で通常のオートエリアAFの挙動になった。本当に稀に目を検知してくれる時もある。ただし手前に檻があると100%檻に合焦する。んんん…頑張れNikon!

トカゲの眼光。
70mm

しかし瞳AFが食いつく場面もあった!下の写真だ↓。観覧車にカメラを向けると瞳AFがゴンドラの窓を認識したのだ。逆にすごいぞNikon!

観覧車がありました。
35mm
観覧車のゴンドラに瞳AFが動作した!
動かぬ証拠だww

話を戻そう。標準ズームだと焦点距離は24-70mm内となるが、やはり動物を大きく写そうとなると望遠端の70mmを使うことがほとんどだった。とはいえ家族で動物園に行くとなると子供のスナップ撮影もするだろう。そんな時は標準ズームは確かに便利だ。

ゆっくりしている動物。
70mm

4.結論、適材適所。

そんなことを言ったら元も子もないがそれぞれ使い所はある。しかし、あえて動物を格好良く撮ることだけにフォーカスすれば…寄れる正義は強いと思う。例えば下の2枚を比べてみよう。

黄昏のしまうま。
標準ズーム望遠端70mm
しまうまの横顔。
望遠ズーム望遠端200mm

同じ場所から撮ってもこれだけ違う。もちろん全部が全部メリットではない。基本的に望遠ズームはデカくて重い。カバンから出し入れするのも億劫だ。団体行動に向いているレンズではない。でも寄れる!ここのトレードオフが鍵になりそうだ。

遠くにサイがいます。
200mm
つがいのバーバリーシープ。
200mm

では標準ズームと望遠ズームを合体させたレンズがあれば…無敵なのではないだろうか?

24-200mm超便利ズームが存在する!

あるのだ!そんなレンズが!Nikon Zマウントで言うとNIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VRがそれにあたる。望遠側でF値が暗くなるが動物園のような屋外では問題にならない。しかもこのレンズ、軽いのだ。レンズ内手ぶれ補正もあり、お値段も10万円前半とバーゲンプライスになっている。いやいや10万円が安いと感じる感覚はもはや病気だが、子供の成長を記録する向こう5年で割ってみて欲しい。1日60円程度だ。もちろん動物園以外でも日常使いできる。実質無料だ。たぶん。

この記事の内容がお役に立てば幸いである。全国のお父様諸君の家族サービスに幸あれ。さて、本日のレンズ2本を持ってお隣の植物園にも行ってきた。レンズ購入にあたって「一緒にお花撮れるよ!」と妻への大義名分になるかもしれない。次回「植物園に持っていくべきレンズはどれ?」お楽しみに。

では諸君、良き写真LIFEを!

ブログ管理人:isofss(イソフス)