人生初・転売ヤーから購入したEL NIKKOR 50mm F2.8 N(後期型)。とてもきれいな状態ですが内部に若干ホコリが…あるかな?半分くらいは興味本位ですが、今回も分解清掃やっていこうと思います。引き伸ばしレンズを自分で分解清掃してみた企画!参ります。

見よ、この美しい引き伸ばしレンズEL NIKKOR 50mm F2.8 Nを。

↓↓↓この記事の内容は動画にもまとめておりますのでご参照下さい。なおEL NIKKOR 50mm F2.8前期型の分解清掃記事もあります。似てるようで似ていないのでご注意を。前期型をお持ちの方は下記リンクを↓↓↓ご参照あれ。

1.前玉から分解。

EL NIKKOR 50mm F2.8 N、分解は前玉からします。

いざ分解を始めます!ゴムのオープナーを使って銘板をグリグリすると前玉群を取り外すことができました。

EL NIKKOR 50mm F2.8 Nが前玉と絞り機構に別れました。

EL NIKKOR 50mm F2.8 Nのレンズ設計はダブルガウス構成らしく、この前玉群は2郡3枚ということになりますね。↑右側の鏡筒内に見えるのは絞り機構です。ものすごくシンプルな構造。

EL NIKKOR 50mm F2.8 N、前玉郡は2軍3枚のはず。

前玉群をさらにバラそうと思ったのですが接着剤らしい跡が見えます。ここにレンズクリーナーを(100円均一で買ったスポイトを使って)少量流し込んだところ、無事に外れました。

EL NIKKOR 50mm F2.8 N分解、後ろ側の蓋を外したところ。

↑外れたフタ(左側)ですが、これは絞り機構を押さえている役目がありました。レンズは(右側)これ以上分解できませんでした。そもそも分解清掃する用途で作られていないのかな…という印象。無理して壊しては元も子もないので両面を清掃して完了です。

2.絞り機構は鬼門。

本レンズのラスボスは絞り周りに鎮座しております。結論を申し上げますと触らない方がいいです。理由はシンプルで、外すのは簡単だけど組み上げが大変だから。絞り羽が固着しているような状況じゃない限りそっとしておいた方が無難かも。それでもバラしたい猛者は下記をご参照くださいませ。

EL NIKKOR 50mm F2.8 N、絞りを動かす隠しネジを外したい。

まず、白いプラスチックの円周上にネジを確認。これは絞り環と絞り機構を繋いでいる隠しネジです。これを外すと絞り羽までアクセスできます。

EL NIKKOR 50mm F2.8 Nの絞り環、円周上の3本のネジを本のネジを外します。

この隠しネジの外し方ですが、レンズ外周上にあるネジ3本を外します。すると絞り環がフリーになって回転するようになります。絞り値を超えてグルッと回すと↓↓↓

EL NIKKOR 50mm F2.8 N、絞り環を回すと隠しネジが出てきます。

隠しネジ(マイナス)がお目見えとなります。これを外すと一番外側の絞り環(絞り値を変更するリング)が外れ→白いプラスチックを抜くことができます。

やっちまった…。

ところがネジ受けがプラスチック。捻り切ってしまいました。

で、この隠しネジの受けが…プラスチックなんですよね。このレンズ、ほとんどの部分が樹脂製です。ネジ脱着の際にネジ山を捻り切ってしまいました。もちろんそれで大破という訳ではないのですが、やはりショックです。

捻り切ってしまった穴にネジを挿し、パーセマルテープで補強します。

対処策として組み上げの際にネジ部分をパーセマルテープで補強しました。許してくれ。

覚悟を持って分解せよ。

EL NIKKOR 50mm F2.8 N、絞り機構の分解は鬼門です。

さて本丸です。絞り機構の分解の肝は所定の位置で組み上げること。金色のCリングの位置はガイドがある(黄色の部分に溝がある)ので覚えやすいです。この時の絞りの状態は開放F2.8が分かりやすくていいと思います。白いプラスチック部分の一番端です。開放状態であることを目視しつつ、この状態でCリングを抜きます。

EL NIKKOR 50mm F2.8 N分解、金のCリングにはガイドがあり、位置が決まっています。

抜きました。この金色のCリングの取り扱いも要注意。非常に曲がりやすいです。

EL NIKKOR 50mm F2.8 N、絞り機構を絞り機構を外した姿。絞り羽がフリーになっていて危険です。

白いプラスチックのフタは絞り羽を固定するレールがついていました。つまりこの状態だと絞り羽がフリーになっておりちょっと傾けるだけでも軸が抜けて羽が外れます(危険)。外れた羽を戻すのは至難の業というのは経験者ならお分かり頂けるかと…。分解しないほうがいいと申し上げた理由がココです。なお、白いプラスチックも組み戻す位置が決まっています。8枚羽なので1/8の確率ではありますが覚えておいた方が楽です。分解しちゃった方は…ご武運を。

3.後玉分解。

気を取り直して後玉群へアクセスします。カニ目レンチを使って後玉を押さえているリングを外します。

EL NIKKOR 50mm F2.8 N分解、後玉をカニ目レンチで外します。

リングを外しただけではレンズが自重落下してこないかもしれません。レンズサッカーを使って吸い上げると取れると思います。私はそのまま作業を続けていた時に落ちてきて焦りました。ここのレンズは1枚です。

EL NIKKOR 50mm F2.8 N分解、後玉はサッカーで外しましょう。

その奥のレンズの手前にあるリングはただのスペーサーでした。ゴムオープナーでつつくと外れました。しかしこれ以上アクセスする箇所が見当たらず、見えているレンズ側を清掃するに留まりました。

EL NIKKOR 50mm F2.8 N後玉、その後ろにスペーサーがあり外れます。

分解するより使う方が大事。

これでEL NIKKOR 50mm F2.8 Nを全部分解しました。

前玉後玉ともに必要最小限の分解となりましたが、レンズにバルサム切などはなかったのでこれでよしとしましょう。分解清掃は今後気持ち良く使うための儀式としつつ、程よく撤退するのもまた勇気かと。

4.採光窓をふさぐ。

EL NIKKOR 50mm F2.8 N分解、採光窓のふさぎ方を説明します。

この引き伸ばしレンズには採光窓が備わっています。これは暗室での現像作業時に絞り値を確認するための機構で、引き伸ばし機側の光で値を照らすギミックだとか。しかし撮影レンズとして使う場合は光漏れの原因になってしまいます。

マウント部の板をズラして採光窓を塞ぎました。

ふさぎ方ですが、マウント部分の3本のネジを外して採光窓のあるリングを回転させました(外すことはできませんでした)。このリングは回転しても他に影響はないようです。素人分解のため詳しい方いらっしゃいましたらコメント欄で教えて下さい。

完成。

分解と逆手順で組み上げて完成です。

無事に組み戻しました。ぱっと見きれいですが、拭いたアルコール跡でむしろ汚れたような気が…というのはナイショの話。

分解清掃沼の1歩目にいいかも。

いうて私もこれで4本目の素人分解マンで毎レンズどこか壊している節はありますが。このレンズといい、同じ引き伸ばしレンズのFUJINON EX 50mm F2.8の時といい、引き伸ばしレンズの分解清掃は初心者に優しい登竜門のように感じました。フォーカス機構がないのでハードルが下がっているというのは言うまでもなく。引き伸ばしレンズ自体もかなりお安い価格なので、分解清掃を始めてみたい方にはオススメです。

ただ、分解することに快感を感じ出すと危険かもしれません。私もいつか大失敗しそうです。そう言いつつもこの記事を準備している間にもう1本引き伸ばしレンズを買ってしまいました。そいつも分解しますグフフッ…(重症)。

最後までお読み頂きありがとうございました。どなたか様のお役に立てば幸いです。このEL NIKKOR 50mm F2.8 Nの実写作例は別途UPする予定ですので引き伸ばしレンズタブから最新記事をご確認くださいませ。

では諸君、良きオールドレンズLIFEを。かしこ。

ブログ管理人:isofss(イソフス)